
トラック1種目&ロード優勝 偉業・2冠達成!/全日本大学対抗選手権
台風の影響で終始悪天候に見舞われた今年度の全日本大学選手権(以下、インカレ)。昨年度、新型コロナウイルスの影響で出場できなかった同大会で、無念を晴らすべく鹿児島の地へ降り立った。明大自転車部唯一の女子部員、渡部春雅(政経2=駒大高)は初日のインディヴィデュアルパーシュート、最終日のロードで優勝。2冠を達成し、最高の形でインカレを締め括った。
◆9・1~4全日本大学対抗選手権(根占自転車競技場他)
▼3kmインディヴィデュアルパーシュート
渡部――1位
▼女子オムニアム
渡部――3位
▼女子ロード
渡部――1位
トラック、ロード含めた全4日間の日程、女子部門を1人で駆け抜ける。トラックでは3kmインディヴィデュアルパーシュート、オムニアムの2種目に出場。迎えた本番1日目「結構不安があり、昨日の夜から緊張していた」(渡部)。3kmインディヴィデュアルパーシュートでは最終組で登場し、緊張を感じさせない圧巻の走りを見せ1位に。2位とのタイム差は実に1秒以上。幸先のいいスタートを切った。翌日の女子オムニアムでは、スクラッチ、テンポレース、エリミネーション全て3位。勝負の行方は20kmポイントレースに託される。最後尾に周回差を付け、1着でゴールするもトータルポイントは奮わず。最終順位は3位となった。それでも出場した2種目ともに、表彰台に上がる結果となり最終日のロードに期待がかかる。
中1日空き、迎えたインカレ最終日。特設されたコースを3周、合計で72.6kmを走る過酷なレースだ。それに加え、高低差は200mにも及び、連日の雨でコース状況は良いとは言えない。「天気に関して不安はなかった。試走の時にとても走りやすいコースだと感じていて、自分にとってはプラスなことが多かった」とそんな逆境を跳ね除けるようにスタートした。しかし、レースは想像以上に過酷さを見せる。1周目を終える時点でスタートした18人のうち、残されたのはわずか7人。2周目までは集団は動かず、誰かが攻撃を仕掛けるのを逃さないように緊迫した時間が続いた。レースが動いたのは3周目。「ゴール前のスプリントになったら勝ち目がない」。勝負の行方は、いかに集団から逃げられるか。登りで仕掛けていき、飛び出したのは渡部と岩元(日体大)の2人。最後の登りでも仕掛けるが、逃げ切ることができない。勝負は拮抗(きっこう)していたが、下りで岩元を突き放すことに成功。ゴールに続く平坦でも踏み続け、1着でゴールラインをくぐる。ゴールの瞬間、そのうれしさが溢れるようなガッツポーズを見せた。
インカレに懸ける選手が多い中で2冠という偉業を達成。レース前には調子が良くなく「自転車に練習しても乗れなかったり、とても苦しい時期が続いた」。自分自身の不安を押し退けるほどの周りの応援がこれまでの過程にはある。この大会を通して調子を回復し、結果を残すほどの成長を見せた。多くの人の期待を背負い、これからも渡部は走り続ける。
[小原愛]
試合後のコメント
渡部
――インディヴィデュアルパーシュートを振り返っていかがですか。(トラック)
「今日は、一応勝ちは狙っていたのですが、自分がどれくらい今走れるのかも全然分かっていなかったので、それを試す走りというか。そのようなレースを走りたいなと思っていたので、思っていたより踏めた感じがあったので本当に良かったです」
――レースプランを教えてください。(以下、ロード)
「マークする選手というか、日体大の2人がとても強いことは分かっていたので、その2人をしっかりマークしつつ、自分もタイミング見てアタック掛けて逃げられればいいなと思っていました。それがうまくいって、最後1人で逃げられたので良かったです」
――優勝できた要因を教えてください。
「要因は調子もそんなに良くなかったことが多かったので、やはり本当にいろんな人に支えられて戻れたという感じがあるので、優勝できた要因はみんなに支えられた結果なのかなと思います」
――明大として戦うことに関して教えてください。
「表彰式で校歌を聞けるというのが、自分にとっても、明治の指導者、マネジャーさんなど、他の選手たちにとってもとてもいいことというか、表彰式であの校歌を聞けるというのがすごいことだと思います。今回校歌を聞けたのでそれは良かったと思います」
今大会では多くのケガ人が出る大落車が発生し、1名の選手が亡くなりました。ご本人のご冥福を心よりお祈りし、ご遺族・関係者の方々に追悼の意を表します。また、ケガをされてしまった選手の早い回復を願います。
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