紫紺の勇者5季ぶり優勝! 100周年に花添える/関東学生春季1部リーグ戦

2023.06.21

 100周年目の春、ついに頂点に立った。前半は両者拮抗(きっこう)した戦いを見せ、0―0で終えた。後半開始直後に失点するも、守備から流れを作るホッケーを展開し、FW大岡凌磨(政経4=今市)が2得点に絡む活躍で逆転。強化した持久力、終盤まで諦めない心が勝利をつなぎ、関東学生春季1部リーグ(以下、春季リーグ)通算40回目の優勝を果たした。


  2季連続で挑んだ決勝の舞台。相手は昨年度関東学生秋季1部リーグ(以下、秋季リーグ)で引き分けを喫した東農大だ。日本代表でも活躍するFWの柏木蓮(東農大)を止められるかがカギとなっていた。前半、実力が拮抗し両者ともなかなかパスがつながらない。そこで第1Q終了後、小池文彦監督は「いつも通り、いつも通り」と、声を掛けて硬くなっていた選手をほぐした。第2Qに入り両者ともゴール前まで切り込む場面もあったが、0―0で前半を折り返す。

 

 第3Q開始1分、警戒していた柏木に放たれたシュートは、ゴールの左隅を無情にも突き刺した。痛烈な一撃に明大のオフェンス間で焦りが生まれ、PC(ペナルティーコーナー)を何度も献上してしまう。だがこれをDF小林育斗(法1=岐阜総合学園)が連続で止めるファインプレー。さらにディフェンス陣は「確実にサイドに追いやって止めていこう」(DF浅川海音・法3=丹生)とすぐさま戦略を修正。ここから〝つなぐホッケー〟の本領を発揮する。第3Q終了間際、MF吉田登以(商1=丹生)のプレーが反則を誘いPCを獲得。シュートは阻まれたものの、混戦となったところを吉田がキープし、ゴール前の大岡につないでシュート。1―1の同点として最終第4Qへ突入した。


 (写真:得点後喜びを爆発させる大岡)


 うだるような暑さに体力と気力を奪われる中でも、明大は脚を止めず、集中力を切らさなかった。ギアを上げた明大は次々とインターセプトを成功させ、流れを完全に握った。11分には縦パスを受けて切り込んだFW齋藤偉颯(法2=今市)から大岡が得意のリバースヒットで決めて逆転。ツートップが華麗な連係を見せた。さらに試合終了間際、カウンターからの速攻がハマり、齋藤がダメ押しの3点目を決める。そのまま試合終了のホイッスルが鳴り響き、優勝が決まった。明大の応援席、ベンチ、フィールドは5季ぶりに歓喜の渦に包まれた。

 

 SO(シュートアウト)戦の末劇的な勝利を飾った山梨学大戦に続き、選手層の厚さを生かし終盤まで〝粘りの明治〟を体現した今試合。「ラントレーニングで強化して武器になった」(大岡)という持久力、メンタル面ともに、試合を重ねるごとに成長を見せたチームだった。最優秀選手賞に大岡、ベストイレブンに高松(雄飛主将・法4=丹生)、大岡、坂本(樹哉・法3=飯能南)、小林(正人・政経3=今市)が選出。「最後の優勝が1年次の秋だったので後輩たちにも優勝を経験させたい」(高松)という最上級生の思いが、頂へ導いた。100周年の今年度、期待とプレッシャーの中、輝かしい成績を残して春を越えた高松組。3週間後の全日本大学王座決定戦(以下、王座)に向けてチーム一丸、ここからまたスタートだ。

 

[杉田凜]


 (写真:表彰式後の選手たち)

 

試合後のコメント

小池監督

――失点してからのチームの雰囲気はいかがでしたか。

 「まだまだいけるという気持ちがありました。前回の山梨学院戦から肌で感じていますので、最後まで諦めない。そういうホッケーをさせていますので、そこも彼らの成長につながっています」

 

高松

――第4Q、同点に追い付く大岡選手のシュートはいかがでしたか。

「PCを止められた後もう1度消して取られたっていうところで相手のいいフリックがありましたが、そこで 1年生の小林育がしっかりと止めて2本とも止めてくれました。あれが一つ流れ引きつけた要因だと思います。選手層は相手に比べたら厚いので。全員使って交代しながら走るホッケーをやっていく中で、相手が疲れてきたところを自分の運動量でカバーできたと思います」

 

――春季リーグを振り返っていかがですか。

「圧倒的な試合はあまりなかったと思います。前半手こずって後半粘り勝つようなホッケーができていたとも思いますが、圧倒的に勝つっていうイメージを表現するにはどんな相手でも最初に点を取っていかなければならないと思うので、今後の課題や、もう一つ上が見えるチームになるいい大会だったと思います」

 

大岡

――優勝した感想を教えてください。

 「本当に心の底から嬉しいというか、僕が1年生の秋が最後の優勝だったので、試合終了後涙が込み上げたというか、それぐらい本当に嬉しかったです」

 

――試合前、監督からどのようなことを言われましたか。

 「ここ絶対勝とうとか、メンタリティの部分をかなりおっしゃっていました。100周年なので、監督陣も気合い入れてそのような力強い声掛けをいただきました」

 

浅川

――初めての優勝ですが、どのように感じていますか。

「私たち3年生は初めて大会で優勝することができて、1.2年にも優勝という機会を与えられたのは良かったと思っています。これからも秋季リーグや王座などでしっかり結果を残せるように頑張ります」

 

吉田

――PCをご自身のプレーで数多く獲得し、得点につなげていましたが、プレーでなにか意識していたことはありますか

「僕はスピードに乗ったドリブルが武器なので中ではなく、外から脚を使ってドリブルして相手の反則を誘うことを意識しました」