あと一歩及ばず準優勝 全試合で激闘を繰り広げる/全国大学選抜選手権

2023.07.03

 大学リーグ戦と個人選手権で頂点に立ち、東日本では向かうところ敵なしの中で臨んだ全日本大学選抜選手権。しかし初戦から苦戦を強いられるなど、ヒヤリとした展開が続く。それでも前回王者としての実力を見せて決勝まで進出。決勝戦では優勝の行方が大将戦までもつれる緊迫した勝負が続くも最後は力尽き、2連覇には惜しくも届かなかった。

 

◆7・2 全日本大学選抜選手権(大田区総合体育館)

〈男子〉

▼明大――2位

・2回戦

〇明 大3―2慶 大

〇大 谷2―0福 内

 矢 吹0―2北 村◯

 越 智0―2小久保◯

〇井 上2―0千 葉

〇森 川2―0近 藤

 

・準々決勝

〇明 大3―0同 大

〇山 田2―0横 橋

 大 谷1―1中 森

 大 川0―0湊 本

〇井 上2―0山 澄

〇森 川2―0新 垣

 

・準決勝

〇明 大4―1関西学大

 山 田1―2松 田〇

〇越 智2―0木 下

〇森 川2―0山 本

〇井 上1―0赤 木

〇大 川2―0 辻

 

・決勝

 明 大2―3関 大〇

 越 智0―2岡 田〇

〇森 川2―1内畑谷

〇井 上1―0籠 谷

 山 田0―1後 藤〇

 大 谷0―1長谷川〇

 

 大会2連覇の夢は、強力な関西の猛者たちによって阻まれた。今年度はこれまで参加した大会すべてで栄冠を手にしている東日本最強の明大拳法部。野村メイジ初の全国大会となる本大会にも勢いそのままに臨んだが、初戦でいきなり出鼻をくじかれた。慶大相手に先鋒として登場した大谷流生(法1=大商大堺)は二本を先取して勝利を収めたものの、次鋒戦と中堅戦を連続で落とし、一つも負けられない状況に追い込まれた。しかし、副将戦では井上晴陽(法3=三井)が一本目を先取してから10秒後に二本目を奪取し勝利。「僕は絶対勝たないとチームが負けると思ってやっていた」(井上)。大将戦を任された森川征那(文3=三井)は開始わずか17秒で二本を取って3―2で逆転勝利。準々決勝の同大戦でも、中堅戦が終わった時点で1勝2分けと勝利を決めきれていなかったが、ここも井上と森川が粘り強さを見せる。「しっかり相手の動きを見られていたのでよかった」(森川)。それぞれ勝利を飾り、3―0で準決勝へ。準決勝の関西学大戦は先鋒戦こそ落とすも、後続の4人が勝利し2年連続で決勝へ駒を進めた。

 

 決勝の相手は関大。過去に優勝経験のある名門校相手に、先鋒の越智通友(営3=明大中野)は残り23秒まで粘るも最後に二本目を取られ敗戦。次鋒戦で登場したのはこれまで幾度となくチームを救ってきた森川。相手の方が大柄ではあったが、怯むことはない。「パワーでは絶対勝てると思っていたので、近づいて組みに行こうと思っていた」(森川)。開始1分を過ぎた時、「たまたま」と話したパンチが見事に決まり、一本目を先取。その後一本を決められたが、試合終了間際に二本目を奪取。「場外際で相手が組んで、少し内側に入る感じになっていたので、決めに行けた」(森川)。次鋒戦に勝利し、中堅戦の井上にいい流れを渡した。その井上は先制を許すもそこで崩れずに立て直し、落ち着いて逆転に成功した。井上は今大会個人としては全勝するも「最高の調整をしていたと思っていたが、試合内容を見るとまだまだ」と納得していない。それでもチームは優勝に王手をかけた。しかし、関大も副将戦では2分2秒で取った一本を守り抜いて勝利し、全ては大将戦で決まることに。この大役を任されたのはルーキー大谷。開始14秒、相手の技が決まり一本を取られる。大谷は間合いを取りながら、反撃の機会をうかがう。会場は両者の一挙手一投足に大きな歓声を上げ、試合はこの日一番の熱気に包まれる。残り30秒を示す合図が鳴る中、大谷は攻めあぐねていた。そして、一本を奪えないまま試合時間の三分が経過。熱戦を演じた大谷はあと一歩及ばず、チームは準優勝で大会を終えた。

 

 チームは東日本リーグ戦に続き、多くをケガ人で欠く中での大会だった。しかし「抜けたからといって勝てないとは思っていなかった」(森川)。決勝まで進み、チームの層の厚さを証明して見せた。「連覇できなくて悔しい部分もあるが、今日の負けは価値ある負けだと思う」(井上)。試合終了後に涙が止まらなかった井上だが、今日の結果をしっかりと分析し、秋の大会までの期間でさらなる成長を誓った。森川も「みんないい動きはできていたので、あとは経験、そこだけだと思う」と話し、チームのさらなる結束が予感される。今大会での戦いぶりを間近で見続けた野村龍星主将(文4=関西福祉科学大学)は「みんな精一杯頑張ってくれたと思う。自分の持っている力以上のものを練習でも試合でも出してくれて心強かった、全然負けていない」と、同級生や後輩の成長を感じていた。自身も今後の大会での復帰に向けて練習を再開。「僕が復帰したら、団体は全部優勝を目指したい。勝ちばかり意識しても疲れるが、ラスト半年は自分を追い込みたい」(野村)。秋には頼れる主将が帰ってくる。「全部上手くいく」。後期の逆襲に向けて野村はにこやかに、そして高らかにこう言った。しかし虚勢を張っているように聞こえないその姿は、さながら将軍のようだった。

 

[北原慶也]

 

試合後のコメント

野村

――チームメイトに声掛けはされていましたか。

 「はい、そうですね、でも楽しくなっちゃって。試合に取り込まれたというか僕も一緒に戦っている気持ちになりました」

 

――秋以降に向けてのコメントをお願いします。

 「秋からはやっとチームに戻って練習に参加できるので、みんなと拳法をするのが楽しみですね」

 

井上

――ルーキーで決勝を務めた大谷選手についてはどう思いますか。

 「一回戦では先鋒として流れを作ってくれて、他の場面でも頑張っていて、だから決勝ではプレッシャーを感じずに楽しく拳法をやってほしかったので、前の4人で試合を決めたかったです。前で決められなくて申し訳ないっていうのと、あまり落ち込みすぎないでほしいと思います」

 

――今日の結果を秋以降どのように繋げていきたいですか。

「秋からは野村先輩も賢生(土屋賢生・法2=関西福祉科学大学)も復活してくるので、チーム一丸となってもう一回日本一取りに行くために、後期からいろんな大会があるので、明治が日本一やぞっていうのを見せつけるために頑張りたいと思います」

 

森川

――決勝での展開は狙い通りでしたか。

 「そうですね、動画見て結構こんな感じかっていうのは分かっていたので、そこは考えながらやりました」

 

――今日の結果を秋以降どのように繋げていきたいですか。

 「結果よりもアップの仕方が良かったので、しっかり個人戦、団体戦で準備運動万全にして、しっかり試合をできるような体にして臨みたいと思います」