(女子)全日本出場を懸けた戦い 松原SP2位/東日本選手権

 全日本選手権への出場が懸かった東日本選手権。シニア女子では松原星(商3=武蔵野学院)が2位、井上千尋(商4=椙山女学院)が6位、佐藤伊吹(政経3=駒場学園)が7位、本田真凜(政経2=青森山田)が8位、堀見華那(商1=愛知みずほ大瑞穂)が16位という結果に終わった。それぞれの頑張りや決意が見える試合となった。


◆10・28~31 東日本選手権(ダイドードリンコアイスアリーナ)


 衣装と髪飾りのきらめきとやさしげな水色がリンクを彩った。「これまでで一番お気に入り」だという衣装を風になびかせて、松原は滑らかな演技を見せる。冒頭のトリプルルッツでは着氷が乱れるも、後半には自身も納得するきれいなサルコウトウを決めるなど、全体的に安定した演技にまとめる。東京選手権で課題となっていたスピンでもレベル4を二つ獲得した。しかしこの点数に満足しないのが松原。「60点にいかなかったのが悔しい」。全日本に向けて、自分に妥協せずFS(フリースケーティング)に突き進む。


(気持ちを込めた演技をした井上)


 今回の演技は「柔らかいけれど強い部分がある」。まるで自身を表しているような滑りだった。ジャンプはダブルアクセルで失敗するも、他はきれいに着氷を決めた。さらに3つのスピンでは立て続けにレベル4を得点。量より質を重視して練習に取り組んできた成果が出た。FSも気持ちのこもった彼女の滑りに注目だ。


(写真:表情豊かに踊った本田)


 少し緊張した面持ちで登場した本田。しかし曲が始まると表情を変え、一気に見る者を彼女の世界に引き込む。ミステリアスなタンゴを、艶めいた美しさで体現し切った。「不安に思っていることを改善できた」。課題が残るのはジャンプ。「ジャンプが跳べないと本当に意味がない」。FSに向けて気持ちを切り替え挽回を狙う。


(写真:迫力ある演技をした佐藤)


 東南アジアを連想させる音楽で踊った佐藤。全体ではまとまりがあり大きなミスはなかったが、スピンやジャンプの取りこぼしでの失点が重なった。東京選手権で見つけた課題を克服することが今後の伸びしろとなりそうだ。「練習通りのことを本番で発揮する」ことを目標にFSでは巻き返しを図る。

 

(写真:ポーズを決める堀見)


 いつもは結い上げている髪をハーフアップにして臨んだ堀見は曲に合わせて指先まで大きな滑りを見せるも、ジャンプがなかなか決まらない。練習では跳べるようになって自信もついてきていた。跳べなかった理由として、試合前日に靴紐を新しくしたことで「心に何かしらの不安があったのかもしれない」と振り返る。FSでは「楽しんでやりたい」。悔しさをバネに思い切り跳ぶ。


 全日本へつながる今大会。緊張の舞台が幕を開けた。プレッシャーを抱えながらも最高の演技を目指す選手たち。それぞれの想いを演技に込める。FSからも目が離せない。


[新村百華]

 

試合後のコメント

松原

――SPを振り返っていかがですか。

 「ブロックではサルコウトウを失敗してしまってとても悔しかったので、今回は決めることを一番に考えて臨んだ試合でした。ルッツももちろん決めるつもりでいた中、少しバランスを崩してしまったのですが、サルコウトウをしっかり決めることができたので良かったです」

 

――トップバッターでの演技でしたがどのような気持ちで臨みましたか。

 「普段の練習のような感覚で気負いもなく行けたので良かったと思います」

 

井上

――SPを振り返っていかがですか。

 「1本目のジャンプが決まった後、次のジャンプで転んでしまったことが悔しかったですが、全体的には良かったと思います」

 

――FSへの意気込みをお願いします。

 「FSは完成度の高いものができていると思っているので、気持ちを強く持ってやるだけです。しっかりFSに向かっていけたらいいなと思っています」

 

佐藤

――SPを振り返っていかがですか。

 「ブロックに比べたらかなり良くなったと思うのですが、スピンやジャンプで取りこぼしてしまった部分はもう少し良くできたのではないかと思うところもありました」

 

――ブロックの時よりも調子が良いように見えました。

 「ブロックの前も悪くはなかったのですが、その時よりも今の方が調子も上がって本番も自信を持って臨むことができたので良かったと思います」

 

本田

――SPを振り返っていかがですか。

 「前回のブロックの時よりもジャンプ以外の部分では良くなったと思うのですが、やはり試合になるとどうしても自分の良くない部分が現れてしまうということを今回も感じました」

 

――FSに向けて意気込みをお願いします。

 「自分がやってきたことを信じて思い切りできれば良いかなということと、何か自分の中で良くなったと思えるものを残して終われるようにしたいと思います」

 

堀見

――SPで一番悔しかったことは何ですか。

 「練習ではジャンプが最近ハマるようになってきて自信も付いてきていたので、いいジャンプが跳べなかったことが一番悔しいです」

 

――得点と順位はいかがでしたか。

 「得点は思った通りでした。ジャンプは全てミスをしてしまったし、スピンもいつもより回転が遅く、納得のいくスピンではありませんでした。順位はもう少し下かなと思っていました。思ったよりは上でしたが思い描いていた演技はできませんでした」

 

――FSの意気込みをお願いします。

 「何位とかではなく、全部のジャンプをきれいに跳んで、自分が悔いなく満足のいく演技で終わりたいと思います」