
(1)明大スポーツ第530号『一般生も活躍中! 体育会特集』ヨット部インタビュー拡大版 主将・成田博陽
8月1日発行の明大スポーツ第530号の3面『一般生も活躍中! 体育会特集』で大学から競技を始めたいわゆる〝一般生〟が活躍できる要因を語ってくださったヨット部。本企画ではやむを得ず紙面に載せることのできなかったインタビュー部分を掲載いたします。
第1回は成田博陽主将(政経4=明大明治)のインタビューをお届けします。
(この取材は7月1日に行われたものです)
――大学からヨットを始めたきっかけを教えてください。
「自分たちの代の新歓の時期がコロナに直撃したのでそもそも入れるサークルがありませんでした。サークル活動がやっていなくて活動できるのが部活動だけという中で、限られた時間を有効活用するために部活をするしかないというのが理由の一つです。その中でなんでヨットを選んだのかというと、自分は高校時代に野球をやっていたんですけど、明治の野球部はさすがに強すぎるし高校時代にそんなに活躍してきたわけでもないので(笑)。自分が活躍できるのが何かなと考えたときに、ヨットの他にもウインドサーフィンやトライアスロンとかやろうと考えていたんですけど、いろいろ考えて自分は海が好きだなと考えたり、いろいろな部活回ってやっぱりヨット部の雰囲気が好きだなと思って入部を決めました」
――海のどのようなところが好きですか。
「自分は父の影響で釣りが好きで海の部活もいいなと思っていました。海に関するエピソードでいうと、自分でダイビングのライセンスを取りに行ったり、小型船舶操縦士免許も1級というちょっといいやつを取ってみたり。将来も海のフィールドで活躍してみたいなと思っていて、仕事としてじゃなくてもいいんですけど、海に関わっていきたいなと今も考えています」
――ヨット部に入部した時に掲げていた目標を教えてください。
「自分は野球をやっていた時は甲子園に出たいなと思ってやっていて、正直諦めていたんですけど絶対に全国に出たいなと思ってやっていました。自分は団体スポーツというよりも個人競技という点でヨット部に入ったので、個人成績で全国に行きたいなと思っていました」
――大学に入ってから初めて海に出た時の思い出はありますか。
「初めて海に出た時はとても揺れるので毎日酔うんじゃないかと思っていた記憶はありますね。初めての日もそうだし、そこからの1週間もそうなんですけど、今までになかった非日常を毎日味わうことができ、こんなの味わっていいのかなと思っていました」
――海に対する恐怖心はありましたか。
「なかったです。1年生には1年生向けの練習をしてくれて手厚かったですし、海に出る前に陸練という陸でやる練習があるんですけど、そこでシミュレーションしてから海での練習を行うので、特に怖いみたいなのはなかったです」
――1年生向けの練習というのは具体的にはどのようなことをしますか。
「ヨットはやることがいろいろあって、風を読んだり、その中で戦略を考えたり。あとはどういう動きをするのかというのがヨットの練習だと思うんですけど、頭を使う部分というのは難しいので1年生向けにはどのように動いたらうまくなれるかというのを考えて先輩がやってくれていたのかなと思います。特に動作の練習を多めに行っていました」
――初めての実戦のときの思い出はありますか。
「初実戦のときの思い出はちょっと苦いです(笑)。ヨットはペアスポーツなのでスキッパーとクルーという二つのポジションがあって、クルーが試合に出るためには、経験者がなることが多いスキッパーに選ばれないといけないんですよね。自分はそこで選ばれなかったという思い出があって、そこでペアスポーツがちょっと嫌になってしまいました。初めて自分が出たレースでいうと春の六大学戦かな。それが最初なんですけどその時は自分が何も分からないままやっていて、これが勝ったのか負けたのかっていうのも分からないままやっていたんですけど、いざ勝ったらうれしいし、負けたら悔しいなと思っていました」
――一般生でも全国を目指せる要因というのはどこでしょうか。
「現実的な話をすると経験者と一緒にやることができるという点が理由の一つにあると思います。ですが経験者なしでも自分は全国を目指せると思っていて、必ずしも経験や技術だけで決まるものではないと思っています。ヨットは技術よりもコースを引くところであったり、スピード感であったりと経験だけでなんとかなるものではないと思っていて、素質だったり、どのように練習していくのかが大事だと思っています。経験の差だけで決まるわけではないというのが一般生でも活躍できる要因だと思います」
――ヨット競技にはどのような人が向いていると思いますか。
「忍耐強い人ですかね。あとは視野が広いというのも大事かなと思います。というのもいろんな方向から船が来て、風を読みながらやらないといけないですし、セールの形なども考慮しないといけないので、その点で見れば視野の広さは重要かなと思います」
――それぞれの学年ごとに求められる役割はありますか。
