女子舵手なしクォドルプルがインカレV 男子は対抗種目で上位入賞/全日本選手権兼全日本大学選手権

2021.11.02

 4日間にわたり開催された全日本選手権兼全日本大学選手権(以下、インカレ)。今大会が4年生にとって最後のレースとなった。目標としていた男女総合優勝には届かなかったものの、女子舵手なしクォドルプルでインカレ優勝。男子舵手なしクォドルプルでインカレ3位、男子エイトではインカレ4位と好成績を残した。

 

◆10・28~31 第99回全日本選手権大会 兼 第48回全日本大学選手権大会(戸田ボートコース)

 

男子総合――6位

▼女子総合――3位

男子シングルスカル(S寺井)――TimeTrial敗退

男子舵手なしフォア(S和田3東坂2辻B佐々木剣)――FinalC進出

女子ダブルスカル(S山田B樋口)――FinalC3位

男子ダブルスカル(S大竹B中山)――FinalB1位(インカレ4位)

女子舵手なしペア(S青山B清野)――FinalB2位(インカレ8位)

女子舵手付きフォア(S山吹3塩田2田草川B黒沼C佐藤)――FinalB2位(インカレ8位)

男子舵手付きフォア(S金澤3佐々木丈2小林B松川C大久保)――FinalB3位(インカレ5位)

男子エイト(S平野7河畑6武藤5博田4境3山本2茂見B藤長C岡部)――FinalB1位(インカレ4位)

男子舵手なしペア(S藤井B鈴村)――FinalA6位(インカレ5位)

男子舵手なしクォドルプル(S門馬3上戸2中條B近藤)――FinalA4位(インカレ3位)

女子舵手なしクォドルプル(S磴3西田2田口B岡田)――FinalA3位(インカレ1位)

 

 

 異例の2大会同時開催となった今大会。本来は9月上旬と9月末に、それぞれインカレと全日本選手権が行われる予定であった。しかしインカレ直前となる8月末に大会の延期が発表。順位決定方法も例年とは異なり、全日本選手権での順位のうち、大学クルーのみの順位がそのままインカレでの成績となることに決まった。

 

 「先輩方に恩返しができて良かった」(西田結惟女子部主将・文4=加茂)。1年生の時から4年間、西田が出続けてきた女子クォドルプル。これまでの3年間では優勝がかなわず悔しい思いをしてきた。しかしラストイヤーとなる4年目に花開き、悲願のインカレ初優勝。今大会で明大唯一の優勝艇となった。


 男子舵手なしクォドルプルは準決勝を全体2位、大学クルーの中では1位で通過。決勝でも勢いそのままに、インカレの頂点に上り詰めるかと思われたが「スタートでのスピード感が予選、準決勝とは全く違うものだった」(門馬健将・政経3=会津)。スタートで周りに後れを取ってしまい、そこから挽回し切れず結果はインカレ3位。クルーメンバー4人のうち、3人が1年生ということもあり、経験値の差がタイムの差を生んでしまった。「予選、準決勝で(インカレ優勝の)希望が見えていただけに悔しい」(門馬)。好成績を収めたものの、満足のいく結果とはならず、悔しさをにじませた。


 男子エイトの準決勝では残り500メートルで早大に差され、FinalBに進出。2秒差で逃したFinalAには大学クルーが3艇残っていた。そのため、インカレ4位に滑り込み、明大に勝ち点1を持って帰るにはFinalBで1位を取ることが絶対条件であった。「最後は1位を取って他の決勝クルーに勢いをつけたかった」(境凌輔主将・営4=米子工)と挑んだ決勝。スタートからペースをつかむと、残り500メートルでは昨年度の決勝で敗れた仙台大を差す展開に。その後は力強いこぎで周りを引き離し、このレースで見事1位を勝ち取った。男子エイトでは8人中4人が4年生であったため、半数の選手がこの試合を引退レースとしていた。最後まで自分たちの最大限の力を出し切り、FinalB1位という結果で有終の美を飾った。


