
堀ラストシーズン幕開け 次戦に向け弾みをつける一戦に/関東学生有志大会
7月29日、30日にダイドードリンコアイスアリーナにて行われた第2回関東学生有志大会。明大からは7、8級の堀義正(商4=新渡戸文化)、堀見華那(商3=愛知みずほ大瑞穂)、5級の山田帆花(国際2=明大明治)が出場した。SP(ショートプログラム)の点数で競い、堀は7、8級男子7位、堀見は7、8級女子7位、山田は5級女子11位で今大会を終えた。
◆7・29~30 関東学生有志大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)
約5カ月半ぶりに試合に出場した堀。澄んだ赤と黒の新しい衣装を身にまとい、ジプシー・キングスの『My Way』を披露した。「1本目のジャンプから全体が崩れていった印象が大きい」と、冒頭のサルコウのミスから立て直しを図れなかった。それでも、連続ジャンプでは3回転トーループに挑み「結果的に失敗したが、跳んでみて『セカンドの3回転って跳びやすいんだな』とあの一瞬で感じた」と実践で得た感覚もある。演技後半、早まるテンポに乗りながら、ステップシークエンスを含め丁寧に踊り切った。
試合後には、振り付けなどを完全に終えたのは先週だったと話した上で「短い期間ではあるが詰められるところは全力で詰めて、次戦でどうなっているか自分の中では楽しみなところ」と前向きに意気込みを語った。「支えてくれた人に感謝を伝えたい」という思いを持ちながら曲選びを行い、ラストシーズンがいよいよ始まった。特別な思いを込めたプログラムと共に歩みを進める姿に最後まで目が離せない。
(写真:女子7、8級7位の堀見)
引き締まった表情で6分間練習に臨み『The Lady Is A Trump』を披露した堀見。冒頭の3回転ループは着氷が乱れたものの、その後のダブルアクセルは危なげなく着氷を決める。体を大きく使い、明るい曲調の良さを生かして滑る。3本目のジャンプでは「タイミングが合わず、跳び急いでしまった」とコンビネーションにならず。跳ぶ前の心の持ち方も挙げながら、ジャンプにおける課題を振り返った。
昨シーズンと同じプログラムを続ける中、今試合で光ったのはスピンの精度。回転速度と安定感で魅せ、2つのスピンでレベル4を記録した。「ここ2カ月、スピンの練習量を増やした。スピンは波がなくやればやるほどうまくなる。そこが好きでたくさん練習して、その成果が少しずつ出ている」。時に笑顔を見せながら話す姿に、さらなる進化が期待された。
(写真:女子5級11位の山田)
真紅の衣装を身にまとい重厚な『パイレーツ・オブ・カリビアン』のプログラムを堂々と滑り切った山田。冒頭の2回転フリップからの連続ジャンプを鮮やかに決めると、続く3連続ジャンプも着氷。「最近ジャンプの調子が良くてプログラムの中で入るようになったのでノーミスしたいと思っていた」。その後の2回転ルッツで転倒するも、続くジャンプは見事着氷。長い手足を生かした美しいスピンが山田の演技を彩った。
山田は来月から交換留学でアメリカへとたつ。現地ではリンクなどの練習環境が整っておらず、10カ月間はリンクでの練習ができない。今回の滑りは「最初の方はジャンプ、ジャンプという感じだったが、最後の方は楽しんで滑ろうと意識した」。留学前最後の大会をかみしめるように力強くステップを踏んでいき、ラストは美しいアクセルジャンプで演技を締めくくった。アメリカでは氷上での練習は難しいが、寮のジムでトレーニングを行い体づくりを続けるという。「しっかりトレーニングして、帰ってきた時に復帰できるようにしたい」。留学とフィギュアスケート、山田はどちらにも真剣に向き合い続ける。
シーズン序盤の試合を経て、課題や得た感覚をさまざまに振り返った選手たち。堀と堀見の迫る次戦以降を見据える姿や山田の意識に、練習を含めたスケートへの真っ直ぐな気持ちが表れる。各選手の今後の活躍に期待がかかる。
[布袋和音、守屋沙弥香]
試合後のコメント
堀
――久しぶりの試合でしたがいかがでしたか。
「最後に出たのが2月の関東学生有志大会ですね。毎年言っているのですが、わりと気分やテンションが上がりやすいと言いますか、自分の高揚感にいつも押しつぶされてしまっている感じがあったので、もう少し自制することも必要なのかなと思っています。今回もそれが目立ったのかなという感じですね」
――2月から今大会までの期間、スケートに対するモチベーションや向き合い方はどのような感じでしたか。
「モチベーションに関しては、シーズン中とほぼ変わらない感じで練習してきたかなといった感じですが、もうすぐシーズンに入るということで、もう一度練習の仕方などを見直してみようかなと今回の試合を通して思いました」
――そのように思ったきっかけや要因で思い当たることはありますか。
