明大勢から31年ぶりの優勝! 5人が入賞果たし、団体7位/全日本大学選手権

2022.11.27

  フリースタイル部門での学生王者を決める内閣総理大臣杯が開催。92キロ級の坂井孝太朗(文3=花咲徳栄)が優勝、86キロ級の岩井知史(文2=前橋西)が3位に入り、表彰台に上がった。他にも79キロ級の清水大輔(営2=鹿島学園)が5位、97キロ級の槇井大伍朗(法2=関西)が7位、65キロ級の太田匠海(営2=いなべ総合)が8位の成績を残し、大学別得点で7位入賞と明大勢は大健闘を果たした。

 

 

◆11・19~20 全日本大学選手権(金岡公園体育館)

[フリースタイル]

▼57キロ級

塚田――2回戦敗退

▼65キロ級

太田――8位

▼74キロ級

山崎――2回戦敗退

▼79キロ級

清水――5位

▼86キロ級

岩井――3位

▼92キロ級

坂井――1位

▼97キロ級

槇井――7位

▼125キロ級

大浦――2回戦敗退

 

 

 「優勝しないといけないと思っていた」。坂井の出場した92キロ級は出場者が他の階級に比べ少ないため、順位決定戦の前にまず2ブロックに分かれて総当たり戦が行われた。1回戦目の相手は全日本学生選手権(以下インカレ)の準々決勝で対戦し、敗れた国士大の目黒。実は10月に国士大との合同練習を行っていたこともあり、互いに手の内をよく知る相手だった。試合開始1分、相手のパッシブにより先制するも「自分の頭を常に下げてくるようなグレラー(グレコローマンスタイルの選手)のプレースタイルに苦戦した」。なかなか攻めに入ることができず第2ピリオドではパッシブにより2点を献上し、そのまま1-2で敗北を喫してしまう。しかし、2回戦目に勝利しブロック内2位の成績を収めたため、準決勝への切符をつかむことに成功。「負けた後の2試合は自分の動きを確かめることができたし試合展開もよかった」。準決勝も7-0で勝ち星を挙げ、迎えた決勝の相手は本大会2度目の対戦となる目黒(国士大)だ。試合開始1分半、攻め切ることのできなかった1回戦目の反省を生かし、スキをついてタックルを決め2点を獲得。「相手の特性を理解して、勝負所を見極められていた」(森陽保監督)。第2ピリオドでは一進一退の攻防を繰り広げるも、相手の得点を許さず2-0で勝利し、頂点に立った。「絶対に気持ちで負けてはだめだと思った」。9月にキャプテンに就任した坂井。チームを引っ張る存在としての勝ちへのこだわりが金メダルに繋がった。今大会で明大勢から優勝者が出るのはなんと31年ぶり。まさに新たな歴史を築いた瞬間だった。

(写真:チャンスをうかがう坂井)

 

 上半身の攻防のみで戦うグレコローマンスタイルを専門にする岩井がフリースタイル86キロ級に挑戦。1回戦目の相手は「力がとても強くて自分も合わせてガチガチになってしまった」。開始30秒で先制点を奪われ、リードを許したまま第1ピリオドを終える。インターバルに入り二ノ宮寛斗コーチ(令2営卒)に助言をもらうと「少し力を抜くことで相手の力を利用するようにした」。第2ピリオド開始30秒でタックルに入り2点技を決め、続けて相手を場外に出し1点を獲得。形勢逆転に成功し3-2で見事勝利を収めた。続く2回戦、準々決勝と西日本学生選手権のチャンピオンたちを相手に順当に白星を重ねていく。しかし、準決勝ではインカレ3位の実力者に、テクニカルフォール負けを喫してしまう。そして大会2日目に迎えた3位決定戦。開始早々グラウンドに持ち込み、バックをとるとそのままローリングを重ねる。わずか1分あまりで決着をつけ、圧巻の強さで銅メダルを手にした。

(写真:グラウンドでの攻防を制した岩井)


  「課題の残る試合だった」(槇井)。あと一歩のところで表彰台に上がることができず、悔しさをにじませた選手も多かった。3位決定戦で敗れ、惜しくもメダルを逃した79キロ級の清水は格上相手に攻めあぐねてしまったことを反省。「自分から攻めてしっかり勝つという気持ちで挑みたい」とリベンジを誓った。準々決勝、敗者復活戦に敗れ、8位の成績を残した65キロ級の太田は「組み手からのもう一手やタックルからのもう一歩が足りず、攻め切れなかった」と、次戦への確かな足がかりを得ていた。また、春シーズンから階級を上げ、125キロ級に挑戦した大浦響(営1=山形市立商)は「なかなか前に出られなくてパワーや押しで負けてしまった」とフィジカル面での課題を明確にした。

 

