(女子)シーズン開幕 完璧な演技を見せた江川がSP首位発進/東京選手権
今年もシーズンが開幕した。多くの選手が初戦として臨むこの大会。シニア女子SP(ショートプログラム)では江川マリア(政経1=香椎)が自己ベストを更新し1位に。3位に松原星(商4=武蔵野学院)、5位に住吉りをん(商1=駒場学園)、7位に本田真凜(政経3=青森山田)、10位に岡部季枝(法3=新渡戸文化)、11位に佐藤伊吹(政経4=駒場学園)、19位に堀見華那(商2=愛知みずほ大瑞穂)がつけた。
◆9・30~10・2 東京選手権(ダイドードリンコアイスアリーナ)
今シーズンからシニアデビューの江川は上々の滑り出しだ。昨年度に引き続きプログラムは『ラストエンペラー』。冒頭に高さのあるトリプルルッツとトリプルトーループの連続ジャンプをきれいに決めると、そのままの勢いで最後までミスなく完璧な演技を見せてフィニッシュ。特に力を入れて練習を重ねてきたステップは、しなやかな深いエッジワークで魅せた。「直前まであまり調子が良くなく不安だったが、試合の時間までにメンタルをしっかりコントロールできた」。拠点が東京に変わり、様々な環境が変化したこの半年で大きく成長し、東京選手権を首位発進した。
(写真:洗練された滑りを見せる松原)
一方今シーズンがラストシーズンとなる松原は夏の大会から順調に調子を上げて3位入賞。最後にふさわしいと再び選んだ昨シーズンからの継続曲『Hallelujah』では、ジャンプ1本目のトリプルルッツでは着氷が乱れるも、その後のダブルアクセルは流れるような動作で見事に成功。「最後のトリプルサルコウとトリプルトーループの連続ジャンプをしっかりと決められなかったのが悔しい部分」と、自らの中では課題を残したものの、伸びやかで深いステップ、安定した軸で速さのあるスピンを壮大な楽曲に乗せダイナミックな滑りを見せた。
(写真:清らな水流を表現する住吉)
住吉は『White Flowers Take Their Bath』を新調した深いブルーを基調に白い花があしらわれた衣装で披露。冒頭のダブルアクセルをきれいに降りたものの、その後のジャンプは大きく乱れてしまう。「練習ではできるのに本番でその力が出せないというのが続きすぎて、試合が怖くなってしまっている」。FS(フリースケーティング)ではその意識を払拭し、グランプリシリーズ(以下、GP)へ向けて弾みをつけたい。
(写真:妖しく魅了する本田)
7位につけた本田真凜は『Assasin's Tango』を妖艶に舞った。黒のレースがふんだんに使われた衣装に赤い髪飾りがアクセントとなり、より演技が映えた。初めのトリプルサルコウは着氷するものの詰まってしまう。しかし、その後の連続ジャンプとダブルアクセルはしっかりと決めた。「最初のジャンプのミスから切り替えて、残りの2つのジャンプは良かった」。どの瞬間を切り取っても様になる優れた表現管理や所作の美しさには目を見張る。
(写真:笑顔で演技を楽しむ岡部)
岡部は『フォレスト・ガンプ』の音楽に合わせた生命感あふれる演技を披露し10位につけた。伸びやかで生き生きとしたステップもさることながら、ジャンプの成功率が光った。冒頭の連続ジャンプをきれいに着氷すると、その後のトリプルサルコウ、ダブルアクセルも危なげなく決めた。華やかな白い衣装から羽が生えたようにふわりと跳ぶ姿が印象的だ。「大きなミスなく演技を終えることができて安心した」。FSでもSPに引き続きノーミスの演技を目指す。
(写真:迫力のステップを見せる佐藤)
今年がラストシーズンとなる佐藤は『風と共に去りぬ』で力強く気持ちの込もった演技を見せ11位に。華麗なスカーレットの衣装が、佐藤のスケートの強さとしなやかさをより際立たせた。冒頭の連続ジャンプでは失敗があったものの次でリカバリーし、最後のダブルアクセルもしっかりと決めた。持ち前の深くダイナミックなステップではレベル4を獲得。「順位的には落ちてしまったが、まだここから巻き返せるチャンスでもある」と気落ちすることなく、明日での巻き返しを狙う。
(写真:クライマックスのスピンを回る堀見)
アップテンポな『The Lady Is a Tramp』を軽やかに舞った堀見は19位につけた。黒が基調で胸元に大きな白いビジューが散りばめられた華やかな衣装をここでお披露目した。ダブルアクセルは見事に決めたものの、最後のトリプルトーループは両足で着氷。しかし終始笑顔を絶やさずリズムに乗せてメリハリのある滑りを見せた。
明大スケート部から出場した7人全員がFS(フリースケーティング)に進むことができた。それぞれが異なる思いを抱いて挑む今シーズン。全員が怪我することなくベストを尽くし、悔いのないいい演技ができることを期待したい。
[増田杏]
試合後のコメント
江川
――シーズン開幕初戦の感触はいかがですか。
「自分の中で何試合もしてきたので、初戦という感覚は全くなく、公式戦という感覚も強くはありませんでしたが、1つの大会としてよくまとめられた演技ができました。直せるところは沢山ありますが、これを続けていくというか、全日本選手権までつなげていければなと思います」
松原
――良かった点と反省点を教えてください。
「ジャンプの途中で開いたりパンクしたりせずに、しっかりしめて回れたことが1番いい点かなと思います。悪かった点は、ステップで上体をうまく動かせなかったのと、ターンの部分で失敗してしまったところです。初戦としてはなんとも言えない感触ですが、とにかく東日本選手権(以下、東日本)に向けて頑張るのみです」
住吉
――FSに向けての心境を教えてください。
「やはりこういうメンタル状態になってしまっている以上自信がありますとは言えないのですが、自分のできる精一杯というか、少しでも練習と同じような力が出せたらいいかなと思います」
本田
――SPを終えての感想をお願いします。
「久しぶりの試合だったのですごく緊張していて、慎重だったかなと思います。新しくルールも変わって、そのスピンやステップをどのようにできるのかが分かればいいなというのと、練習でも2、3年の中では1番できているのでFSもミスのない演技を目指したいなと思います」
岡部
――今日の演技の振り返りをお願いします。
「今回は体調に合わせて少しレベルを落とした構成にしてみました。それについては予定通りノーミスでできたので満足です。スピンも予定通りレベルを取ることができたので良かったです」
佐藤
――シーズン開幕初戦の感触はいかがですか。
「夏の試合に比べたら調子は上がっているので、今回はミスをしてしまったのですが、ここから自信を持って東日本に向けてやっていけば上がっていけるのではないかと思っています。失敗はしたけどリカバリーできたという面では、初戦にしては悪くなかったかなと思っています」
堀見
――シーズン開幕初戦の感触はいかがですか。
「ジャンプがはまらなかったのであまりよくなかったのですが、ステップなど一生懸命練習してきたところは力を出せたなと思います。スピンも初めて右回りを入れて、もう少し速く回りたかったというのはありますが、失敗することなくできたので良かったです」
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