今季二度目の3桁得点を挙げ、日体大に大勝/関東大学対抗戦

2017.11.06
 終始、日体大を寄せ付けなかった。前半は、ケガから復帰したフルバック山沢京平(政経1=深谷)のトライを皮切りに攻撃を仕掛ける。後半に入ってからもその勢いは衰えず、最終的にスクラム、モールトライを含め計15トライを奪取。コミュニケーション不足で1トライを与えるも、101―7と大量得点で日体大を大きく突き放した。

組織的ラグビー
 セットプレーの安定が勝利を呼び込んだ。昨季の日体大戦では、BKの個人技によるトライが多く見られた。しかし今年は「明治らしくセットプレーで優位に立ってトライを取れた」(左プロップ安昌豪・営2=大阪朝鮮)。前半18分には敵陣深くのマイボールラインアウトからモールトライ、そして後半28分にはスクラムトライを奪取。前後半合わせて8本あったラインアウトは、ノットストレートのペナルティーを1本取られるもそれ以外はクリーンキャッチ。スクラムではプレッシャーをかけ、二度ペナルティーを誘発。地力の差を見せつけた。
 後半に入ると、FWとBKの連携プレーがより光った。59―7で迎えた後半2分、敵陣22メートルでのマイボールスクラムを獲得するとFWがフェーズを重ねて前に出る。最後はBK陣に展開し右センター渡邉弐貴(営3=国学院栃木)がゴール左トライ。さらに1トライを加えた後半21分、自陣10メートルからBK陣が順目にボールを展開。敵陣ゴール前でFWが攻め込むと、最後は右フランカー佐藤諒(政経2=国学院久我山)がディフェンスをかわしてインゴールへ。FW、BKのバランスの取れた多彩なトライで日体大を翻弄(ほんろう)させた。

課題克服できず
 日体大からトライ量産も、チームは満足していなかった。前節・慶応戦の敗北から1週間、チームは課題に挙がったディフェンス、ブレイクダウンの練習を重点的に行った。その甲斐もあり「ディフェンスではしっかりラインスピードを上げられていた」(フッカー大塚健太郎・商3=佐賀工)。しかし慶応戦同様、ブレイクダウンでは二人目のサポートが遅くターンオーバーされる場面も。また、変わらずキックオフボールの獲得ミスにより出足の遅さが響いた。「まだまだこのレベルでは帝京大と戦えない」(左ロック古川満主将・商4=桐蔭学園)。細かい修正点をどこまで煮詰められるかが、残り2戦を勝つ抜くカギとなる。

 対抗戦もいよいよ終盤を迎える。次戦は、唯一全勝している王者・帝京大。もし負ければ、帝京大の7連覇を目の前で達成されてしまう。しかし、日体大戦と同時刻に行われた対慶応の試合では、31―28と慶応が王者を苦しめた。つまり、春から積み上げてきた明治のラグビーを序盤から突き通すことができれば、必ず勝機はある。「慶応戦で1敗したことでチーム力を再確認できた」(右プロップ吉岡大貴・農4=日向)。あの惜敗を、ただの「負け」にはしない。王者を粉砕し「NEW MEIJI」を完遂させる。

[木村優美]

試合後のコメント
左ロック古川満主将(商4=桐蔭学園)
「チームとしても課題だったディフェンスの部分で意識は良かったしラインスピードも良かったと思うので、あとはブレイクダウンのところが課題だと思います。帝京戦を見据えると今日の感じだと厳しいところはあると思うので、そこはしっかりともう一度あと2週間自分たちでやっていきたいと思います。ラッキートライという形で向こうに点数を与えてしまったというのはありますが、キックオフのところは自分としても課題が多く出たところであのようにスコアを重ねていってもキックオフでミスしてしまうとダメなので、そこはしっかり自分としてもっと修正していかないといけないなと思いました。得点はあまり意識していなかったですが、もう一度やってきたことを全員で出していこうと、FWももっと8人でプレーしていこうという話がハーフタイムで出たので、後半はそこをフォーカスして取り組みました。アタックの部分のコミュニケーションは良かったですが、ディフェンスの時のコミュニケーションがまだまだアタックの時と比べると少ないなというのはありました。ラインスピードの部分は良いところもありましたが、まだまだこのレベルでは帝京と戦えないと思うのでもっとやっていきたいです。明治も帝京もお互い負けられないと思いますし、うちは一つ負けているのでチャレンジャーです。それに対してどれだけ80分間チャレンジできるかというところで勝敗は決まってくると思うので、そこはあまり点数とか意識せずにやっていきたいと思います。メンタルの部分もそうですが、ブレイクダウンのところはもっともっと煮詰めてかないといけないなと思います。うちはあくまでもチャレンジャーなので、本当にどれだけ帝京さんに対して果敢にチャレンジできるかというところがカギになってきますし、どれだけ体を張るかというところが本当に大事な部分だと思うので、そこをあと2週間かけて準備して良いチャレンジができればなと思います」

