
個性光る演技で魅せたSP 3選手が出場し佐藤4位でFSへ/特別国民体育大会冬季大会
青森県で行われている特別国民体育大会冬季大会(以下、国体)スケート競技。明大から成年男子に3人が出場し、山隈太一朗(営4=芦屋国際)が兵庫県代表、大島光翔(政経2=立教新座)と佐藤駿(政経1=埼玉栄)が埼玉県代表として臨んだ。国体特有の和やかな応援に包まれたSP(ショートプログラム)。佐藤が4位、大島が10位、山隈が13位で明日のFS(フリースケーティング)を迎えることとなった。
◆1・27~31 特別国民体育大会冬季大会(FLAT HACHINOHE)
今月3試合目を迎えた佐藤。演技冒頭に挑んだのは4回転フリップ。予定していた4回転ルッツは調子が良くないことを受け、大会数日前にフリップを入れることを決めた。回転が足りず成功にはならず「やっぱり難しいなという感じ。すごく力が入っていた」と振り返る。続く4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプは危なげなく決めた。伸びやかな滑りで魅せ、中盤ではレベルを取りこぼさないスピンで観客から拍手が起こる。後半、トリプルアクセルはきれいな着氷にはならずGOEで減点となった。「本当にSPはどうしていいのか分からなくて。このままだとSPは弱いなというイメージがついてしまうと思う」。真剣に悩み続けていることは話ぶりににじみ出ていた。FSでは「気を楽にしていつも通りやっていければ」と前向きに明日の本番を見据えている。
(写真:10位の大島)
大島は6分間練習から本番を楽しむ心意気を見せていた。「今シーズンで一番いいアクセルが決められた」と、見事なトリプルアクセルで会場を沸かす。続くトリプルフリップは着氷後にやや乱れたものの、会場の盛り上がりはやまず。ジャッジだけでなく観客に向けても近距離かつ大胆な振り付けで魅了する姿は〝氷上のロックスタァ〟そのものである。3本目のジャンプは「本番前に不安が残っていたジャンプで、降りなければという気持ちが先行してしまった」と、ルッツの詰まりが影響しまとめ切れない連続ジャンプとなった。昨シーズンから継続した『Real?』だが「試合で披露するのはこれが最後だと思って臨んでいた。悔いのないように滑り切りたいなと思って滑っていた」。人の心を動かす演技だったと示してくれるかのように、立ち上がって拍手を送る観客の姿がいくつもあった。
(写真:13位の山隈)
「全日本学生氷上選手権(以下、インカレ)が正直悔しくて、これで終わりにはしたくなかった」。国体に向けてより一層準備を重ねて臨んだ山隈。冒頭のトリプルアクセルでのミスは自身でも予期せぬものだった。2本目には3回転ルッツからの連続ジャンプを耐えながら成功させる。最後に跳んだトリプルフリップはきれいに着氷。加速するチェロの旋律に乗り、最後まで全身で表現し切った。「周りの方からの評価が高く、先生方からも『この難しいチェロの部分を踊り切れるのはあなただけよ』と言ってもらえた」。唯一無二の表現力は最後まで光っていた。FSでは自分の思い描く演技を観客に届ける。
最後の競技会となる山隈、2月に四大陸選手権を控える佐藤、周りの選手たちを誰よりも盛り上げる大島。今回の国体の位置付けはそれぞれで異なる部分がある。その中でも3選手の演技には見る者を魅了するものがあった。個が光る明大勢はFSでさらなる輝きを放つに違いない。
[守屋沙弥香]
試合後のコメント
佐藤
――今月すでに2試合に出場していますが、最近はどのような課題がありましたか。
「FSの曲かけをしていて思うのですが、だんだん体力が減ってきているというか、練習はしっかりやっているのですが体力がだんだん落ちてきているかなという印象があります。ここから体力を戻して演技できるように頑張りたいと思います」
大島
――今シーズン、質を高めてきたトリプルアクセルですが、今回のアクセルを振り返っていかがですか。
「今シーズンで一番いいアクセルがここで決められたと思いますし、2年前の全日本ジュニア選手権でここのリンクではいい思い出があるので、その思いのまま、アクセルは思い切り踏み切れたかなと思います」
――『Real?』を昨シーズンから続けてやってきましたが、ご自身で何か感じていることはありますか。
「試合で披露するのはこれが最後だと思って自分も臨んでいたので、2年間の集大成とまではいかないですが、お世話になった思い出に残るプログラムなので、悔いの残らないようにと最初から最後まで滑っていました」
山隈
――インカレから国体までどのような心境で練習してきましたか。
「インカレが正直悔しくて、これで終わりにはしたくないと思っていました。全日本選手権(以下、全日本)の後の難しさもすごく感じました。インカレでは勝負にいくのか自分の理想を追い求めるのかそのどちらも体の中にあって、それを消化し切れずに試合に臨んでしまったので、自分の中では少し物足りなさが残ってしまいました。このままで絶対終わりたくないと思いましたし、国体を引退試合にできることの幸せを感じて、最後に向けて気をもう一度引き締めて、自分の求めていた理想のスケートができるようにということだけを求めて、全日本の前よりも追い込めたかなというくらいの準備をしてきました」
――昨シーズンから続けたこのSPにはどのような思い出がありますか。
「このプログラムに関しては、入りに特別な何かがなかったというか、面白いチャレンジをしてみようという気持ちではなかったですし、純粋にかっこいいなと思って始めた曲で、最終的にはもしかしたら自分のSPの中で一番素晴らしい作品になっているのではないかと思います。自分が思っているよりもこのプログラムから得られたものが大きかったですし、何よりも周りの方からの評価がこのプログラムは高くて。他の先生方からも『この難しいチェロの部分を踊り切れるのはあなただけよ』と言ってもらったりもしました。振り付けしてもらった岩本英嗣先生にも、インカレの時に『俺が振り付けた時にこうなればいいなと思っていた理想の形の10倍良かった』と言ってもらえて、スケーターとしてはこれ以上ないことというか、振り付けしてもらった人の想像を超えられたというのは自分の中ですごくうれしかったですし、そういう意味ですごくたくさんのものを僕にくれたプログラムかなと思います」
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