筑波大に惜敗 思いは後輩たちに託された/王座出場校決定トーナメント(女子)

2021.10.25

 惜しくも過去最高順位とはならなかった。2016年度に1部昇格後、明大女子の最高成績は19年度の4位。3位を懸けた一戦は、これまでのリーグ戦で一度も勝利のない筑波大相手に行われた。競合相手に白熱した試合を見せるも、ダブルスでの2敗が響き、わずかに及ばなかった。

 

【S1吉田明日香(政経4=四日市商)VS阿部宏美】

 悔いのないプレーで明大でのラストマッチを終えた。相手は筑波大のエース・阿部、昨年度インカレで単複王者の実力者だ。「力強いと分かっていたので、先に展開して優位を奪うことを考えていた」。序盤から粘り強く返し続け、相手のミスを誘っていく。しかし、第10ゲームで三度のセットポイントを生かし切れず流れは相手サイドに。タイブレークまでもつれるも粘り切れず、6-7でこのセットを落とす。

 

 巻き返しを図りたい2セット目、先にブレークを許し3-5と追い込まれる。それでも「自分からがんがん攻めることができた」。第9ゲームには持ち前のストロークを展開し、鋭いショットを連発。長いジュースを制し何とかキープに成功する。しかし最後は相手にキープを許し敗戦。2年次には全日本学生選手権でベスト4の結果を残し、ここまで明大女子の顔として活躍し続けた吉田明。「出し切れたプレーで後悔はない」。有終の美を飾ることはできなかったが、笑顔で明大コートを去った。

 (最後までエースとして力強いプレーを見せた吉田明)

【D2稲葉あす果主将(国際4=野田学園)・大沼愛弥(文1=野田学園)組VS我那覇真子・照井妃奈組】

 4年生から1年生へ襷をつなげた試合となった。今試合がテニス人生の最終戦となる稲葉、懸ける思いは人より強かった。「ストレートやボレーは自信を持って打てた」(稲葉)。プレーはもちろん言葉でも、野田学園高の後輩である大沼を引っ張っていく。「あす果(稲葉)さんが引っ張ってくれて、すごく楽しめた」(大沼)。大沼も得意なループボールを使い、団体戦初出場とは思えないプレーで見せていく。第1セットは二度のブレークに成功し6-2と安定した試合展開でモノにする。

 

 流れに乗って試合を制したかったが「少し引いてしまった」(稲葉)。1セットを奪った安心からか攻め切ったプレーができずミスが増えていく。このセットを奪われ、最終セットでも取り返すことができなかった。「次につなげてくれればいい」(稲葉)。悔しい敗戦にはなったが、この重要な一戦を大沼が経験できたことは明大女子の発展につながるはずだ。

 

(野田学園高出身の大沼(左)、稲葉組)

 

 2年ぶりに行われ、ほとんどの選手にとって初の団体戦となった今大会。今試合で唯一勝利を収めた竹本萌乃(政経3=高松北)やルーキーながらシングルスに出場した鈴木渚左(国際1=野田学園)など、チームを支える下級生が台頭した。「試合には負けたが、3年生以下に伝わったと思う」(上原真吾監督)。3位という結果は逃したが、プレッシャーがかかる展開で戦い抜いた経験は大きな収穫だ。来年度こそ悲願の全日本大学対抗王座決定試合へ。「絶対に自分たちの代で王座に行く」(竹本)。思いは下の世代に引き継がれた。

 

[田中佑太]

 

試合後のコメント

稲葉

――主将を経験してみていかがでしたか。

 「口下手なんですよ。高校の時も主将でしたが、一対一だと全然話せますが、やはりみんなの前になると緊張して、そこは慣れないですね(笑)。なんかいいこと言おうとするというか、難しいです。でもみんな優しいので、すごく温かくて。人間性という面では、主将になって(成長)させてもらったなと思います。大変なこともありましたが、終わってみてやって良かったなと思います。これからこの経験が生きたらいいな、生かしたいなと思います」

 

――後輩たちにはどんなチームになってほしいですか。

 「誰一人欠けないでほしいです。それは当たり前なのかもしれませんが、一つの目標に全員が向かっている。そういったことは姿勢や雰囲気で分かると思うので、そんなチームになってほしいです。あとは楽しいときがチームではないというか、仲間ではないと思っています。言うところは言った方がいいし、お互いプッシュし合える、厳しいことも言い合えるチームになってほしいなと思います」

 

吉田明

――明大での4年間を振り返っていかがですか。

 「メンタル面で成長ができて、やはりメンタルの上下がなくなったのと明治はずっとコーチが付いているわけではないので、その中で自ら考えて練習しました。自分で考えて行動する力が付いたと思います。明治に入って良かったと思うのはもちろんで、4年間で結果としても成長できたと思っています。高校では結果が出なかったですが、2年生でインカレベスト4に入れたり、亜大戦で格上の相手に勝つことができたり、最後の最後にいい形で終われたことが自分としても良かったです。悔いはないです」

 

――今後もテニスは続けられますか。

 「仕事がメインですが社会人で実業団としてやっていきます。実業団では日本リーグという団体戦があります。高校大学と7年間で培った団体でのプレーが身に付けることができたので社会人で生かしていきたいと思います」

 

大沼

――試合を振り返っていかがですか。

 「初めてリーグ戦に出させてもらって、最初緊張し過ぎてやばいかなと思いましたが、思っていた以上にいいプレーができたかなと思います。主将の(稲葉)あす果さんと組ませていただいて、すごく引っ張ってくれました。でもやはりセカンドから相手も巻き返してきて、流れも悪いまま最後終わってしまったので、悔いの残る試合ではありました」

 

――来年度以降どんな選手を目指しますか。

 「まだ自分には安定感がないので、試合に出るチャンスをいただいていますが、全然結果が出せていません。『愛弥なら大丈夫』という安心感を他の選手とか一緒に出ているチームのメンバーに与えられるような選手になりたいです」

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