戸上、惜しくも準優勝 張本とフルゲームの大熱戦/NOJIMA CUP 2023

2023.06.19

 日本のプロ卓球リーグであるTリーグの個人戦、ノジマカップの準々決勝以降がこの日行われた。1日目の2回戦を勝利した戸上隼輔(政経4=野田学園)は準々決勝、準決勝を勝ち抜いて決勝まで進出。決勝は今年5月の世界選手権で同じ日の丸を背負った、張本智和(琉球アスティーダ)との対決。最終ゲームまでもつれる大接戦だったが惜しくも敗北を喫し、大会を準優勝で終えた。

 

◆6・17~18 NOJIMA CUP 2023(東洋大学赤羽台キャンパス HELSPO HUB-3アリーナ)

◆2日目

▼男子シングルス

 戸上――2位

 

 1日目の2回戦で同じ明大の宇田幸矢(商4=大原学園)との対決に勝利した戸上は、優勝を目指して準々決勝に臨み、ゲームカウント4―2で勝利。続く準決勝ではリオ五輪の男子団体銀メダリストの実力者・吉村真晴(琉球アスティーダ)と対戦した。第1ゲームはデュ―スに持ち込むもあと一歩及ばず、11―13で落としてしまう。しかし戸上は動じなかった。第2ゲーム以降は4連続で点を取る場面が見られるなど、勢いを取り戻してゲームカウント4―1で勝利。現全日本王者の実力を遺憾なく発揮し、見事決勝進出を決めた。

(写真:準決勝でガッツポーズをする戸上)

 

 迎えた決勝。対戦相手はこれまで幾度となく決勝の舞台で顔を合わせてきた張本。今年だけで2度対戦し、いずれも戸上が勝利していた。相性が良い相手だったが、第1ゲームは序盤からペースを握られ、5―11でゲームを先取される。しかし第2ゲーム、今度は戸上が主導権をつかんだ。張本の逆をつくスマッシュが決まり、第1ゲームの悪い空気感を払拭。11―6でこのゲームを取り、試合を振り出しに戻した。続く第3ゲームは一進一退の攻防が続く。1点決められたら1点取り返す。相手の3連続ポイントが決まれば戸上も同様に3点を連続で返すなど、9―9まで息をのむシーソーゲームを展開。しかし最後は張本の打球が不運にもネットインし、このゲームを落としてしまった。それでも第4ゲームは戸上のフォアハンドがさえ、圧巻の6連続ポイント。11―5でゲームカウント2―2とした。

(写真:決勝でバックハンドを打つ戸上)

 

 第5ゲームは途中リードを許すも反撃に出て、じわりと迫る。6―7と1点差にしたところで、張本サイドがタイムアウトを使うと流れが一変。戸上の反撃ムードが断ち切られ、このゲームを制される。優勝への王手をかけられ、窮地に追い込まれた。だが戸上は意に介さず、さらに攻めに転じた。フォアハンド、バックハンドを巧みに打ち分け張本を翻弄(ほんろう)。第6ゲームを奪い、優勝の行方は最終ゲームに託された。序盤は拮抗(きっこう)した展開が続いたが、徐々に引き離されていく。最後は張本の打球に反応こそしたものの、ラケットに当たった球は台に届かなかった。5―11となり、ゲームカウント3―4で戸上は準優勝。会場からは激闘を繰り広げた両者に割れんばかりの拍手が送られ、大会の幕が下りた。

(写真:試合後、お互いをたたえ合う戸上と張本)

 

 「本当に悔しい」。試合後のインタビューで率直な気持ちを聞かれた戸上は開口一番、そう答えた。「思い切ったプレーで相手にプレッシャーをかけたかったが、張本選手は終始我慢を続けた」。戸上が理想とする試合展開が、今回の張本にできなかった。それでも2位という好成績を残し、パリ五輪代表選考ポイントを40ポイント獲得。3位との差を広げ、パリ五輪代表内定へまた一歩近づいた。今後は国際大会が立て続けにあり、7月には全日本大学総合選手権・団体の部や第5回パリ五輪代表選考会も控えている。多忙を極めている中で堂々の結果を残した戸上。この経験が財産となり、これからに向けていい影響を与えるに違いない。

 

[北原慶也]

 

試合後のコメント 

戸上

――張本選手とは今まで何度も対戦してきましたが、今日はいつもと違いましたか。

 「相手も今まで悔しかったと思いますし、色々戦術を変えてきて対応し切れない場面があり、良さを前面に食らってしまった感覚です」

 

――課題はありましたか。

 「まだまだ安定感がないなと思ったので、世界や中国の選手と戦うにあたって、もっと精度を上げていいポイントが入った後でも、もう一回同じようなボールを打てる安定感を持ったスタイルを求めていきたいです」

 

――今後に向けて意気込みをお願いします。

 「選考会も折り返しなので、引き締めてここから海外でも国内の大会でも、全ての大会で結果を求めて頑張りたいと思います」