
総合力でつかんだ頂点 4年ぶりの春制覇/秩父宮杯関東大学選手権
悲願の優勝を果たした。最終戦の相手は強豪・中大。優勝が懸かった一戦というプレッシャーからか、序盤はリズムをつかめず、一時は3点差をつけられる苦しい展開に。しかし、第2P開始5分、FW井口藍仁(商1=埼玉栄)のゴールで流れをつかむと、立て続けに得点を奪い同点に追い付く。その後、2点を追加されるもFW石井佑空(文3=白樺学園)が値千金ゴールをあげるなどして追い付き、第3P同点で終えた。そして延長戦、PSS(ペナルティ・ショット・シュートアウト)の末、試合には敗れるも、最多の勝ち点を獲得した明大が4年ぶりの春優勝に輝いた。
◆4・9~5・1 秩父宮杯関東大学選手権(ダイドードリンコアイスアリーナ)
▼5・1 対中大戦(ダイドードリンコアイスアリーナ)
明大5{0―2、3-3、2-0、0―1}6中大○
※PSSの結果、中大の勝利
決勝リーグ最終戦。勝てば文句なし、また第3Pを同点で終えることで優勝が決まる明大。「明治らしく騒いでいこうと思っていた」(FW中條廉主将・政経4=白樺学園)。しかし優勝へのプレッシャーからか、序盤はミスによる失点が重なり、第2P序盤の時点で0-3と重苦しい展開に。そんな嫌な流れを吹き飛ばしたのは井口だった。第2P開始5分、敵陣の奥深くに攻め入ると、相手ディフェンスが引き寄せられたところでフリーになった中條へパス。そのまま中條が押し込むのかと思いきや、井口に預け、最後は井口がゴールに突き刺した。会場全体を魅了するような鮮やかな連係で、反撃の狼煙(のろし)を上げる。
ペースをつかんだ明大は、DF蔵本翔馬(法2=釧路江南)の2試合連続ゴールや、井口のこの試合2点目となるゴールにより、第2P中盤で3-3と同点に追い付いた。しかし、キルプレーからの失点が続き2点を奪われ、第2P終了時点で3-5。ようやくつかみかけた優勝が遠のくような展開で第2Pを終えた。
勝負の第3P。2点差を追い付かなければ、優勝が消えてしまう厳しい展開だったが、焦ることなくペースをつかみ、ピリオド開始早々から何度も決定機をつくった。そして第3P開始3分17秒、相手ゴール前に侵入した井口のパスを受けたFW大竹広記(営2=白樺学園)が「ゴールが空いていて決めるだけだった」と、冷静に流し込み早い段階で1点差に詰め寄る。しかしその後は幾度となく決定機をつくるものの、あと一歩のところで得点できず時間だけが過ぎていく。1点が遠い、もどかしい展開の中、第3P残り3分33秒。全員でパスをつなぎ、敵陣に攻め込みゴール前へ。「たまたまいいところにこぼれてくれた」(石井)と、最後は石井が押し込み同点に。そして残り時間、チーム一丸となり全身で相手の猛攻を防ぎ、第3Pが終了。その後PSSの末敗れはしたものの、この試合で勝ち点1を手にした明大が優勝を決めた。
「僕らにはスーパースターがいないので」(中條)。決して前評判が高くはなかった今年度の明大。また、初戦が中止となり、いきなり昨年度3冠・東洋大との試合で新体制の幕が開けるという苦しい状況だった。しかし「今年は個の力よりチーム力」(唐津大輔・法4=日光明峰)。全員の力を結集させて初戦で4年ぶりに東洋大を撃破し、頂点まで駆け上がった。そしてスーパールーキー・井口はこの大会で最優秀選手賞を受賞。1年生ながらチームを優勝に導く活躍を見せた。チームとして久しぶりの優勝を手にした明大。3冠獲得に向けて、大きな一歩目を踏み出した。次なる目標は秋のリーグ戦制覇。再びの強化期間を経て〝常勝明治〟はもう一回り大きくなって帰ってくる。
[山岡慎]
試合後のコメント
中條
――この試合で4アシストを記録されました。
「大会前から自分が決めなくていいから、いいところにパスを出したり、体を張ったりしようと思っていました。自分はどうでもいいので結果勝てて良かったです」
――井口選手とのコンビネーションが良かったですね。
「あいつ結構やらしいところにいるんですよね。あっち側になりたいですけど、いいところにいるので、自分は(パスを)出すだけですね」
唐津
――優勝の気持ちはいかがですか。
「まさか見ている人たちも明治が優勝するとは思っていなかったと思うので、その分うれしさも大きいです。本当にチーム一丸となって毎試合挑めたのがこういう結果につながったと思います。今年は3冠できるのは明治しかいないので、あとはもう秋リーグと日本学生氷上選手権に向けて気合いを入れてやっていきたいと思います」
――大会ベストFWに選ばれたことについてはいかがですか。
「何もしていないのでびっくりしました。次はもっと活躍してみんなに認めてもらえるようなベストFWや、最優秀選手を狙っていきたいです。チームが勝つことが一番なので自分ができることをしっかりやっていけたらいいなと思います」
大竹
――下級生の活躍が目立ちましたがいかがですか。
「上級生になると緊張もあって固くなると思うので、下級生が結果で助けられて良かったです」
井口
――最優秀選手賞を1年生で取ったことについてはいかがですか。
「賞とかにはこだわっていなかったのですが、素直にうれしいです」
――中條さんとのコンビネーションについてはいかがですか。
「中條さんはとても周りが見えていて、自分が欲しいところにパスをくれるので本当にありがたいです」
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