佐藤伊が総合1位 それぞれの舞台で輝く/都民体育大会

 最終日を迎えた都民体育大会(以下、都民大会)では男女ともにFS(フリースケーティング)が行われた。シニア男子では堀義正(商3=新渡戸文化)が総合5位、シニア女子では佐藤伊吹(政経4=駒場学園)が1位の結果に。そしてシニアアイスダンスRD(リズムダンス)に登場した松井努夢(政経3=関西)・矢島榛乃(西武東伏見FSC)組は2位に終わった。

 

◆11・11~13 都民体育大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)


 SP(ショートプログラム)を2位で通過した佐藤は冒頭から滑らかな滑りを見せた。指先まで神経を使った美しい動作に、衣装の淡い紫色がさらにその気品を際立たせる。日程的に「疲れを感じ」つつ臨んだFSだったが、総合順位は見事1位。「東伏見(ダイドードリンコアイスアリーナ)での最後の試合だったのでうれしい」と4年生の意地と実力を十分に示す結果となった。しかし「しっかり右足を滑らせられず、うまく上がれなかった」と3本目のループでは失敗。他のジャンプはクリアしていただけにそのミスは傷になった。全日本選手権(以下、全日本)という大舞台ではノーミスの演技をすべく、最終調整を重ねる。


(写真:総合5位の堀)


 SPを5位で通過し、FSでの挽回を図る堀を最初に待ち受けるのは3回転ルッツ。東日本選手権(以下、東日本)後に課題にしていたルッツは、高く跳んだものの両足着氷になってしまい「前回から成長できなかった」と悔しさを見せた。しかし演技面では、勇ましい曲調に変化する場面で力強いステップを披露し、何度か変化する曲の雰囲気を器用に体現した。ジャンプにはまだ改善の余地があるものの、他の要素で進化を見せた堀。冷静に反省点を見つめるが「気持ちはもう来年度の全日本選手権(以下、全日本)に向かっている」と既に前を向いている。今回の収穫を生かし、いつでも最高の演技ができるように。来年度こそ憧れの全日本の舞台に立ってみせる。


(写真:RD2位の松井・矢島組)


 あでやかで美しい2人の世界に引き込んだ松井・矢島組は「男女の駆け引き」をイメージしたという振りを見事に踊り切った。ラテンの陽気なリズムに合わせてしなやかに動いた手が交わり、見つめ合ってほほ笑む。その演技はシングルとはまた違った深い物語性を持っていた。何かをたくらむような顔を見せたかと思えば、底抜けに明るい笑顔。クルクルと変わっていく感情表現で大人の恋模様を生き生きと表した。

 しかし今回の結果は本人たちには納得のいくものではない。目標としていた50点に届かず「ステップの時の僕とパートナーのエッジがしっかりできていなかった」(松井)と反省点を挙げた。そしてそのステップを踏みやすくするために課題となるのはユニゾン。2人の距離が縮まり安定すれば点数の伸びにつながる。松井が「自信がある」と語るスケーティングに加えて互いの距離感をつかむことが不可欠だ。残りの日々に課された問題点を中心に修正を重ね、いよいよ全日本へ挑む。

 

 それぞれの場所で輝き、新たに課題を見つけた選手たち。各自が今できることに一生懸命取り組み、満足する演技を追い続ける。目標へ向かって日々努力する選手たちは一層飛躍を見せるに違いない。

 

[新村百華]

 

試合後のコメント

佐藤

――今日の演技を振り返っていかがですか。

 「一つミスはありましたが、全体的には満足しています。日程的にもFSの日は疲れを感じていましたが、その中でも何とかまとめられるように本番で集中できたことは自信になりました」

 

――総合優勝という結果についてはいかがですか。

 「東伏見(ダイドードリンコアイスアリーナ)での最後の試合だったので嬉しいですが、点数的にはまだまだ足りないので満足してはいけないと思います」


――今日の演技を振り返っていかがですか。

 「かなり失敗が目立ったのが印象的ですが、無理やり良い点を挙げるなら、今までの試合のようにパンクが多い結果にはならなかったことです。その点は確実に今後につなげることができる演技だったと思います。ジャンプは転倒したけれど締められた感じがありました。細かいところを微調節して、どんなに疲れていてもジャンプを跳べるようにしたいなと思います」

 

――課題としていた3回転ルッツはいかがでしたか。

 「跳ぶ瞬間に『まずい、これはパンクだ』と思いました。僕のジャンプは若干前のめりではありますが真っすぐ上に上がれるジャンプです。それを今日は、前に体重がある状態で跳んでしまいました。回転が回り切らないと思ったけれど、パンクしたら駄目だと思って無理やり締めました」


松井

――今日の演技を振り返っていかがですか。

 「二人で『せめて50点は出したいね』と言っていたのですが、届かなかったです。ステップの時の僕とパートナーのエッジがしっかりできていなかったので全日本までに修正したいです。まだアイスダンスの試合も慣れていないので、立ち位置や二人の距離感が課題です。スケーティングのスキルは自信を持っているのでパートナーとのユニゾンを体にしっかり覚え込ませていきたいです。全日本ではリズムダンスは60点を目指します」

 

――今後の課題は何ですか。

 「最大はユニゾンです。ユニゾンがしっかりしてくると男性も女性もステップが踏みやすくなると思うのでとにかくユニゾンをしっかり練習するのみです」

 

――憧れや目標にしているペアはいますか。

 「僕は髙橋大輔(関西大学KFSC)選手です。同じ地元・岡山ということもあり小さい頃からの憧れの選手です。本当に、大ちゃんに憧れてスケートを始めたので、今回全日本で同じカテゴリーで出られることがとても嬉しいし、同時にかなり緊張もしています」

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