五輪の舞台で活躍した樋口 明大に凱旋/特別功労賞贈呈式、ミニトークイベント

 明大駿河台キャンパスにて、樋口新葉(商4=開智日本橋学園)への明治大学特別功労賞贈呈式が行われた。また、明大生限定のミニトークイベントが開かれ、客席いっぱいの明大生を前に、知られざる五輪のエピソードや明大生に向けてのメッセージを語った。

 

 開始時刻より前にもかかわらず、多くの明大生が樋口の登場を待っていた。報道関係者も集まる中、初めに明治大学特別功労賞が樋口に贈られた。明大の学生、教職員、OB・OGの中で、顕著な功績を挙げた個人や団体に贈られる賞であり、樋口は37人目の受賞者となる。だが、現役明大生で特別功労賞を授与されることは珍しい。大六野耕作学長は、樋口が明大に入学した後の功績や直面した苦難を振り返り「難しい時代や状況にもめげずに、自分で設定した目標を一つ一つ着実に実行していた」と贈呈の理由を語った。樋口は「名誉のある賞を頂くことができ本当にうれしい」と大きな喜びを胸に特別功労賞の賞状を受け取った。


 (写真:明治大学特別功労賞の賞状を手にする樋口)

 特別功労賞が授与された後は司会者の進行の下、ミニトークイベントが行われた。数々の大舞台を経験した樋口だが、多くの人前で話す機会は意外にも少なく緊張具合は「五輪と同じくらい」。北京冬季五輪の選手村の様子や雰囲気をはじめ、団体戦と個人戦での心境を振り返った。フィギュアスケート以外の選手とも触れ合えること、チームに貢献する意識を持って挑んだ団体戦など、五輪特有のエピソードが満載。会場の誰もが樋口の話に深く聞き入り、15分ながらも楽しく有意義な時間が流れた。今後の目標を聞かれると「全日本選手権で優勝することや世界選手権でもメダルを取れるように頑張ること。あとは卒業できるように頑張りたい」。文武両道への意気込みを見せた。最後に樋口とめいじろうと参加者での記念撮影を行い、マスク越しにもうかがえる笑顔でミニトークイベントが締めくくられた。


 (写真:樋口のお祝いに駆けつけためいじろう)


 今回のイベントでは、参加者にオリジナルグッズとして樋口のサインとコメント入りのクリアファイルが配られた。『自分らしく成長する』というコメントは、悔しい経験を力に変えキーピングをうまく実現させた樋口だからこその言葉だろう。「他人と比較して自分に足りないものを考えることも大切なことだとは思うが、自分はそういうことをして不安になったりうまくいかなかったりしたことが多かった。自分にとって大切なものや自分の目標を軸におき、1年間の目標や1週間の目標を立てて頑張ることが自分の目標を達成する材料になると思う」。選手であると同時に大学生として、他の学生と同様に学業にも励んでいる樋口。今回のミニトークイベントで語られた言葉は、明大生の活力になるだろう。残すところ1年となった学生生活。今までの経験を糧に樋口は〝自分らしく〟前へ進む。

 

[守屋沙弥香]

 

インタビューコメント

――明大フィギュア部門の同学年の選手との思い出話を聞かせていただけますか。

 「星ちゃん(松原星・商4=武蔵野学院)とは学部が一緒で授業やゼミも一緒なのですごく話す機会も多いですし、スケートもしているのでいろいろなところで話をして相談し合ったりしています。みんな今年度は特に就活などで大変な時期があって、そんな中でも授業に出たりスケートをしたりしていて、優先順位というのを定めるのがすごく難しくて、そういうところをどうしたらいいのか話し合ったりして最近過ごしたりしています。伊吹ちゃんは(佐藤伊吹・政経4=駒場学園)練習場が一緒なので、自分が悩んでいることや困っていることをすぐに相談できる相手なので相談したりしていて、普段の話もしますし、それこそ勉強の話も、他学部履修をするかしないかなどすごくいろいろなこと話したりして助けてもらっています。同期は相談相手にもなってくれますし、自分と同じ立場で頑張っている人たちなので、そういう部分で自分も頑張りたいと思えて、感謝の気持ちを持ってスケート部として過ごすことができているので、大きな存在だなと感じています」

 

――練習拠点である明治神宮外苑アイススケート場は樋口選手にとってどのような存在ですか。

 「一度も拠点を変えたことがないのですごく大事な場所です。神宮の中ですごく応援をしていただいて、自分も頑張りたいと思いますし、試合から帰ってきた後に『頑張ったね』とか『こここうだったね』という話を職員の人たちともしたりするので、すごく温かいリンクだなというふうに思います」

 

――大舞台でトリプルアクセルを決めた経験をお持ちですが、今現在トリプルアクセルにはどのような印象を抱いていますか。

 「昨シーズンはトリプルアクセルを跳んで、五輪で跳びたいという気持ちが強かったですし、その他のジャンプでもミスをしたくないという気持ちだったり、表現の部分でもとても練習をしてきたので、そこを(本番で)出したいなと思っていました。ですが、今シーズンは基本に戻るというか、自分が今できることだったり、新しいことに挑戦するというよりも自分が持っているものにさらに磨きをかけてそこでもっと点数を取れるのではないかと思うので、そういう部分で勝負をしていきたいと思います。トリプルアクセルに磨きをかけたり他のジャンプでミスをしないようだったり、もっと点が伸びる部分があるのでそこを中心に練習していきたいなと思います」

 

――競技でさらにいい成績を目指す思いもあると思いますが、これからスケートを続けるにあたって、どのようなフィギュアスケーターになりたいか、どんな選手になりたいか理想像があれば教えてください。

 「いろいろ理想はあるのですが、誰かの目標になるということもありますし、自分がスケートで一番にいたいとも思うので、その気持ちを大切にしながら常にその気持ちを持って滑ることを大事にしたいです。あとは自分が一番楽しく滑る、自分の気持ちを大事にして滑ることをこれからも大切にしていきたいと思います」

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