(女子)全日本出場を懸け明大勢好発進 江川がSP首位/東日本選手権
全日本選手権(以下、全日本)への切符が懸かる東日本選手権。4日にSP(ショートプログラム)が行なわれた。明大からは6名が出場し、江川マリア(政経1=香椎)が1位、松原星(商4=武蔵野学院)が5位、本田真凜(政経3=青森山田)が6位、佐藤伊吹(政経4=駒場学園)が7位、堀見華那(商2=愛知みずほ大瑞穂)が12位、岡部季枝(法3=新渡戸文化)が21位に入った。上位7名が出場できる全日本選手権への出場権を懸けFS(フリースケーティング)へと挑む。
◆11・3~6 東日本選手権(ALSOKぐんまアイスアリーナ)
圧巻の江川ワールドであった。序盤から叙情的な楽曲に合わせた切なげな表情で観客を江川の演技に引き込んでいく。冒頭の3回転ルッツは美しい着氷を見せGOE1.77の加点を引き出した。続く3回転トーループの連続ジャンプは転倒。それでも『ラストエンペラー』の世界観を途切れさせることなく後続のダブルアクセルを流れるような着氷で決める、まさに圧巻の滑りを見せた。演技構成点は出場選手の中で唯一、3項目で7点台を記録。スピンもレベル4をそろえた。江川は「(転倒もあり)悔しい演技だった」と振り返るが「ミスがあった中で60点台が出るとは思っていなかったので驚き。演技構成点が伸びてきているおかげ」だと確かな手応えも掴みつつある。安定感のある演技で会場を魅了した江川。ジャンプだけではない魅力が詰まった彼女の滑りはFSでも輝くに違いない。
(写真:5位の松原)
江川に続き5位に入った松原は、東京選手権後にケガを負い構成を落として挑むこととなった。冒頭の3回転サルコウと3回転トーループの連続ジャンプを成功させると、続くダブルアクセルも美しく着氷。しかし後半の3回転ループでは転倒してしまう。「いつもとは全く違う構成で、滑り込めておらず体力的にもいろんな面でも不安な部分がある」とした上で「やるしかない、絶対に跳んでやるという強い気持ちでいる」と全日本進出を懸けたFSへの強い気持ちを誓った。万全の調子ではないながらも、『Halleluiah』の楽曲に合わせて澄み渡るような美しく壮大な滑りを披露した。
(写真:6位の本田)
全てのジャンプを着氷させた本田。黒の衣装でしなやかに、そして力強く滑り切った。3回転トール―プでは詰まった着氷になりながらも見事にセカンドジャンプをつけGOEプラスの評価に。続く3回転サルコウとダブルアクセルを決めると、その流れのままに、手足を美しく使ったレイバックスピンでレベル4を獲得した。現在6位の本田。魅力たっぷりの『ムーラン・ルージュ』で決戦のFSへと挑む。
(写真:7位の佐藤)
“強い女性”を意識した赤色の衣装で登場した佐藤は7位。身体を大きく使った伸びやかなスケーティングで、リンク全体にその存在感を感じさせる滑りを披露。冒頭のコンビネーションジャンプは鮮やかに着氷させるも、その後の3回転フリップは2回転に。「緊張もあったし、これまでの試合であまり成功していなかったので思い切りいけなかった」と悔しさを見せた。現在7位で全日本進出が当落線上の佐藤は「楽しんで滑ることを忘れずに絶対に全日本につなげたい」。この後のFSの結果で、全日本への切符をつかみ取れるか。
(写真:12位の堀見)
明るいアップテンポな曲で流れに乗ってはつらつとした演技を見せた堀見は、冒頭の3回転ループとダブルアクセルを見事成功させる。しかし最後の3回転トーループで転倒。それでも「楽しんで滑ることができてよかった」と演技を振り返った。「量より質の練習をしてきて、一回一回を大事にしていたら調子も良くなってきた」。残るFSでは「楽しんで自信を持ってやるだけ」。堀見のさらなる好演技が見られるに違いない。
(写真:21位の岡部)
腰に痛みを抱えながらも滑りきった岡部。「腰が痛くて、2週間前の国体の予選に出場してから朝の公式練習まで休んでいた」。そんな厳しい状況下でも岡部の流れるようなスケーティングは健在だった。冒頭の3回転トーループからの連続ジャンプもきれいに成功。その後3回転サルコウでのミスはあったものの、「練習できていなかったことを思うと上出来かな」。岡部にとって2年ぶりの東日本選手権、「精一杯の演技をして楽しみたい」とFSに向けて意気込んだ。
全日本に出場できるのは上位7名のみ。実力者ひしめく東日本選手権で全日本への切符をつかみ取るのは誰になるのか。首位の江川を始め、SPで好発進を切った明大勢のFSに期待がかかる。
[布袋和音]
試合後のコメント
江川
――どのような気持ちで臨みましたか。
「今回は全日本への切符が懸かっているというのもあって、そこまで緊張しているつもりはなかったのですがやはり直前になって結果を意識するというか、(ジャンプを)降りたいという気持ちが少し強すぎたような気はしています。気持ちが空回りしていた部分はあったかなという感じですね」
――高い得点でしたがこれについてはいかがですか。
「自分の中で、すべてのジャンプを成功したら60点台になるとは思っていたのですが、ミスがあった中で60点台が出るとは思っていなかったのでびっくりしている気持ちが大きいです。演技構成点が伸びてきているおかげかなと思うので、ジャンプももちろん全部そろえたいですが、演技構成点でもまだ伸びしろがあるので、ジャンプ三つそろえられた時にどのくらい点数が出るかというのは楽しみだなと思いました」
松原
――良かった点と悔しかった点を教えてください。
「3回転サルコウと3回転トーループをしっかり決められたところです。悔しかった部分としては、スピンとステップのレベルを全てそろえられなかったところですね。反省しなければいけない部分なので、FSではしっかりそろえられるように丁寧にやっていきたいと思います」
――どのような気持ちで臨みましたか。
「構成も落としていていつもと違うのですが、絶対に全日本に行くぞという強い気持ちで臨みました」
佐藤
――演技を振り返っていかがですか。
「最初のコンビネーションジャンプは良かったのですが、フリップができなかったのがとても悔しいです。最近練習では確率が上がっていたので、やはり緊張もありましたし、これまでの試合であまり決まっていなかったのもあって思い切りいけなかったのがミスにつながったかなと思います」
――FSに向けての意気込みをお願いします。
「練習では調子よくこの試合に来られたので、練習通りの力を出し切ることです。今日とても楽しんで滑れたので、明日もこの気持ちを忘れないで楽しんで滑り切って、絶対全日本につなげたいと思います」
堀見
――悔しかった点はありますか。
「最後のジャンプで転んでしまったことです。コンビネーションジャンプにしたかったのですが、そこでコンビネーションを付けなければと思い過ぎてしまって力が入ってしまったのが残念でした。その他は良かったです」
――FSに向けての意気込みをお願いします。
「SPと同じように楽しんで自信を持ってやるだけなので、曲に合わせて最後まで滑れるように頑張りたいと思います」
岡部
――良かった点と悔しかった点を教えてください。
「最初の3回転トーループがきれいに決まったのは良かったと思います。悔しかった点としては、やはりサルコウが変になってしまったのでそこをしっかり跳べたら良かったと思います。最後のステップあたりから腰の痛みでかなり大変で、全く滑れなかったのでそこもしっかりできれば良かったなと思いますね」
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