亜大に惜敗 主力欠けるも粘り強さ見せる/関東大学女子1部リーグ戦

2022.09.09

 主力が欠ける事態になったものの、チーム全員の力を結集して臨んだ関東大学女子1部リーグ戦(以下、リーグ戦)第4戦。対するは、全日本学生選手権(以下、インカレ)優勝者を擁する亜大。ダブルスで引き分け、勝負はシングルスに持ち越された。今季リーグ戦2回目の雨天順延となる中、南口亜美(国際3=野田学園)と吉田華菜子(法3=仁愛女子)が共に単複で勝利をもぎ取った。しかし最後は一歩及ばず、3-4で亜大に惜敗という結果に終わった。

【S5南口亜美(国際3=野田学園)VS沼野菜海】

 今季リーグ戦初のシングルス出場となった南口。「とにかく楽しもうと思って試合に入った」。不安な点もある中、最後まで言葉通りに試合を楽しみ、見事な勝利を収めた。

 

 立ち上がりから接戦を繰り広げるもミスを重ねてしまい、4度のジュースの末に1ゲーム目をブレークされてしまう。しかし、南口は少しの動揺も見せない。「リードされても自分のプレーを崩さないことを意識していた」。落ち着いた、緩急を織り交ぜたプレーで相手を翻弄(ほんろう)し5ゲームを連取する。あと1ゲーム取り第1セットを獲得しようと思ったその矢先、朝から心配されていた天気がついに崩れ、試合が中断されてしまう。そして会場を昭和の森テニスセンターのインドアコートに移し、中断から約2時間後に試合が再開。コートの変化で打ち込み過ぎてしまい2ゲームを落とすも、素早く修正し第1セットを6―4で制した。続く第2セットは、お互いに一歩も譲らない一進一退の攻防を繰り広げ、ゲームを取り合う展開に。ゲームカウント4―4で迎えた9ゲーム目、白熱した試合にコートサイドの応援も盛り上がりを見せる。「応援の力で最後まで消極的にならずポイントを取りにいけた」。相手に一度ブレークポイントを握られるも、リーグ戦の醍醐味(だいごみ)である仲間の応援を力に変え、このゲームのキープに成功する。その流れのまま10ゲーム目を難なくブレークし、第2セットも6―4で獲得。今季リーグ戦初のシングルス出場を感じさせない落ち着いたプレーにより、明大に大きな1勝をもたらした。

 

 今試合でダブルスだけでなくシングルスの強さも見せつけた。「今後も単複出る機会があったら2勝持ってこられるよう、気持ちで負けないようにしたい」。南口のさらなる成長から目が離せない。

 

【S3吉田華菜子(法3=仁愛女子)VS吉川ひかる】

(写真:喜びを爆発させる吉田)

 気持ちで1勝をつかみ取った。第1セットから激しいラリー戦が続く。両者互角の争いをする中で「狙い過ぎてミスをしてしまった」。ミスが重なり第1セットを4-6で落としてしまう。第2セット以降は「シンプルにボールの軌道とコースだけを考えてやるというのを徹底した」。ミスのないクロスラリーで着実にポイントを重ねていく。徐々に相手を突き放していき6-2で第2セットを死守した。そして迎えた第3セット。相手が流れに乗りかけたゲームカウント0-2の場面で試合は中断し、翌日に持ち越しとなった。「体力や戦略などをもう一回リフレッシュできたので良かった」。試合再開直後はプレッシャーで思うようにいかず、一気に1-5と追い込まれる。それでも「こんなところで負けられない」。マッチポイントを何度も握られながらも粘り続け、気持ちで1ポイントずつ巻き返していく。「自分を信じたことで結果的に挽回できた」。驚異の6連続ゲームを連取し、見事逆転勝利を果たした。

 

 どんなに苦しい場面でも気持ちで負けなかった吉田。「粘れたことは次戦に向けて自信になる。自分自身も一皮むけたと思う」。この経験がさらに吉田を強くすることは間違いない。

 

 今試合の敗北をもって、2018年以来の入替戦出場が決まった。未だ勝ち星を挙げられない中、最終戦の相手は同じく現時点で全敗の山梨学大。リーグ戦最後に初白星を飾れるか。次戦こそ明大女子の意地を見せつけたい。

 

[久保田諒、萩原彩水、渡辺悠志郎]

 

試合後のコメント

上原真吾監督

――最終戦に向けての意気込みをお願いします。

 「山梨学大も全敗、明大も全敗ということで、お互いに最後の試合ですし、全敗同士死闘になると思います。その中でアウェーでいくというところは、迎え撃つというよりも挑みにいくという気持ちを強く持って、戦って勝ちにいきたいなと思っています。2部校も強いですが、まず山梨学大に勝って、その勢いのまま入替戦でもきっちりと勝つというところを目標として再設定したいです。それぞれの状態を見ながら、起用の仕方も考えながら、スタッフと一緒にチーム全員で、岡垣(穂香・国際4=岡山学芸館)も含めて、全ての力を結集して戦っていきたいなと思います」

 

南口

――今試合を振り返っていかがでしたか。

 「今日はシングルスに入る予定はなくて、朝急きょS5で出ることが決まりました。シングルスの練習を全然していなかったので、とにかく楽しもうと思って試合に入りました。みんなの応援があったので、リードされた展開でも自分のプレーは崩さないようにということを、最後までできたのが勝因だと思います」

 

――第2セットの接戦の中、意識していたことは何かありましたか。

 「取られたゲームでも、やりたいことや、やらなければいけないことはできた中でのミスだったり、相手のナイスプレーだったりというのが多かったです。なので、そこは気持ちを落とさずに打てるところは打ちにいくというふうにメリハリをつけられたので良かったです」

 

――次戦への意気込みをお願いします。

 「試合に出る人が全員で1本取ってくるという気持ちで、私が試合に出たときは今日のように2勝持ってこられるように、気持ちで負けないようにしたいと思います」

 

吉田

――どのようなことを考えて今試合に臨まれましたか。

 「自分が絶対1本取るという気持ちでした。今回4年生が不在で私たち3年生が最上級生としての試合だったので、ダブルスが終わった時点で「3年で絶対3本取ろう」というのを話していました。南口も昨日シングルスで勝ってくれたので、自分も絶対に負けられないと思っていましたし、実力は相手と紙一重というか、競ってきたらあとは気持ちだけだと思っていました。なので相手のマッチポイントがあっても絶対に負けないんだという気持ちを持って入っていました。1−5になったときは本当に苦しかったですが、昨日中断してここに来られない保護者の人だったり、OB、OGの方、監督、スタッフとか本当にいろいろな人から「頑張れよ」という連絡をもらって、背中を押してもらえたのでその人たちの分まで戦おうと思っていました」

 

――ゲームカウント1-5からの形勢逆転、相手のマッチポイントを4度抑えての勝利でした。窮地を乗り越えられた理由などはありますか

 「毎ポイント構えるときに思っていたことは、こんなところで負けられないという気持ちだけでした。本当に1球でも多く返そうとか、足を相手よりも動かしてやろうとか、基礎的なことだけを考えて「絶対自分はいける!」と思っていました。手の甲に「自分を信じてできる!!」と書いて応援の人たちにガッツポーズもしました。最後負けが決まるまで絶対負けないとか、自分は強いんだという気持ちを持って、最後は自分を信じてやれたことが結果的に挽回できたのかなと思います」