(男子)佐藤総合4位 5人全員が東日本進出を決める/東京選手権

 大会最終日に行われたFS(フリースケーティング)。総合順位では佐藤駿(政経1=埼玉栄)が4位、大島光翔(政経2=立教新座)が5位、山隈太一朗(営4=芦屋国際)が6位、松井努夢(政経3=関西)が11位、堀義正(商3=新渡戸文化)が20位につけた。各自が健闘し、5人全員が東日本選手権(以下、東日本)への出場権を獲得した。 


◆9・30~10・2 東京選手権(ダイドードリンコアイスアリーナ)

 

 SP(ショートプログラム)では思うような演技とはならなかった佐藤。冒頭では4回転トーループとダブルトーループの連続ジャンプを跳び、4回転トーループは手を付く形となった。2本目の4回転ルッツは転倒。「6分間練習からあまり調子が上がらず跳べると思っていなかった」4回転ジャンプだが、4本目の4回転トーループは確実に決めGOE1.90を記録した。後半にかけ疾走感のあるメロディーに乗りジャンプを次々に跳んでいく。抜けもあったものの、流れを崩さずに全身を使って表現し『レッド・バイオリン』を滑り切った。「まずはジャンプの練習を増やすことが一番大事だと思う。今は降りるなどではなく締めることを意識して練習している」。練習と試合を重ね、着実に成果を上げる姿に注目が集まる。

 

(写真:総合5位の大島)

 直立し前を見つめて『トップガン』を幕開けさせる大島。成功に期待がかかる4回転ルッツは惜しくも転倒。続くトリプルアクセルもGOEで減点される結果に。だが、すぐに切り替えを図り映画のテーマ曲である『Danger Zone』に乗って笑顔で氷上を駆ける。勢いそのままに連続ジャンプとスピンを見せる。表情や動作にメリハリをつけ、曲ごとに異なる雰囲気を体現し切った。「練習を含め今日の演技が一番まとまっていたと思う。練習ではジャンプが抜けてしまうこともあったので、大きなミスはなく終えることができたのは収穫になった」。シーズン初戦で総合200点台を記録し好調な出だしを切った大島。魅せる演技だけでなく結果にも期待が高まる。

(写真:総合6位の山隈)

 

 山隈は白とブラウンを基調とした衣装でリンクに登場。FSのプログラムは幼い頃から引退時での使用を決めていた『Somewhere in Time』。重厚感ある旋律から落ち着いてトリプルアクセルとダブルトーループの連続ジャンプを決める。前半では、その他に2本の3回転ジャンプを成功させた。演技後半ではミスが出た場面もあったが「後半でのジャンプの動きのリズムに改善の余地がある」と振り返る。終始、曲の世界に入り込み、丁寧で情感たっぷりの演技を披露した。「試合を重ねるごとに自分が良くなっている気がする」。前向きに次戦へと進んでいく。

(写真:総合11位の松井)

 

 自身のお気に入りの衣装を身にまとい、魔法をかける振り付けから演技を始めた松井。前半のジャンプでは着氷後に乱れたものもあったが「全て締めて跳ぶことができたことは良かった」。SPでは抜けてしまったジャンプの反省を生かして得点を伸ばし、総合11位と順位を上げた。演技を振り返り「スピンは果たしてレベルを取れているのかなというくらい危なかった。最後のステップでは疲れで下半身が動いていなかった」と、さまざまな課題を痛感。これからは万全の状態で試合に臨めるよう、課題を克服していく。

 

(写真:総合20位の堀)

 今大会がシーズン初戦となった堀。冒頭の2本のジャンプでミスが続くも、その後は立て直しを図る。体力面での厳しさを感じさせたが、曲の盛り上がりに合わせて振り付けを大きく見せ、最後は足換えコンビネーションスピンで演技を締めくくった。3回転ジャンプの本数を減らして臨んだものの、構成を落とした中でも満足に演技をできなかった模様である。「滑り出しとしては最悪と言ってもいいのではないかと思う。でも、ここから上がっていくと思うようにして地道な努力を続けていきたい」。練習を積み重ね、納得のいく演技を目指していく。

