
全てを出し切った小林弘世代 SO戦の末惜敗/関東学生秋季1部リーグ戦
4季ぶりの優勝を狙い臨んだ決勝戦の相手は、関東の絶対王者・山梨学大。明大は主力を欠く中で60分間互角な戦いを繰り広げ、無失点に抑える。SO(シュートアウト)戦にもつれた激戦は、4-5と山梨学大に敗戦。有終の美を飾ることはできなかったが、死力を尽くしやり切った姿は、次世代に勇気を与えた。
雨が降りしきる大井で、決勝戦の幕が開けた。春季リーグ戦でも敗戦した山梨学大にリベンジを果たしたい一戦だが、明大はFW大岡凌磨(政経3=今市)とMF小林正人(政経2=今市)が日本代表の合宿で不在。全日本学生選手権の朝日大戦の敗戦から、1対1で絶対に抜かれないことや、リスタートの速さを修正。気持ちを一つにして天王山に挑んだ。
山梨学大は「MFにボールを回すテクニックある選手が多く、2人目でやっとボールが取れる印象」(DF清水遥斗・理工4=丹生)と、その強さは関東学生1部リーグ3連覇中の実力を持つ。巧みなドリブルで攪乱(かくらん)する粘り強い攻撃を、DF陣が食い止められるかが今試合のカギとなった。実力が拮抗(きっこう)した両チームは、激しく攻守が交代し、互いに流れをつかめない。試合が動いたのは第4Q。山梨学大がPC(ペナルティーコーナー)を獲得する。試合を決められかねない場面に、会場の空気はまた一段と張り詰める。放たれたシュートは、GK坂本樹哉(法2=飯能南)が芯で止め、一番のヤマ場を乗り切った。両チーム無得点のまま60分終了しSO戦での決着となった。
SO戦前の小池文彦監督は「戦術的なこと伝えるよりも、チームを盛り上げていた」(清水)と、〝楽しむ〟ことを忘れさせない。最初に登場したのはDF小林弘人主将(政経4=今市)。期待がかかるその一発は、惜しくも枠外に外してしまう。「残りの人が決めてくれて粘ったところはチーム力を感じた」(小林弘)とチームが一丸となった。しかし無情にも山梨学大が5人全て決めきり、明大はあと一歩のところでリーグ優勝を逃した。
準優勝で終えた秋季リーグ戦。敗戦と苦い結果に終わったが、小池監督は「4年生、特に主将副主将を中心によくやってくれた。本当に力を出し切った」と選手をたたえる。ベストイレブンに小林弘、大岡、小林正の3人が選出。敢闘賞を小林弘が受賞した。「自分たちの代が第100期なので、その意味でも周りからの期待は大きいと思うし、最後の年なので悔いのない試合をしていい結果を残したい」(FW三松勢矢・営3=今市)と3年生は決意を新たに。この悔しさをバネに、2年間遠ざかっているリーグ優勝の頂へ再び歩み始める。
[杉田凜]
試合後のコメント
小池監督
――今日で引退の4年生の4年間を振り返っていかがですか。
「立ち上がりの春は大人しかったので、4年生全体的に少し不安でしたが、それから1か月もしたら、小林弘人はキャプテンシーを発揮してくれて、また去年とは違うチーム作りをしてくれました。考えられたすごく良い練習をしていたので、本当に良かったと思います」
小林弘
――来年度の下級生に向けて一言お願いします。
「一番重要なのは3年生と4年生、そこがしっかり、特に3年生ですね。そこがどれだけチームの核になれるかが重要だと思います。1年生はのびのびやって、2年生は背中を見られると思うのでいろいろ学んでほしい。4年生は盛り上げ役にならなければいけなくて、僕は正直悔いが残る学年でした。やり切って自分たちのやりたいこと全部やってほしいと思います」
MF中嶌隆人(文4=伊吹)
――最後の5人目SO戦の場面はいかがでしたか。
「あれを外したら負けだったのですが、いつも通りであまり緊張せずにできました」
――今年度はどのようなチームでしたか。
「本当にみんな個性強くて、楽しいチームでしたが、やる時はやってくれます。今日も後輩たちがすごく頼もしくて感動しました」
FW大森行洋(商4=伊吹)
――来年度以降の後輩に向けて一言お願いします。
「今僕たちに足りないのは決め切る力だと思うので、僕たちもそれを練習の中で伸ばしていけなかったので来年の後輩たちには身につけてほしいなと思います」
清水
――後輩に残したいメッセージはありますか。
「毎日の練習ちゃんとしよう、ですね。一日一日、あるようであっという間に1年終わってしまったし、練習自体もやる姿勢だけで伸びるか伸びないか変わってくるので、一日一日ほんと大事に練習して欲しい、と伝えたいです」
MF田口佑太(法4=伊予)
――今日が最後の試合でしたが、4年間を振り返っていかがでしたか。
「自分のなんかこれまでやってきたことがうまく試合に出せました。初めての感覚だったので、試合には負けてしまいましたが、いい試合だったと思います」
坂本
――今日も好セーブ連発でした。
「試合の60分はしっかり集中できていて、ボールだけではなく逆サイドの声かけもできていたので、今日の試合は自分にいい評価を与えたいです」
三松
――どのような思いで決勝戦に臨みましたか
「4年生最後というのが自分にとって大きく、しかも雨だったので技術というよりはとにかく走ろうという気持ちからつくる部分が多かったです」
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