
8年ぶりのベスト8進出! 強豪・近大に一矢報いて5位入賞果たす/全日本学生男子王座決定戦
〝王座での1勝〟。悲願の目標を達成してみせた。関東学生男子1部リーグ戦を5位で終え、迎えた全日本学生男子王座決定戦(以下、王座)。1日目の予選ラウンドを9位で通過し、2日目の決勝トーナメントでは初戦で長崎国際大と対戦。接戦の末、見事勝利を収めた。続く準々決勝では近大に惜しくも敗北したものの、スポーツ推薦を擁する強豪相手にも臆せず戦い、5位入賞で今大会に幕を下ろした。明大男子がベスト8進出を最後に果たしたのは2015年。見事8年ぶりの快挙となった。
◆6・17~18 全日本学生男子王座決定戦(つま恋リゾート彩の郷第1多目的広場)
▼明大――5位
昨年度に引き続き、王座の舞台に立つことができた。1日目は各チーム4人が72射を放ち上位3人の合計得点で順位を競う予選ラウンドが行われた。普段の個人戦とは違い、団体戦である今大会。王座ならではの緊張感の中でも「雰囲気はいつも通りだった」(矢野月海・法3=新島学園)。この日のために駆け付けてきたチームの応援を力に変え、リラックスして大一番に臨んだ。チームトップの313点を記録した舘柾臣(法3=N)は前半調子が振るわず、苦しめられたものの「後半は自分なりの当て方を思い出すことができた」。後半で14点も点数を伸ばし、個人順位も30位から20位へ上昇。明大は昨年度の13位から大幅に順位を上げた9位で予選ラウンドを通過し、2日目に駒を進めた。
(写真:弓を引く舘(左)と武藤 )
2日目は各セット3人がそれぞれ2射を放ち、その合計点でセットを奪い合うオリンピックラウンド形式で決勝トーナメントが行われた。4セットマッチで、1セットにつき点数の高いチームに2点、同点の場合は両者に1点が加点され、先に5点以上獲得したチームが勝利となる。ベスト8進出を懸けた1試合目の相手は予選ラウンド8位の長崎国際大だ。2年ぶりの王座出場を果たした昨年度、明大は初戦で敗れ、ベスト16で敗退。「1勝することをチームのこの1年間の目標として掲げてきた」(大本創太・営4=東京都市大付)。昨年度を超えるため、悲願を達成するために何としてでも譲れない戦いだった。第1セットを同点で抑え、第2セットを49―48のわずか1点差で獲得する。決勝ラウンドへの出場はかなわなかったものの、補欠選手として試合を見ていた武藤圭(法2=明大中野)は「いいコンディションで打てていたと思う」と試合を振り返る。迎えた第3セットも46―44で接戦を勝ち取り、ポイント数5―1で見事勝利を収めた。
(写真:ガッツポーズを見せる矢野 )
ベスト4入りを懸けた2回戦目の相手は近大。8年連続決勝進出を果たし、今年度準優勝の強豪だ。第1セットは49―56で力の差を見せつけられる。「ストレートで負けるだろうと誰もが思っていたと思う」(大本)。しかし、ここで終わらないのが明大。「集中して何が何でもこの1セットをもぎ取ろうと3人で話していた」(大本)。究極の個人戦であるアーチェリーだが、3人の選手だけではなく応援に来ていた部員も含めたチーム全員の気持ちが一つになった瞬間だった。明大は驚異の55点をたたき出し、第2セットを獲得。第3、第4セットを落としポイント数2―6で敗北に終わるも、まさに格上相手に一矢報いてみせた。なんと今大会で近大相手にポイントを獲得したのは優勝した日体大以外、明大のみ。スポーツ推薦者を擁する強豪相手にも力が通用することを証明した。
(写真:試合後、OBと抱き合う大本 )
6位までが表彰され、5位以下は獲得したポイント数で順位が決まる今大会。近大相手に勝ち取った2点が決勝点となり、見事5位に輝いた。この王座をもって明大は代替わりを迎える。出場メンバーのうち、唯一の4年生である大本は「全てはこの日のためにあったのだと思う。100点の引退試合だった」と満足げな表情で大会を振り返った。後輩に託された次なる目標は〝2勝〟。「まずは予選順位を上げたい」(矢野)。今年度大躍進を遂げた明大はさらに上位を目指し、鍛錬に励む。
[井手満菜]
試合後のコメント
大本
――王座を終えてみていかがですか。
「まずは1勝できたということで当初の目標を達成することができて、その次の近大にも1セット取ることができて、悔しかったのですが後悔のない試合だったかなと思います」
――決勝ラウンド1戦目を振り返っていかがですか。
「少しミスはあったかなと思いますが比較的いつも通りの射ができたかなと思います。とにかく緊張していたのでとりあえず真ん中に当てることだけを考えて、4年生ですし、去年負けているので勝ちたいという気持ちは人一倍あって、とにかく何としてでも勝つという気持ちで頑張っていました」
――近大戦については振り返っていかがですか。
「ストレートで負けるだろうと多分誰もが思っていたのですが、選手間でも何としてでも1セット取ってやろう、もぎ取ろうという気持ちで臨んでいて。そこでこの1セットは絶対取ろうという気持ちで3人で話して、本当に集中して何がなんでも入れようというエンドがあったのですが、相手の下振れに合わせて勝つことができたかなと思います」
――初日の試合後『悔いのないよう頑張りたい』とおっしゃっていましたが、決勝ラウンドを終えてどのように感じていますか。
「悔しかったのですが、後悔のない試合にできて100点の引退試合だったかなと思います。現役として部を引っ張るという立場での引退試合は今大会になります。今後は個人戦などはありますが部としての引退試合が今回で、これで正式に代が交代します」