 一方で、成長を感じることのできた場面も多かった。「1回戦目はうまくバックを取って、すぐにローリングで回すことができた」(山崎然生=営3・いなべ総合)。74キロ級に出場した山崎はグラウンドを意識した練習の成果を発揮することができた。また、57キロ級に出場した塚田京(農2=埼玉栄)も「今まで脇が甘かったり、雑になっている部分があったりしたが、練習でコーチなどに教えてもらって試合でも自分なりにいいレスリングができた」と日々の練習が本番でも通用することを実感し、今大会を自信につなげた。

 

 31年ぶりの優勝者を出し、団体7位と個人としてもチームとしても大健闘を収めた今大会。約1週間後には東日本学生秋季選手権が、1ヶ月後には天皇杯全日本選手権が控える。「個人で勝つというのももちろん、全体としてのレベルアップにもつなげていってほしい」(二ノ宮コーチ)。フレッシュなチームの勢いをそのままに選手たちのさらなる活躍に期待がかかる。

 

[井手満菜]

 

試合後のコメント

森監督

――大会全体を振り返ってみていかがですか。

 「まず、リーグ戦で惨敗してそこからチーム立て直しということで、9月に新チームを立ち上げました。今大会に向けてみんなで勝たなきゃいけないということで、キャプテンである坂井が自覚を持って練習を行っていたので、全員が明治大学の代表として意識できていたことが結果につながったと考えています」

 

――今大会で見つかった課題などはありますか

 「最後勝ちきれなかった選手もいて、あまりないチャンスをものにしていくということがとても重要なので、チャンスをものにすることの大切さをこれからの練習で学ばせていきたいなと思っています。後は自分の形になれずにレスリングしているところが多いので、自分の形を作るということに対してもう一度見直し、振り返りながら練習を行っていきたいなと思います」

 

二ノ宮コーチ

――今大会を振り返っていかがでしたか。

 「全体的に良くなってきた感触はありますが、それが結果に結びつくかどうかはまだまだかなという感じです。自分のレベルより強い選手を倒すということにまだ慣れていない選手もいます。そういう少しずつの積み重ねでここからどこまで積んでいけるかだと思います」

 

――次戦に向けて意気込みをお願いします。

 「今回見ていてなかなか積極的に行けない状況があったりグラウンドの状態でやられたりすることがチームの課題だと思います。練習ばかりうまくても試合ではうまくいかない選手も多いので、思い切ってやって試合で成功体験を積んで、今後に繋げていって欲しいなと思います」

 

坂井

――大会を終えて率直な気持ちを教えてください。

 「少し安心しています。僕の階級は6人しか出場者がいなくて、さすがに優勝しないといけないなと思っていたのでそのプレッシャーから一気に解放された感じです」

 

――今大会に向けてキャプテンとして取り組んできたことはありますか。

 「9月からキャプテンになって、約2ヶ月経つのですが新チームで最初は何をやればいいのかわからない状態から試行錯誤してやってきました。特にこの大会は団体戦で大事な試合だったのでチーム一人一人に自分から声がけしたりとか練習メニューも考えました。あと他の人がサポートできるように取り組みましたし、監督コーチ陣にも感謝したいです」

 

山崎

――今大会で見つかった課題などはありますか。

 「2回戦目の相手とやった時にまず組んだ時の圧力が違うのを凄い感じて、シンプルに体が小さいなと思いました。筋肉大きくしてパワーをつけるのがまず1番最初の課題で、技術的な面では二ノ宮コーチ、森監督などにアドバイスを貰ったりした事を練習や試合で活かしていけたらいいなと思います」

 

塚田

――大会を振り返っていかがでしたか。

 「ずっと組手の練習をしていたのですが、それが良くできていたのかなと思います。2回戦目の相手(国士大)とは2週間ほど前に国士館に出稽古に行って試合形式の練習をしました。そのときは何もできないくらいぼこぼこにされてしまって。それが1週間2週間の間に改善して戦えるようになったので良かったです」

 

太田

――大会を振り返っていかがでしたか。

 「攻めきれなかった大会です。減量していたので体力的な要因もありますが、相手に守られたときに一歩引いてしまいました」

 

槇井

――今大会で見つかった課題について教えてください。

 「組み手や、試合運びをもっともっと練習で取り組まないといけないと思いました」

 

清水

――大会を振り返っていかがでしたか。

 「あまり良くなかったですね。自分から攻めることが全然できなくて結局なにもできずに終わってしまうことが多かったので、練習からしっかり見直していきたいです」

 

岩井

――グレコローマンが専門ですが、今大会のために特にやってきた練習などはありますか。

 「グレコ(グレコローマンスタイル)だと相手にくっついて勝負することが多いのでフリー(フリースタイル)でも遠くにならないように相手にくっつきながら投げたりすることを練習してきました」

 

――今大会で良かった点を教えてください。

 「攻めることができた点です。何もできずに終わらずに、攻めることができて全試合点数を取ることができたので、良かったです」

 

大浦

――大会を振り返っていかがでしたか。

 「今回125キロという1番大きな階級で出たのですが、体の大きさの違いをすごく感じました。パワーとか押しで負けるというかなかなか前に出られなくてそのまま押されて負けるということが多かったので、体の方の強化を頑張りたいなと思いました」