 今年度も新型コロナウイルス感染予防の観点から、寮生活をしている選手全員が厳しい規制を強いられた明大端艇部。練習だけではなく生活面でも苦しい時間は続いたが「(部員全員が)ストレスのたまる生活の中でよく頑張ってくれた」(境)。4年生を中心にチーム全体の士気を保ち続けた。今年度のスローガンである〝伝道〟。「悪い方向に持っていくのではなく、いい影響を周りに広げていきたかった」(境)。大会開催までさまざまな困難が立ちはだかったが、4年生を軸にスローガンを確実に体現してきた。今大会で4年生は引退。「今日の経験を下の子たちが次に生かしてくれれば」(西田)。バトンは次の世代へ託された。新たな明大端艇部の1年が今、幕を開ける。

 

[安室帆海]

 

試合後のコメント

――試合が終わった後、メンバーにはどのような声掛けをしましたか。

 「まずは乗ってくれてありがとうというのを伝えました。自分が主将としてこれまでやってきた中で、部員のみんなに残せたものは何かと考えたときに、レース後に後輩のみんなが泣いて『これまでありがとうございました』と言ってくれました。そういう姿を見て少しでも後輩に残せるものがあったのかなと感じて、後悔はないですね。感謝の気持ちを伝えました」

 

――次の代に向けて一言お願いします。

 「一個下の3年生たちは考える力をすごく持っていて頭の回転が早い子が多いので、同期の中で大変なことがあったときでも、同期で支え合って後輩を頼って、これまでの明大端艇部としての伝統やいいことを引き継いでほしいです。それをうまくプラスの力に変えて、僕らの代で成し遂げられなかったインカレ男女総合優勝に、しっかりリベンジしてもらいたいと思います」

 

西田

――インカレ優勝した今のお気持ちはいかがですか。

 「1年生の時から対抗種目といわれてきたクォドルプルという種目に出させていただきました。先輩方や同期、後輩たちと一緒に乗ってきた中で、優勝には届かなかったので、その悔しさを今回何とか晴らせて、先輩方に恩返しができていたらうれしいなと思います。本当に一緒に乗ってくれたみんなや、今まで一緒に乗ってくれた先輩のおかげだと思います。LIVE配信を部員が見ている様子を、コーチが撮影してくれていて、その動画を見て改めて明大っていいなって、名残惜しく思いました」

 

――今大会で引退となりましたが、1年間を振り返っていかがですか。

 「昨年度の先輩から引き継いで1年間女子部主将という立場でやらせていただいて、もちろん全部がうまくいったわけではなくて、たくさん苦しいことや悔しいことがありました。ですが、その中で部員のみんなが私のことを信頼してくれているということが伝わってきて、付いてきてくれているということが分かっていたので頑張れました。今日は4年生から後輩に対して一言話す機会があって、私は絶対にそこで泣くと思っていましたが、涙が出てきませんでした。それは多分みんながやり切らせてくれて、すがすがしさみたいなものを感じられたからだと思います。みんなのおかげでそう思えたことがすごくうれしくて、みんなに感謝しかないです」

 

門馬

――昨年度と同じくクォドルプルでの出場でしたが、今回のレースを振り返っていかがですが。

 「今年度は乗っていた選手のフィジカルが強かっただけに、やはり決勝で戦えるメンタルというか、経験というか、そういう部分が足りなかったのかなと反省しています。そこを埋めるのはクルーを引っ張る僕自身が、後輩たちにどう指導していくかというところだったと思うので、そこは足りなかったなと思います」

 

――来年度の目標をお願いします。

 「男女総合優勝という目標は今までも言ってきていたのですが、それを達成できていないので、来年度はより具体的な目標を立てて、勝ちにいきたいです。トップのクルーで優勝というのは絶対に取らないといけないので、そこは頑張って取りたいと思います」