左プロップ安昌豪(営2=大阪朝鮮)
「慶応戦の課題として試合の入りから体を当ててコミュニケーションを取るというのがあったのですが、今日はその部分がしっかりと意識できて入りのところで前に出られていました。試合を通してディフェンスで前に出られていましたし、1週間ずっと意識してやってきたことを80分間遂行することができました。ディフェンスは特にラインスピードとスペーシングを意識していたのですが、まだ一対一のタックルのところで食い込まれる部分もあったのでそこは課題として残りました。あとトランジッション、アタックとディフェンスで切り替わったところで反応が少し遅かったかなと個人的には思いました。ゴール前はFWの責任ですし絶対に取られたら行けないところなので、この1週間もこだわって練習してきましたし粘ることができました。相手が外に振ってきてBKが食い込まれる時間も最初の方ありましたが、試合中にコミュニケーションを取って修正できていました。FWから試合をつくっていこうという話が試合前からあったので、明治らしくセットプレーで優位に立ってトライを取れたというのは良かった点だと思います。満(古川)さんからも試合前に、剛(前田)さんがいなくてもしっかりFWから声を出してアグレッシブに行こうという話があったのですが、もっと全員で盛り上げることができたと思うので次大事にしていきたいです。帝京はずっと春から意識してきた相手で、春も夏も負けています。ここからまたしっかりと準備し直して2週間後、絶対に勝ってファンの皆さんにも良いゲームできたなと言ってもらえるように、自分たちも笑って終われるように頑張ります」

フッカー大塚健太郎(商3=佐賀工)
「相手が慶応ほど強いわけではなかったのにミスが多くて、全然明治のラグビーができていませんでした。ディフェンスのところではしっかりラインスピードを上げられていたので良かったと思いますが、それ以外。特にアタックで、もっと前に出てボールを大事にするところで簡単に相手に渡したり、ブレイクダウンで人数が少なくてターンオーバーされているところがあったのでそこを徹底しなければいけません。ゴール前はディフェンスで前に出て、しっかりとバインドすることができていました。キックオフボールの獲得ミスは合わなかったのかなと思いますが、もっと上のチームになるとああいうミスに付け込まれてトライにつなげられてしまうので、試合中にもっとコミュニケーションを取って修正すべきでした。与えてしまった1トライというのも自分たちのミスからだったと思うのですが、帝京とかトップのチームはここを0点で抑えてきます。全員に0点で抑えるという意識が足りていませんでした。自分はボールを持って前に出るだけなので、そこは変わらず意識してやっていきたいです」

右プロップ吉岡大貴(農4=日向)
「キックオフのところでコミュニケーションを取って修正できたところはあったと思うし、特にブレイクダウンで相手に合わせてしまうことがあったので映像を見て修正していきたいです。意識的にラインスピードを上げたり意識してできたところはありましたが、もっとみんなで意識づけていきたいです。ゲームの中盤あたりでFWのリアクションが遅かったりブレイクダウンで寄り切れなかったり走り切れていなかったので、FWがもう少しファイトを見せなければいけないと思います。モールからトライ取れたのは良いことなので、スクラムでマイボールでもそうでなくてももっとプレッシャーをかけていきたいです。慶応戦で1敗したことでチーム力を再確認できたし、今まで自分たちが何をしてきたのか振り返ることができました。もう一度初心に立ち返って、自分たちが何をしてきたのかを再確認して、帝京大に対してそれを80分間やり続けられるかがカギだと思うし、自分的にもセットプレーでこだわっていって明治のラグビーをしたいです」

