戸上2位、宇田5位で大会終える/全農CUP第5回パリ五輪日本代表選考会

2023.07.25

 全農CUP第5回パリ五輪日本代表選考会(以下、パリ五輪選考会)は最終日を迎えた。戸上隼輔(政経4=野田学園)は準決勝をフルセットの末に勝利し、決勝に進出。決勝では張本智和(智和企画)相手に序盤から苦戦を強いられ、優勝とはならなかった。宇田幸矢(商4=大原学園)は5―6位決定戦で勝利を収めて大会を5位で終わり、パリ五輪選考ポイントを60ポイント獲得した。

 

◆7・22~23 全農CUP第5回パリ五輪日本代表選考会(東洋大学赤羽台キャンパスHELSPO HUB―3アリーナ)

◆2日目

▼男子シングルス

 戸上――2位

 宇田――5位

 

 5月の第4回パリ五輪選考会に続く大会連覇には届かなかった。大会2日目となるこの日は、まずパリ五輪選考レース3位の篠塚大登(愛知工大)との準決勝に臨んだ戸上。実力者同士の対決は互いにゲームを取り合うも、先に決勝に王手をかけたのは篠塚だった。もう1ゲームも落とせない状況になった戸上だが、ここから本領発揮。得意とするフォアハンドを決め続け、圧巻の8連続でポイントを取って流れをつかみ、第6ゲームを奪取する。決勝進出が決まる最終ゲームでは、いきなり激しいラリーの応酬が始まる。相手の強力なスマッシュに冷静に対応しつつも、戸上は腕を振って打ち返し、最後はサイドからやや緩めのフォアハンドで先制点を取った。その後も息をのむ展開が続く。途中、審判の判定に対して両者が異議を申し立てる場面が2度ありながらも、カウント10―9までこぎつける。最後は相手が返した球が床に落ちるのを見送り、胸の前でガッツポーズ。試合が2度止まる異例の事態に動揺せず、ゲームカウント4-3のフルゲームで接戦を制し、決勝の舞台へ向かった。

 

 決勝で対峙(たいじ)したのは何度も対戦を重ねてきた張本。戸上は先月のNOJIMA CUP 2023の決勝で、張本とフルゲームの大熱戦の末に敗れて優勝を逃していた。第1ゲームは張本にペースを掌握されて落とすが、第2ゲームはバックハンドやチキータでリードを守り切って試合を振り出しに。しかし、第3・4ゲームを立て続けに奪われしまう。後がなくなった第5ゲーム、カウント1-1からのプレー。張本の左右の揺さぶりで戸上の体勢が崩れたところに強烈なスマッシュが打ち込まれ、戸上は腕を伸ばして真上から振り下ろす。叩きつけられた球を相手は返せなかった。自身の窮地を救うスマッシュでリードを奪ったものの、その後逆転を許し、なかなか点差が縮まらない。戦術を上回る相手の対応力に戸上は打開策が見つからず、カウント5-7から4連続ポイントを食らって勝負がついた。試合後は両者が抱き合い、会場からは盛大な拍手が送られ、2人の健闘をたたえた。

 

 1日目の準々決勝で張本に惜しくも敗れてしまった宇田は5-6位決定戦で曽根翔(T.T彩たま)と対戦。5月の第4回パリ五輪選考会の5-6位決定戦でも同じカードで、その時は宇田が勝利していた。この日はすべてのゲームを通して大差がついた場面はなく、拮抗(きっこう)した展開となったが、集中力を切らすことなく要所を締めて勝利を収めた。特にゲームカウント3―1で迎えた第5ゲーム、相手に4連続ポイントを許して逆転された場面。「特に焦りもなく、仕切り直して攻めの姿勢でプレーに入った」(宇田)。ラリーで力負けせず、チキータを主体に得点を積み重ね、5連続でポイントを取って試合を決めた。5位という結果については「喜びはない。昨日今日と1戦ずつ勝ったが、張本に負けた悔しさが最後まで残る大会だった」(宇田)。満足のいく結果とはならず、次戦へと目を据える。

 

 体調が万全ではない状態で大会を迎えても決勝に進み、地力の強さを示して見せた戸上。先週は全日本大学総合選手権・団体の部に出場し、連戦でも本来の実力を落とすことなく戦うことができた宇田。それぞれパリ五輪選考ポイントを獲得し、今後につなげた。パリ五輪選考レースも後半戦に突入。男子シングルスの2枠をかけ、争いは激化の一途をたどる。

 

[北原慶也]

 

試合後のコメント

戸上(広報を通したコメントを一部抜粋)

 「苦しい中でもたくさんの声援が聞こえてきて、前を向いてプレーをすることができました。張本選手との今大会の試合に関しては、完敗でした。今後はすべての技術において、精度を向上することに努めたいと思います」

 

宇田

――今後に向けてコメントをお願いします。

 「今回は5位で終わってしまったんですけど、次回のパリ選考だったり、全日本選手権ではもっと上位に行きたいと思っているので、そこに向けて大学の大会だったり、国際大会、Tリーグでしっかり調整してさらに強い自分自身を見せれるように頑張っていきたいです」