今後に弾みをつける演技に FS住吉1位、江川2位/アクアカップ

 前日のSP(ショートプログラム)に引き続き、明大勢は住吉りをん(商2=駒場学園)と江川マリア(政経2=香椎)の2選手がFS(フリースケーティング)に挑んだ。FSでは住吉が1位、江川が2位を獲得した。今シーズン初戦の大会を好成績で締めくくり、今後に弾みをつけた。

 

◆7・1~2 アクアカップ(アクアリンクちば)

 「人生には苦難や試練があるが、自分自身の声や力に従って信じていくことで、飛べない鳥が羽ばたいていく」。FSに臨んだ住吉は、曲に込めたその思いを真に表現するため、昨シーズンからのプログラム『Enchantress』を継続した。緊張した様子は見せず、曲の世界観に心から入り込む滑りを見せる。序盤の4回転トーループは成功とはならなかったものの、終盤には連続ジャンプを決めるなど堂々たる演技を披露し、会場は大きな拍手に包み込まれた。また「スケーティングの基礎の部分が力強くなるように練習している」と話すように、プログラムを彩るコレオシークエンスは以前よりも迫力を増し、演技に厚みを持たせた。力強さや表現力を一層高め、自身が考える、演技の〝理想形〟へと着々と歩みを進めている住吉。今シーズン初戦となった今大会はFSでも見事1位を獲得した。

 

 (写真:壮大な曲に乗せ、舞う江川)

 シルク・ドゥ・ソレイユの壮大な曲調の下、新しいプログラムに挑戦した江川。前日の反省を生かし、試合前のアップを変更するなど工夫を見せFSに臨んだ。「ジャンプは納得のいった演技だった」と話すように、前半のトリプルフリップ、トリプルループを難なく決め、安定して加点を重ねる。しかし「後半疲れが出てしまって、本来の滑りができなかった」と、体力面での課題が露呈し、後半思うように点数を伸ばせなかった。それでも、得意のアクセルやトーループを中心に他のジャンプにも幅や高さを生み出し、ダイナミックな自身の滑りを雄大な曲調に調和させてみせた。新プログラムで初となるFSに手応えと課題をつかんだ江川は、実りのある2位となった。

 

 前日のSPに続いて、会場に集まった多くの観客を魅了した両選手。2日間の会場の声援や拍手はこれからの選手たちを後押しするに違いない。今シーズンはまだ始まったばかりだ。今後の活躍に目が離せない。

 

[橋本太陽]

 

住吉

――昨シーズンから継続のプログラムで力強さが増している気がしました。ご自身で振り返っていかがですか。

 「2月にシェイリーン(シェイ=リーン・ボーンさん)のところに2週間と長く行くことができて、プログラムをブラッシュアップしてもらったり、スケーティング自体も力強いスケーティングができるように見てもらったりしました。昨シーズンも同じ曲でしたが、レベルアップしたものとして見てもらえる出来に仕上がっていると思います」

 

――さらに力強さを出すためにどのように練習していきますか。

 「シェイリーンに見てもらう機会はなかなかないですけど、普段から見てもらえる佐藤紀子先生にスケーティングの基礎の部分を前よりも頻繁に見てもらうことで、一歩の力強さや一歩でどれだけ滑るかというところに着目して練習しています」

 

――今シーズン挑戦したいことを教えてください。

 「まずは4回転を降りられたのが昨シーズンは全日本選手権1回だったのでクリーンで何度も降りたいし、今後に向けてトリプルアクセルと4回転サルコーを練習していって、本番で自分の力をトリプルまでのジャンプを確実に決めるっていうことをやりながら、トリプルアクセルと4回転サルコーも練習時間を確保してやっていこうかなという感じです」

 

江川

――今日のジャンプは高さがありました。昨シーズンとの違いを教えてください。

 「アクセルやトーループは前から得意としていて、幅と高さがあったんですけど、他のジャンプも強化できてきたので、見栄えのいいジャンプができたのかなと思います。昨シーズンよりも幅ができました」

 

――先生からはどのような指導を受けていますか。

 「振り付けの面で、自分は前の空間を作るのは得意だけど、背中とかを含めた後ろの空間を使うのがまだ足りない部分だと言われています。あとはスムーズに滑ること。楽に滑るって言うと違うんですけど、一番滑走しやすい位置で滑る、みたいな丁寧な部分をもうちょっと強化しようと練習しています」

 

――ジャンプの安定感がテーマだとおっしゃっていましたが、具体的にどのように練習していきますか。

 「練習で単独でやっているとできるけど、本番になるとできない、というのはあるあるだと思うんですけど、曲で飛べないと意味がないのでつなぎも含めて練習しています。踊りの中の一つにジャンプがあるという感じの練習をしています」