
(男子)全日本までラスト1戦 着実に結果を残しSPを終える/東日本選手権
全日本選手権への出場権を懸けた今大会。シニア男子では山隈太一朗(営3=芦屋国際)が4位、堀義正(商2=新渡戸文化)が7位、松井努夢(政経2=関西)が11位でSP(ショートプログラム)を終えた。ジュニア男子SPでは大島光翔(政経1=立教新座)が2位につけた。
◆10・28~31 東日本選手権(ダイドードリンコアイスアリーナ)
山隈は東京選手権でのミスを修正し、トリプルルッツとトリプルフリップで着氷してみせた。スピンやステップでの取りこぼしも抑えまとまった演技でフィニッシュ。後半のハイテンポな音楽に合わせた踊りは見る者の目を奪うほど巧みであった。キスアンドクライでは、2本目のトリプルルッツで降りられて「一歩成長」したとほっとしたような様子を見せる。シーズン開幕前には「毎試合で自分のベストを尽くすのが目標」と語っていた山隈。その言葉通り、FS(フリースケーティング)でもベストを尽くし結果が出ることに期待するのみだ。
(写真:安定した演技を見せた堀)
全てのジャンプで着氷し、終始安定した演技を披露した堀。演技後は笑顔を見せたが、結果を見て「レベルが取れていないスピンもあって点数が下がった」。それが順位に響いた部分もあり、プログラム全体の仕上がりを調整してFSでは点数へつなげていく。
(写真:スケーティングを見せる松井)
「気持ちのコントロールがしっかりとできていなかった」。ジャンプでのミスが見られたが、大きな滑りを生かして踊った松井。演技後は悔しさをにじませたが、コーチの言葉に励まされる場面も。スピンやステップは「いつもより良かった」と振り返る。一本一本のジャンプを決めにいく勢いでFSに挑む。
(写真:ミスを抑えた演技を披露する大島)
6分間練習ではジャンプで一回も降りられなかった。不安が見られたが冒頭のトリプルアクセルを成功させ、続く2本目のトリプルフリップも着氷。明確な踏み切りとは見なされなかったものの、流れは良好。3本目の3回転の連続ジャンプは大きなミスはないがトリプルルッツで減点される。しかし「ジャンプが終わった安心感」があり、後半はいきいきとした表情で最後まで踊り切った。
東京選手権の翌週には東日本学生選手権(以下、東インカレ)があり大会が立て続けに行われていたが、今大会は全日本への出場権がかかる最後の試合。SPを終えて感じる思いはそれぞれ異なるが、諦めることなく準備を整えてFSに臨む。
[守屋沙弥香]
試合後のコメント
山隈
――SPを振り返ってみていかがですか。
「ルッツとフリップを決められたのが一番大きいかなと思います。ルッツとフリップに対する呪いみたいなものがあったので、1本降りられたことが自分の中ですごく大きいです。心が軽くなったというか大きな1歩が踏めたので、そこの手応えが大きいです」
――東京選手権よりも10点くらい点数が上がっています。
「東京選手権ではスピンのレベルをすごく落としていたので、そこを意識していました。また、東京選手権の時よりはプログラムや試合に対して、しっかり感情を込めるというか自分の表現したい世界観に持っていくための気持ちを作れました。そういうのがジャンプ以外にも出せて、実際にスピンのレベルもしっかり取れました。ステップも自分の気持ちを乗せられましたし、GOEも東京選手権の時よりも出ているので、拾える部分を拾えるようになってきたのが点数アップの要因だと思います」
堀
――SPを振り返ってみていかがですか。
「プログラムの仕上がりやスピンなども東京選手権よりはできたイメージがあったので、正直なところ東京選手権よりは点数が出ると思っていましたが実際は東京選手権より0.9くらい点数が下がっていました。スピンのレベルは取れているものの形が汚くてそういう面でマイナスをもらっていて、演技構成点も下がってしまい、結果的に東京選手権よりも下回ってしまいました。ですが、FSでは改善できると思うので、現状を知ることができて良かったです」
――FSではどのようなことに気を付けますか。
「少し難易度を上げたジャンプを組み込んでいるので、そういうところでプログラム全体がおろそかにならないようにしたいです。難易度が低いジャンプを固めて安定させるよりも、少し点数を狙いにいくかつ安定させるということをやらなければ勝てないと思うので、練習が足りていない部分はありますがFSまでに仕上げたいと思います」
松井
――SPを振り返ってみていかがですか。
「今シーズンの東京選手権や東インカレの成績を全体的に見て、全日本への出場権まで届かなくもないかなと思っていました。本番で順位や点数のことを気にして緊張し過ぎたこともあるのですが、体がというかジャンプがあまりかみ合わなかったです」
――6分間練習での転倒の影響はありましたか。
「何も影響なかったです。自分が端っこで跳んで壁にぶつかることは普段も少しあります。いつもコーチに『もっと中で跳びなさい』と言われるのですが、練習の時からスピードを出して跳ぶので、中で跳ぼうと思っても気付いたら壁の方に行ってしまっています」
――FSに向けての意気込みをお願いします。
「SPでボロボロになってしまって、点数や順位を気にしてはいますが変に緊張しなくて済むかなと思ったので、もう本当にジャンプに集中して確実に決めにいこうと思います。ループがずっと不調なのでループを跳ぶかは分からないのですが、3回転の種類は少なくとも2種類は増やすので完璧を目指して頑張りたいです」
大島
――演技前の表情がいつもと違って見えましたが、どのような心境でしたか。
「朝の早い時間に試合をやることがあまりなかったので、体が動くかどうか心配でした。終わってみれば、思いっ切りが足りなかったと思います。6分間練習の時は前日の公式練習と氷の感覚が違っていて、そこで合わせるのに苦労したというか焦ってしまいました。公式練習の時はトリプルアクセルを1回も失敗しなかったのですが、試合の日の6分間練習でアクセルを跳ぼうと思ったら全くはまらなくて、1回も降りられずに本番になったので焦りはありました」
――3本目のジャンプの後のスピンは壁に近いところで回っていましたが、いかがでしたか。
「ジャンプを跳んで空中にいる時に『あれ、危ない』と思いました。壁にぶつかってはいなかったですが、かなり焦りながら回っていました」
――FSへの意気込みをお願いします。
「今回も4回転ルッツにチャレンジしますし、SPで失敗したトリプルルッツも入っていますし、SPでのミスをどれだけ修正して挑めるかが勝負だと思います。ですが、やることは変わらずいつも通りミスを少なくして全力でやるだけだと思っています」
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