――入部からこれまでをどのように振り返りますか。
「自分は1年生の秋に入部して、全てはこの日のためにあったのかなというくらいに本当に楽しめた試合だったので、今回の王座のために頑張ってきた3年間だったなと思います」
――同期に向けてメッセージはありますか。
「応援に来てくれたことが本当にうれしくてそれが一番励みになりました。初めて出る2日目でも緊張せず平常心を保って打てたかなというのがあるので本当に感謝しかないですね。後は本人たちに言いたいと思います」
舘
――決勝ラウンドを振り返っていかがですか。
「1回戦、わりと去年くらいまでレベルが高くて明治からすると格上ですが、勝てるところあるかなと思って実際に勝てたので良かったです。やはり1回戦勝つのが目標だったので緊張はしましたが勝つことができて良かったです。近大はうまかったですし、レベルが違うなという感じはしました。でも絶対どこかで勝って2ポイントだけは取ろうと話していて、実際それが成功したので勝ちだと思っています(笑)」
――近大戦で55点を取ることができた要因は何だと考えますか。
「アーチェリーは集中力が必要で、でもそれを毎回やるのは、本当は毎回やらなければいけないのですが難しいので、その1回に注ぎ込むというか、そのエンドに力を入れて成功しました。1エンド目で負けて、でも次で2ポイントだけ取って同点にしようと話しました」
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか。
「ブレが大きかったです。自分が3番手で当てることを求められていたのですが、最初の方はいつものフォームができていなくて、あとは時間に追われていることもあって外すことがあったので良くないなと反省しています。ですが、これだけ見ている人も応援してくれる人もいて楽しかったです」
――3番手を務めてみていかがでしたか。
「一番楽しいです。単純にかっこよくないですか?自分が最後に10点を入れた時があって。それが良かったです」
――今大会の結果についてどのように捉えていますか。
「2回戦で負けましたが、2ポイント取ったことで全体では5位という扱いになるので順位も上の方を取れましたし、大学としても次に生かせるいい経験になったと思います。かなりポジティブに、いいかなと思っています」
――今大会で得た収穫を教えてください。
「近大の人などを見ていて思うのは、このような大舞台を経験しているので大きな舞台でもあまり緊張しないのだろうなと思っていて、経験は大事だなと思います。来年に生かしたいです」
――来年は4年生ということで王座ラストチャンスになりますね。
「来年の王座では自分の目標は王座に出た上で、個人の1日目の点数や順位で上をとる、日体大や近大に近づけるようにしたいです。チームとしては2勝したいです」
矢野
――王座を終えての率直な気持ちを教えてください。
「楽しかったのが5割、格上に2点取れたのでうれしかったのが3割、残りの2割は悔しさです」
――悔しいのはなぜですか。
「格上相手に一矢報いてやろうという気持ちで近大と戦って、それで第2エンドで自分のできる射がズバッと打ててそれでポイントを取ることができて、もう少しそれができれば勝てたのではないかと思ったのでそれがだいぶ悔しかったですね」
――1戦目の長崎国際大の印象、試合を振り返っていかがですか。
「だいぶ怖かったです。結構体格も良くてアーチェリー打ってきてたんだろうなと思ったので、経験値は豊富だなと思いました。自分はあまり振るわなかったといいますか、緊張で全然打てなかったという感じですね」
――打つ順番はどのように決めましたか。
「自分の場合は打つのがそれほど早くないので2番手3番手だとあまり良くないなというので1番になりました。舘は3番で当てた方がかっこいいという理由で3番です。本当は大本先輩も3番が良かったのですが予選ラウンドの点数が舘の方が高かったので大本先輩が2番になりました」
――試合中、メンバー間で話して印象に残ったことはありますか。
「思ったより集中し過ぎて覚えていないのですが、舘が『攻めろ、お前の力出せ!』みたいな感じの言葉を掛けてくれて『何くそー』と思ってやりましたね」
武藤
――初戦から見てきて決勝ラウンドはどのような試合でしたか。
「団体戦の練習をしている時とかけっこうミスが出ることもありましたが、今日の試合を見た感じだと大きいミスが3人ともなかったので昨日に比べて結構いい調子だったのではないかなと思います。去年成し遂げられなかった1勝という目標を達成できましたし、近大にも2ポイント取ることができたのでかなりいい試合だったのではないかなと思います」
――近大戦で55点を記録した時は見ていていかがでしたか。
「練習で一番調子がいいときはそれくらいの点を出せていて、出せることは分かっていたのでしっかりと調子良くできていたのだなと思います」
――来年度の王座に向けてご自身はどのような目標を掲げますか。
「王座のメンバーに入ることを目標にして、入れたら今度は予選からしっかり明大の中で3番手以内に入って2日目のトーナメント戦に来年こそはいけるようにしたいと思います」
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