絶対王者撃破 春初陣で帝京大に公式戦8年ぶり勝利/関東大学春季大会

2018.05.01
 新たな伝説が始まる。関東大学春季大会が開幕し、初戦の相手は昨年度1点差に泣いた王者・帝京大。2019年ラグビーW杯も開催される札幌ドームでの今試合は1万5000人ものファンが集まった。試合は前半からFWがスクラムで先手に立ち主導権を掌握。後半に入ると一時リードを奪われるも最後は粘り強さを見せ逆転で悲願をつかみ取った。

 全員でつかんだ勝利の流れだ。先制したのは明治。前半8分、ターンオーバーしたボールをBK陣が左右に散らし相手を揺さぶると最後は左端へエース・右ウイング山村知也(営3=報徳学園)がトライ。その後、明治はゴール前まで詰め寄られるなど幾度もピンチを迎えた。しかし、明治重戦車が火を噴き、帝京大ボールスクラムをターンオーバーし続けチームを救い出した。帝京大の岩出監督も「今日の敗戦はスクラムに尽きる」とその強さを語る。「今日のFWは頼もしかった」(スクラムハーフ・福田健太主将・法4=茗溪学園)。
 後半に入っても運動量は落ちない。後半、両校はゴール前に行きはするものの、得点できない場面が続いた。しかし、後半25分帝京大に強力外国人選手の個を中心としたアタックで逆転を許してしまう。このまま昨年度同様勝ち切れず終了するかと思われたが今年度の重戦車は一味違った。後半37分、相手ゴール前5メートルでのラインアウトを獲得すると激しいFWの攻防戦から左フランカー朝長駿(農4=長崎北陽台)が持ち出しグラウンディング。試合終了間際の劇的逆転で幕を閉じた。最後まで落ちない体力はオフシーズンに重点的にテーマとして挙げていたフィットネスの効果。「今までやってきたことは正しかった」(左プロップ安昌豪・営3=大阪朝鮮)。そう語る選手の顔は自信に満ちあふれていた。

 大金星の陰に大きな選択があった。前半35分、ゴール間近の帝京大ペナルティーに対してPG(ペナルティーゴール)を選択。福田健は「勝ちにこだわった」と王者に勝利するため着実に点数を狙った。例年はFW戦へと持ち込むことの多い明治。しかし、昨年度とメンバーも変わりタイトな試合を制するため今試合ではPGを迷わず決断した。常に明治の最前線に立ってきた経験豊富な主将が勝利を呼び込んだのだった。

 目指すは優勝、まだ『前へ』向き続けなければならない。歴史的勝利となったがもちろん課題も残る。今年度から外国人出場枠が3人へと拡大され帝京大も全ての枠を使用してきた。その強力外国人選手に対して後手に回ってしまうことによりトライも奪われた。大型外国人選手は次戦・東海大にも見られる。勝利するためには外国人選手攻略は必要不可欠だ。「春最初に帝京大に勝てたのは自信になる」(福田健)。今後も厳しい戦いは続く。もう一度気を引き締めて臨みたい。

[東後太一]

試合後のコメント
スクラムハーフ福田健太主将(法4=茗渓学園)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか。
「去年決勝で負けた相手にリベンジできて、そして僕らが入部してから1回も勝っていない相手にこのような素晴らしい場所で勝ててうれしいです。個人のレベルでフィジカルなどしっかりやっていこうということが出せたのだと思います」
――次戦へ向けて一言お願いします。
「春一番最初に帝京大に勝てたことはチームとしてこれ以上にない自信になったので、明日からまた頑張っていきたいです」

左プロップ安昌豪(営3=大阪朝鮮)
――今日のスクラムはいかがでしたか。

「今年FWとしてはクオリティーボール、BKにいいボールを供給するということを意識しています。個人的には去年からずっとスクラムが課題で相手に対して外に開く傾向があったんですけど、それをなくしていこうとこの春意識して取り組んできました」

左センター森勇登(政経2=東福岡)
――試合を振り返っていかがでしたか。

「試合終わるホイッスルが鳴った時はうれしい気持ちでした。しかし自分的にプレーは満足していないので、このゲームを見て次に生かしたいなと思います」

日付 対戦相手(対戦カード) 場所 開始時間 結果
◆第7回関東大学春季大会・Aグループ試合日程◆
4・30(月) 帝京大 札幌ドーム 13:00 〇17―14
5・6(日) 東海大 秩父宮ラグビー場 11:30
5・13(日) 流経大 静岡県草薙競技場 14:00
5・20(日) 慶応 石巻市総合運動公園フットボール場 13:00
6・3(日) 大東大 八幡山グラウンド 14:00

◆関東大学春季大会A 対帝京大戦の先発メンバー&リザーブ◆
1.PR 安 昌豪(営3=大阪朝鮮)→17.齊藤剣(後半21分) 9.SH 福田 健太(法4=茗渓学園) 16 松岡 賢太(商3=京都成章)←2.武井(後半31分)
2.HO 武井 日向(商3=国学院栃木)→16.松岡(後半31分) 10.SO 忽那 鐘太(文4=石見智翠館)→22.射場(後半31分) 17 齊藤 剣(政経4=能代工)←1.安(後半21分)
3.PR 吉岡 大貴(農4=日向)→18.船木(後半21分) 11.WTB 髙橋 汰地(政経4=常翔学園) 18 船木 頌介(政経4=秋田工)←3.吉岡(後半21分)
4.LO 土井 暉仁(政経4=常翔学園)→19.舟橋(後半23分) 12.CTB 森 勇登(政経2=東福岡) 19 舟橋 諒将(文4=札幌山の手)←4.土井(後半23分)
5.LO 箸本 龍雅(商2=東福岡) 13.CTB 齊藤 大朗(商2=桐蔭学園) 20 繁松 哲大(政経2=札幌山の手)←8.坂(後半38分)
6.FL 朝長 駿(農4=長崎北陽台) 14.WTB 山村 知也(営3=報徳学園) 21 梅川 太我(法2=石見智翠館)
7.FL 井上 遼(政経4=報徳学園) 15.FB 山﨑 洋之(法3=筑紫)→23.石川(後半23分) 22 射場 大輔(政経3=常翔学園)←10.忽那(後半31分)
8.No.8 坂 和樹(政経3=明大中野八王子)→20.繁松(後半38分) 23 石川 貴大(政経2=報徳学園)←15.山﨑(後半23分)