課題を明確にしたシーズン開幕前哨戦/東京夏季大会

 東京夏季大会がダイドードリンコアイスアリーナで開催された。シーズン開幕前の調整も佳境に入るこの時期。シニア男子1位の山隈太一朗(営4=芦屋国際)、シニア女子2位の住吉りをん(商1=駒場学園)をはじめとして明大勢は順調な滑り出しを見せた。

 

8・26~28 東京夏季大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)


 男子1位の山隈は、6分間練習で高さのあるトリプルアクセルを美しく決め会場を沸かせた。本番でも冒頭にしっかりと成功。二つ目のジャンプは失敗してしまったものの、めりはりのあるステップと速さのあるスピンで魅了し、バイオリンの音色に乗せて伸びやかに滑った。「失敗したエレメンツを除いて良い感覚で、げんさんサマーカップの時よりも質を上げることができた」とする一方で3回転の連続ジャンプを決めることができなかった部分を反省点として挙げた。

 

(写真:10位の堀)


 堀義正(商3=新渡戸文化)は1番滑走の緊張感に包まれる中で登場。直前の6分間練習で何度もジャンプの確認をし迎えた本番。ジャンプの調子はなかなか上がらなかったものの、軸のブレない丁寧なスピンと、重心のしっかりとした軽快な足さばきのステップで魅せた。「体力が増えている実感が持てた一方、それを持て余してしまうほど動けていないと感じた」。悔しさは残るが、久しぶりの試合で最後までパワフルに滑り切った。

 

(写真:2位の住吉)


 直前まで満遍なくジャンプを確認し続けていた住吉。練習では何度も成功していたダブルアクセルは転倒、トリプルフリップは着氷が乱れてしまう。しかしそこから立て直し、最後の連続ジャンプはしっかりと成功させ2位につけた。「集中して臨めたが、力が出すぎてしまい制御できなかったのが悔しい部分」。持ち前の高い柔軟性と回転速度が相まったレイバックスピンはさすがの完成度。柔らかさと鋭さを兼ね備える住吉の高い表現力には目を見張る。


(写真:10位の岡部)


 女子SPの1組目は棄権が相次いだ。出場したのは2人だけという状況下で、気持ちを乱すことなく堂々とトップバッターを飾った岡部季枝(法3=新渡戸文化)。初めの連続ジャンプを見事に着氷。続くダブルアクセルは転倒したものの、終始指先まで神経の行き渡ったしなやかな舞いは、清らかな世界観をより一層引き立てた。「3回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプを着氷できたことと、フライングシットスピンでレベル4を取れたのが良かった」。

 

(写真:5位の佐藤)


 3組目では明治勢が3人続けて演技した。先頭を切ったのは佐藤伊吹(政経4=駒場学園)。初めの連続ジャンプ、続くフリップはミスがあったもののなんとか着氷。終盤のダブルアクセルも確実に決め5位につけた。「ジャンプの前に多くのことを考え過ぎてしまった。スピンのレベルの取りこぼしと表情が固くなってしまったことが反省点」。体全体を使ったダイナミックな動きで壮大な音楽を表現した。

 

(写真:3位の江川)


 続いてリンクに登場したのは江川マリア(政経1=香椎)。演技冒頭に連続ジャンプを予定していたものの最初のトリプルルッツで着氷が乱れた。しかしその後は落ち着いてリカバリーをし、高さのあるダブルアクセルも確実に決めた。「最初のジャンプでは練習でもあまりしないようなミスをしてしまったが、二つ目のジャンプに失敗を持ち越さなかったのが収穫」。丁寧で正確なステップ、軸のブレないスピンで演技の細部まで完成度の高さを印象づけ3位につけた。

 

(写真:7位の松原)


 松原星(商4=武蔵野学院)は直前の練習から寸分の乱れもないダブルアクセルを見せつけ会場を驚かせる。冒頭のトリプルルッツでは着氷が乱れるも、その後ダブルアクセルアクセルをしっかりと成功させた。「反省点はとにかくジャンプ」。軸のしっかりした速さのあるスピンと、緩急のあるしなやかなステップから体幹の強さを感じさせた。


 『やっぱり明治がナンバーワン』。このスローガンのもと、さらなる高みを目指す明大。この試合では、おのおののこれから改善すべき点がよりはっきりと見えた。ここでつかんだ感触を次に生かしていきたい。

 

[増田杏]

 

試合後のコメント

山隈

――演技を振り返っていかがですか。

  「全体的にはまとめることができたと思いますが、一つジャンプを失敗してしまったことが心残りです。メンタル的にも集中が少し浅く、演技中にいろいろと考えてしまったのですが、その中でも崩れなかったことはよかったかなと思います」

 

 

――今回の試合の位置付けを教えてください。

  「自分にとって久しぶりの試合ということで、シーズン試合に向けてのキッカケとなる『必要な通過点』となった試合だったと思います。この試合を経てより良い演技をシーズン中にできればと思います」

 

住吉

――演技を振り返っていかがですか。

  「気持ちと体の持っていき方はとても良く、失敗の原因を見つけるのが難しいなと思います」

 

江川

――今回の試合の位置付けを教えてください。

  「もちろん大会に出て良い演技をすることもありますが、同じリンクで来月に東京選手権があるということで、雰囲気や氷の感触をつかむためという位置付けもあります」

 

佐藤

――演技を振り返っていかがですか。

  「ジャンプが思うようにできませんでした。練習でまだ安定していない部分が多くあったのですが、それが本番でも出てしまいました。3回転ループと3回転トーループの連続ジャンプを失敗しても、最低限3回転フリップは切り替えて降りなければいけないと思いました」

 

松原

――今回の試合の位置付けを教えてください。

  「当初の予定では、この大会までには新しく変えたジャンプが既に自分のものとなっている予定だったのですが、そんな簡単なことではありませんでした。そのため、緊張状態に入った時にこのジャンプがどうなってしまうのか、どういう動きを自分がしてしまうのか、少しでも多く知る大会にできればいいなと思っていました」

 

岡部

――今回の試合の位置付けを教えてください。

  「SPの曲が変わったので、東京選手権の前に試合に慣れておくために出場しました。腰を痛めていたので思い通りの演技はできませんでしたが、試合の緊張感の中でジャンプを着氷する感覚がつかめたので出場して良かったと思います」