
三本の矢(2)GK・今村大和 チームのために守り続けた守護神
まさに明大の守護神・GK今村大和(商4=明大中野)。安定したセーブ率だけでなくチームを鼓舞する核として4年間水球部門を引っ張り続けた。大舞台・日本選手権でも「すごく楽しかったし、やり切れた」。最後は後輩へ思いを託し競技生活の幕を閉じた。
キーパーの覚悟
「どんな状況でも止めるのが自分の仕事」。練習中ディフェンス面でチームメートへ厳しく注文を付けることもあった。それだけ強く指導したからこそ「最後に責任を取るのは僕だ」。相手のシュートを確実にどう仕留めるかこだわった。何度も何度も試合に出る中で落とし込んだ知識、経験が高いセーブ率につながった。
ディフェンスの要として試合に出るからには守り以外も追求した。戦局全体を見渡せるポジションを生かし「チームの士気が下がらないように」。常に仲間を鼓舞するために声掛けを続けた。
楽しさ取り戻し
1年次から正GKの座をつかむも、チームはゲーム後半で勝ち切れない試合が続いていた。1、2年次の学生リーグは入替戦に回り、インカレもベスト8が最高。結果が実らず「何が楽しくて水球やっているんだろう」。楽しさを見いだせなくなっていた。
それでも最高学年になるとチームのマネジメントも求められるように。例年以上に高い目標を設定し何度もミーティングを重ねてきた。今年度の大躍進は「やってきたことは間違っていなかった」。史上初の学生リーグ準優勝、18年ぶりの日本選手権本戦出場と成果を感じられ「水球を楽しむことができた」。ここまでの努力と経験がかみ合った瞬間だった。
感謝と期待託し
最後の取材で何度も口にした「感謝」の2文字。厳しく熱く向き合うことに当初は後輩たちと「温度感の違いはあった」。それでも日本選手権で五輪出場選手を相手に「勝ちに行こうよ」。そう呼び掛けたとき思いに応えてくれるチームへと変化していた。
「チームの結束力を改めて感じた」。その一体感がまさに今年度の成長を導いた。「明治のチーム力を一層磨いて僕らが行けなかったところまで達成してほしい」。明大水球部門のさらなる飛躍を期待して次の舞台へ旅立つ。
[出口千乃]
◆今村 大和(いまむら・やまと)東京都出身。1年次にはアジアジュニア選手権日本代表にも選出された。173センチ・63キロ。
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