「試合の緊迫感が楽しかったからですね。今回の試合、内容はぼろぼろではあったのですが、個人的にはかなり楽しくて。最近、有観客になって、やはり僕らフィギュア選手は魅せてなんぼだと思うので、お客さんが入ってくれたらそれはそれだけ頑張れるかなと思います(次戦のげんさんサマーカップも有観客ですね)すごく楽しみです!」
――新しいプログラムの曲を『My Way』にした理由を教えていただけますか。
「少し恥ずかしいですが、まずラストシーズンなのでわりと大人っぽいもの、あとは曲選びの時に支えてくれた人に対して感謝を伝えたいと思って。フィギュアスケーターは小道具などはないので、表現するとしたら自分が踊りや音楽で表現することになるので、何か形として伝えられることはあるかなと考えたときに音楽で恩返ししようと思いました。『My Way』という曲は、母親も好きな曲で、おじいちゃんとおばあちゃんが結婚する時に『My Way』を歌っている方が来てくれて、ハワイかどこかで呼んだみたいです。それでおばあちゃんにとってものすごく思い出の曲で。小学校の時はお弁当を作ってリンクに持ってきてくれたり、中学の時は試合を全部見に来てくれたりたまに練習に来てくれたり、ものすごくおばあちゃんに支えられて、母親も前々からこの曲が好きだと言っていて、ずっと近くで支えてくれたので、だったらこの曲でやろうと思って。現コーチの花絵先生(横谷花絵コーチ)も理由は聞いていないのですがこの曲に思い入れがあると聞いたので『じゃあこの曲でやるしかない!』と思って選びました」
――4年生として最後の一年が始まったということで、心境としてはいかがですか。
「自覚はまだできないですね。スケートと隣り合わせの人生を送ってきたので、もう今年で終わりというのは自覚できなくて。シーズンが終わったらシーズンオフになってまたシーズンを迎えて、いつもその繰り返しだったので、まだ自分の中ではラストシーズンの自覚は持てていなくて。ただここから、げんさんサマーカップもあるので、そこからは気合を入れ直してラストシーズンというのを片隅に置きながら、一試合一試合を大事にこなしていきたいと思っています」
堀見
――今回の演技を振り返っていかがですか。
「全然できていなくて、集中し切れていなかった感じがしました。あまり調子が悪いわけではなくていい方だったので、その良過ぎる感じが良くない方にいってしまったのかなと思います」
――スピンがとてもきれいに見えましたが、ご自身の感覚としてはいかがですか。
「けっこううまくいったかなと思っています。先生には最初のフライングキャメルがいつもより足が下がっていたと言われたので、多分意識が足りなかったのかなと思います。スピンはやればやるほどうまくなるんですよ。ジャンプはやっても調子に波があったりしますが、スピンは波がなくやればやるほど本当にうまくなっていくので、そこが好きでたくさんやっていて、その成果が少しずつ出てきたかなと思います。これからも回るスピードやきれいに回れるように練習していきたいなと思います」
――具体的にスピンのどのようなところがレベルアップしましたか。
「まず回転の速度で、元々速いねと言われていた方でしたが、練習して少し回転の速度が速くなりました。あとは毎日やっているので体が柔らかくなっていって、ビールマンスピンなども足が少しだけ前より上がるようになっていたりすると思います」
――継続のプログラムですが、昨シーズンと比べてどう滑りたいと思いますか。
「ステップや体の動きは慣れてきて流れるように動けるようになってきたので、今度は音に合わせたり表情をつけたり、目線を考えたり、細かいところまでレベルアップさせていきたいなと思います」
山田
――今試合にはどのような目標を持って臨みましたか。
「最近、ジャンプが調子良くてプログラムでしっかりと入るようになっていたので、とにかくジャンプを全部降りてスピンも回り切ってノーミスしたいなと思って臨みました」
――今回の演技を振り返っていかがですか。
「全体的に、ルッツも転んでしまったし回転不足がすごく自分でも分かるくらいあって、まだまだ課題が多いなと感じました。5分間練習がだいぶ力んでいて良くない感じだったので、最初の方はジャンプは力を抜いてとりあえずまとめられるようにして、ルッツで転んでしまったんですけど、後半の三つは自分の中では最初の三つよりは簡単な方なのでそこだけは絶対決めないといけないと思っていました」
――今回の演技で表現できたことや良かったと思うことを教えてください。
「最後のステップは、ジャンプが終わった後で、曲がパイレーツオブカリビアンなのでパイレーツオブカリビアンっぽく、それを心掛けてできたのは良かったかなと思います」
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