「1年生は慣れるということが大変なのかなと思います。正直今までの生活とは全く違う合宿所生活というのが始まり、そこでの役割も多いですし、そこで自分がどのように知識を身に付けていくのかが大事になってくるので、いかに早く慣れることができるか、吸収できるのかがカギになってくるのかなと思います。2年生は1年生のときに全て吸収できるとは自分は思っていないので、復習していくこともあると思うんですけど、1年生が入ってきて、自分が教える側になるというところで自覚が必要になるのかなと思います。3年生は自分らの部活では人数的なこともあって主軸として活躍することが多くなり、自分がもっと頑張らないとという焦りが生まれてくるのかなと思うので3年生以降は自分が主軸として活躍する責任感があるのかなと思います。4年生になって大幅に変わったんですけど、平日は部活のことを考える時間が多くなったり、やらなくてはいけないことが多くなったり、先輩が今までこうしてきたんだなというのが分かって、4年生になってやっとヨット部のことが分かってきたかなと思います」
――合宿所ではどのようなことをされていますか。
「合宿所でやることは、朝ごはんを食べて、合宿所に船を置いているのでそれを下ろして、それが1日の始まりになります。ヨットは意外と早く練習が終わるので、夕方の4時頃に帰ってきてトレーニングをして掃除をして、そのあとはご飯を食べたりするのが1日の流れかなと思います。あとは自由時間になるので1年生から4年生まで楽しくわちゃわちゃしている感じです。天気が悪い日や風がなくて海に出られない日は合宿所でレクをやったりヨットの座学を行い、知識面を強化しています」
――合宿所での生活というのは一般生にとってどのような影響を与えていますか。
「合宿所があって良かったなと思います。同期と仲良くなるスピードも早かったですし、自分らの世代はコロナでなかなか友達もできにくく、合宿所でずっと一緒に生活する友達がいたからこそ大学生活が充実したかなと思います」
――今までで印象に残っていることはありますか。
「この前の関東学生個人選手権は印象に残っています。自分たちは19位で(全日本学生個人選手権に)行けなかったんですけど実は繰り上がるといううわさもあって、もしかしたら行けることになったかもしれないというのも印象に残っています。自分たちはあんまり結果を残してきたわけではなかったので、自分がヨット界隈で戦えるのかなと自信になったレースだったという点で印象に残っています」
――夏休み期間でチームとして意識していくことはありますか。
「僕らはキーワードとして『一丸』を挙げています。今までは個人戦ということもあって『一丸』というのをずっと意識できていたわけではなかったんですけど、これからインカレに向けて練習していく中で時間もないですし、どのように『一丸』を達成できていくのかをチーム全体で考えていけるかが課題かなと思います」
――ヨットのやりがいを教えてください。
「自分は最近やりがいに気付きました(笑)。2年生までは正直やりたくないときがあって最近楽しくなったのが何でなのかを考えると、自分でいろいろ考えるようになったからだと思います。普通海に行って、あそこ風吹いているなとか思わないじゃないですか。ただ自分らは自然と向き合って、それを分析してその知識を使って勝てるのはめちゃくちゃ楽しいですし、だんだんできるようになっていく過程も楽しいかなと思います。他のスポーツと違って成長する度合いも大きいと思いますし、みんな大学から始めるのもあって、そこの成長を感じられるのが楽しいです」
――ヨットのきついところを教えてください。
「ペア競技というのは楽しい反面、ちょっときついところもあると思います。お互いの機嫌がいい時もあれば悪い時もありますし、試合の勝敗がどっちの要因なのかが分からない時もありますし、ストレスをぶつけ合ってしまったりするとペアの関係性がうまくいかないこともあってそこは難しいのかなと思います」
――ヨットの魅力を教えてください。
「ペア競技というのは難しいとさっき言ったんですけど、魅力でもあると思います。相手の力を借りることもできますし、ペアがいるからこそ自分ができないことを教えてもらえることもあって、未経験の人からすると成長スピードが上がるのかなという。一緒に乗っていることで互いに教え合える。非日常を、味わえる。普段の生活で味わえないことを体験できると思います」
――明大ヨット部の魅力を教えてください。
「朝から晩まで暮らすので他では手に入れられないような友情が手に入ると思います。ミーティングとか話し合いが多いのですが、ペアスポーツというのもありますし、話し合いを重ねることで本気の友情が芽生えるというか。それは競技だけでなく、合宿所生活を通してだったり部の仕事をするのもそうですし、その中で友情ができるのがいいかなと思います」
――最後に来年の新入生へ向けてメッセージをお願いします。
「葉山で遠いし、キャピキャピした生活に見えないと思うんですけど、そういう概念を捨てて1回試乗会に来てほしいです。試乗会は新歓の時期にやっていて一生に一度のヨットに乗れる機会だと思うので、ヨットの疾走感だったり、海の魅力に気づいて欲しいので一回来てほしいなと思います!」
――ありがとうございました。
[冨川航平]
◆成田 博陽(なりた・ひろあき)政経4、明大明治高。178センチ・66キロ
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