
7戦全勝で春奪還 グランドスラムへ好発進/春季関東学生1部リーグ戦総括
今年度、初の団体戦となった春季リーグ戦が閉幕した。結果は、7戦全勝で2年ぶり21回目の優勝。昨年度は春4位に終わりグランドスラムの夢がついえたが、悲願へ最高のスタートを切った。
◆5・11~26 春季関東学生1部リーグ戦(港区スポーツセンター他)
負けない明大の復活だ。今年のリーグ戦は実力が拮抗(きっこう)していて、どの大学にも優勝するチャンスはあった。その中で、優勝を決めた〝ここぞの〟強さと主将の勝負強さ。3戦目の日大戦では、相手に王手をかけられながら、渡辺裕介主将(商4=明徳義塾)、沼村斉弥(商1=野田学園)が連勝し、逆転勝利。専大戦でも、勝敗を左右するダブルスで渡辺裕・龍崎東寅(商2=帝京)組が、フルゲームに持ち込み、大事な一戦を制した。劣勢でも、形勢を逆転する真の強さがあった。最優秀選手賞の渡辺裕は、シングルスで一度もゲームを落とさない完璧な内容で5戦全勝。白星が欲しいところで結果を残し、チームに安心感をもたらした。「試合でチームのみんなに何か感じ取ってもらえればいい。最後まで諦めずに頑張って試合をやりたい」(渡辺裕)。主将はこの1年間、背中でチームに見せ続ける。
光った活躍と陰の努力。専大との最終戦。3番手に起用された出雲卓斗(政経1=遊学館)は終始、相手を寄せ付けず3―1で完勝。優勝が懸かった大一番でも、平然と自分の仕事をやってのけた。5勝を挙げ最優秀新人賞に輝いた出雲は「うれしいというよりも、勝てて良かった」。同じく、1年生で起用された沼村も3戦3勝でチームに貢献。後半に起用されることが多く、重要な局面でも勝負を決める職人ぶりだった。初の団体戦で、いきなり鮮烈なデビューを飾った出雲と沼村。その中で、髙山幸信監督は「菅沼(湧輝・営1=大阪桐蔭)、西(康洋・商1=明徳義塾)、竹﨑(千明・情コミ1=野田学園)はもし出ていたら、同じくらいの結果を出してくれていたと思う」。このリーグ戦で、髙山監督が再三、名前を挙げた菅沼、西、竹﨑。高校時代は実績のある選手だが、一度も出番は訪れなかった1年生。主力選手の練習相手を努め、ベンチに入りチームを盛り上げ、身を乗り出して喜びを分かち合った。その姿に、髙山監督は「会場に入っても、体をつくってくれていていつ出されてもいい準備をしている」。見えない努力が主力選手に好影響を与え、チームの底上げに。一丸となって試合に臨む雰囲気をルーキーがつくり上げた。秋、コートに立つ選手は決まっていない。常勝軍団に吹いた新たな風が、さらに上へと押し上げる。
ルーキーの台頭など収穫の多かった春季リーグ戦。昨年度4位に終わった鬼門の春をチーム一丸で乗り越えた。次の団体戦は、7月に行われる全日本大学選手権・団体の部(団体インカレ)。今年度は3連覇が懸かる重要な大会となり、グランドスラムに向けても、一つのヤマ場となる。「団体インカレ、秋リーグも絶対優勝して、グランドスラムを取りたい」(渡辺裕)。春季リーグ戦で、見つけた新たなチームの形。グランドスラム完遂へ、渡辺裕率いる新生・明大が王者の席に座り続ける。
[福永智隆]
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