 

 今大会を振り返り、各自が演技内容や練習での改善点を見つけた。東日本学生選手権(以下、東インカレ)を終えると、東日本の本番を迎えることとなる明大勢。本番で実力を発揮し、大舞台での活躍につなげたい。

 

[守屋沙弥香]

 

試合後のコメント

佐藤

――FSを振り返っていかがですか。

 「自分的には、6分間練習に比べたらまずまずいい出来だったのではないかと思います」

 

――ケガから復帰して迎えた試合でしたが収穫はありましたか。

 「久しぶりの試合であまり緊張しないでできたと思いますが、SPはとても硬かったかなと思いました。FSはしっかりと前の状態に少しずつ戻ってきているかなという感じだったので、この調子で次の試合も今以上の演技ができるように頑張りたいと思います」

 

大島

――コンディションはいかがでしたか。

 「夏休みに明治合宿を含めたくさん練習を積んだので、シーズン初戦は本当に自分の成果、夏休みの頑張りを発揮するだけだなと思っていました。そのため不安要素などはなく、もう100パーセント自分の力を出し切れたらいいなと思って、思い切り演技することができました」

 

――リンクから出るときも敬礼していましたが思い入れはありますか。

 「氷の上で自分一人が滑っているという状態で、見ているお客様も自分のことだけを見てくださっているので、自分の名前がコールされたときからキスアンドクライで次の選手の名前がコールされるまでは自分の時間だと思っています。少しでもお客様に楽しんでもらったり、自分から目が離せないような時間をつくりたいと思っているので、気を抜かず意識して最後までかっこよくいようと思っています」

 

山隈

――FSを振り返っていかがですか。

 「後半が乱れてしまったのが悔しいですが、滑っている感じや6分間練習の自分の中の集中力は手応えを感じられたし、ジャンプ以外のスピンやスケーティングでは自分のしたいことができたと思います。ジャンプは悔しいですが、ある意味練習通りだし、練習でやっていることを出せたので、失敗してしまったことは反省しなければいけませんが、それ以上に得られるものは大きかったなと思います」

 

――東インカレへの意気込みを教えてください。

 「ここで得た課題を克服して、まずは自分で納得できる練習をして自信をつけたいです。SPも今回は手応えを得られたし、FSも前半に対してはいい手応えがありましたが、やはり後半の動きに問題がありました。そこを改善して東インカレでいいパフォーマンスを出すと、おのずといい流れが向いてくると思います。今はつくれている流れをしっかり継続し、東インカレでも完璧なFSで自分の自信につなげることを目指して頑張ります」

 

松井

――FSを振り返っていかがですか。

 「SPはジャンプが二つ抜けてしまいやらかし過ぎました。対して、FSの方が練習ではほとんどノーミスという状態ができていたし、滑り込んでいて自信もあったので『大丈夫! 』という気持ちで挑みました。ですが、全体的にレベルが取れているのか心配なくらい危ないスピンばかりでした。ただ、全てのジャンプを跳ぶことができたのは良かったかなと思います」

 

――東インカレはどのような気持ちで臨みますか。

 「今回はFSで100点以上を絶対に出すという目標があったのですが、それがあと少しというところで100点に届かなかったことが悔しいです。東インカレではそれを超えたいなと思います」

 

――FSを振り返っていかがですか。

 「今日の演技を振り返ると、何もかも中途半端過ぎたかなと思います。というのも、ジャンプの構成を落としたのは元々予定していたことではありますが、落とした中でも満足に演技ができなかったというところで、中途半端なところがあり過ぎたのかなというのが率直な感想です」

 

――どのような課題が見つかりましたか。

 「1番の課題はまずジャンプを戻すことは大前提ですが、そのジャンプからジャンプのつなぎは、まだ雑なところが目立ったと思います。スピンも曲に遅れてしまったりしたので、エレメンツからエレメンツのつなぎの部分をもう少し強化できればいいかなと思いました」