(男子部)シーズン開幕前最終戦 3勝2敗で課題再確認/京王電鉄杯総括

 結果より内容を追求した。今大会は関東トーナメント前最後の試合であり、調整の場としての意味合いが強い。その中で選手たちは自らの強みをアピールして見せた。大会を終えて3勝2敗と昨年度の4勝1敗から一つ勝ち星を落としたが、それは勝敗より挑戦することを求めた結果だ。関東トーナメントまで残り2週間。各々の武器に磨きをかけ、42年ぶりの王座を狙う。
 堅守速攻のスタイルを磨きあげる。ガード二枚看板としてチームをけん引してきた齋藤拓実選手(平30営卒・現アルバルク東京)と吉川治耀選手(平30情コミ卒・現埼玉ブロンコス)が卒業した。その穴を埋める存在として今年度スタメン起用が予想されるのが渡辺翔太(政経2=宇都宮工)。昨年度から強靭(きょうじん)な体を生かしたプレーを見せていたが「つまらないミスが多い」と速い展開を意識しすぎ、ターンオーバーが目立った。しかし今大会で犯したターンオーバーは5試合中2回のみ。日大戦では留学生選手をかわしながらアシストを決めるなど器用さも見せた。この変化に「スピード一辺倒のバスケから脱却し始めた」(濱西康一監督)と指揮官も高評価。二枚看板の後を継ぐ存在として成長を続ける。
 大黒柱が大きな変化を見せていた。これまでインサイドの柱としてチームを支えてきた今川友哲(営4=大阪桐蔭)。しかし今大会では「Bリーグではインサイドでは通用しない」(今川)と将来を見据え、アウトサイドからのプレーを選択する場面が多く見られた。注目すべきは専大戦。第4クオーター(Q)で留学生選手のアブ・フィリップ(専大)をアウトサイドに連れ出し、ドライブで抜いてダブルクラッチを決める活躍を見せた。試合には81―90で敗れたが、相手に脅威を与えた。
 課題が残るのはディフェンスだ。勝利した3試合は失点を70点近くに抑えたが、敗れた2戦は75点以上の失点。専大戦では196センチというフィリップの高さに苦しみ、第3Qだけで大量31失点を喫した。「オフェンスの前にディフェンスがある」(濱西監督)。得意の速攻につなげるためにも、強度の高いディフェンスをモノにしたい。

 新戦力もアピールに成功した。明大の課題とされてきたインサイドを補強する存在として期待がかかる溝口月斗(国際1=東海大札幌)。身長は192センチと、2メートル近いインサイドプレイヤーがそろう大学バスケ界においては小柄だが「接触を嫌がらない選手」(濱西監督)と、当たり負けしない体が強みだ。専大戦ではフィリップからオフェンスリバウンドを奪い、そのままバスケットカウントを獲得するなど、大器の片鱗を見せた。また、ガードの塚本舞生(政経1=明成)も法大戦で会場をどよめかすアシストを見せるなど存在感を示した。明大バスケ部の将来を担う彼らの活躍からも目が離せない。

 42年ぶりの栄冠を目指す。今年度の目標は春のトーナメント、秋のリーグ、そしてインカレの3大会優勝だ。昨年度はトーナメント、インカレ共にベスト8に届かず、リーグ戦は7位に沈んだが「昨年度よりコミュニケーションが取れている」(須藤昂矢・営3=桐光学園)と練習から雰囲気づくりはできている。関東トーナメントまで残り2週間。課題のディフェンスを見直し、一つ目のタイトル奪取へ挑む。

[長沼遼太]