右ロック箸本龍雅(商1=東福岡)
「個人的にはあまり良くなかったです。キックオフでコミュニケーションミスから簡単なミスが起きてしまいました。自分のところでもう少しコミュニケーションを取れば防げたミスもたくさんありました。先週慶応戦に負けてしまったということで、日体大戦は気を抜ける試合ではないし敵は自分たちにあると思っていました。相手どうこうというより自分たちのプレーがどれだけ精度良くできるか考えていました。対抗戦の雰囲気はだいぶ慣れてきています。初めてのスタートからの出場で後半から出るのとはまた違うプレッシャーというか、相手もダメージがゼロの状態から勝負してきているので、そこはもっと慣れていなかないといけないです。後半は自分自身としては今日一試合通してあまり良くなかったのですが、後半から入ってきた土井さんがコミュニケーションしてくれて、自分の分までカバーしてくれました。自分の役割をもっと最初から最後まで果たさなければいけないです。試合は自分としてはもっともっと点を取れないとおかしい試合ではないかなと思います。数字的には3桁いってすごいと思うのですが、点数というよりミスを少なくすれば楽に自分たちのラグビーができたと思います。慶応戦に負けてしまって帝京大にはもう絶対に負けられないので、そこは次の週までにまた気持ちを入れ直したいです。今日みたいな試合をすると絶対相手にならないので、本番までに修正して絶対勝てるように頑張ります」

左フランカー朝長駿(農3=長崎北陽台)
「初の対抗戦スタメン出場で多少緊張はありましたが勝ててよかったです。アタックの時間が長くて、自分もゲインラインを切れました。自分が目標にしていたゲインラインを切ることができてよかったです。チーム全体では体を当てるということを意識していました。帝京大戦でもフォーカスするところは変わらないと思うし、ラグビーは体を当てることが大事なのでこの気持ちをそのまま持っていきたいです」

ナンバーエイト井上遼(政経3=報徳学園)
「今日の試合はファイティングスピリッツがテーマでした。個人的にそれを80分間発揮できたかというとまだまだです。試合に出ている以上、自分は部員の代表だという責任感があります。これからも出るとしたらその責任を果たすだけです。これからもエナジーとファイティングスピリッツを出せるプレーヤーになれるように頑張っていきます」

スクラムハーフ福田健太(法3=茗渓学園)
「先週の慶応戦で負けていたので、敗戦の後の試合というのが重要だと理解した上で戦いました。明治のスタンダードラグビーをできるようにと試合前に話していました。前半の7点はいらないトライを与えてしまいましたが、それ以外はゲームコントロールができたので良かったと思います。自分としてはまずはディフェンスコントロールの部分で、慶応戦で悪かったラインスピードを意識しました。アタックは山村など良いウイングが外にいたので、良いボールを供給できるようにゲームメイクしていました。反省としてはキックチャージされ過ぎたので、キックの精度はもう一度見直して次の試合に挑みたいです。チームとしては7点取られたところがコミュニケーション不足だったのでそこが課題です。(帝京大対慶応は3点差で)慶応も丹治がいない中3点差で良い試合ができたということは明治もチャンスがあるということ。慶応戦の二の舞にならないように、まずはディフェンスから流れをつくってアタックしたいです」

スタンドオフ松尾将太郎(商3=東福岡)
「相手どうこうというよりも自分たちのプレーをするということでした。前半、アタックの面では良い形で持ってきて良かったところが多かったと思います。でも課題もあって、キックオフのミスや相手にトライされてしまったのは、コミュニケーションで防げるミスだったと思うのでそこはもっと見つめていきたいです。試合前はブレイクダウンで圧倒するということを話しました。ガツガツ相手に当たっていって疲れてきたところでどんどん攻めていくというところです。そこの部分は良くやれていました。この1週間はディフェンスのところをフォーカスしてやってきて、一人一人の意識も変わっていったと思います。良い方向に進んでいっていると思うので、今週は良かったです。自分はフィールド面ではアタックも良い形でいけましたし、ディフェンスもコミュニケーションが取れていたと思います。コンバージョンの部分は本当に次帝京大、早稲田と当たると大事だと思うので、そこの精度のところをもっとやっていきたいと思います。もっと練習してしっかり全部決められるようにやっていきます。帝京大戦は本当に勝つしかないし、やってきたことを信じてやり切るだけなので、しっかりやっていきたいと思います」

左センター梶村祐介(政経4=報徳学園)
「スコアは気にしていなかったので、終わってみて100点ということに気付きました。後半は良かったですが、前半は相手のテンポに合わせてしまったシチュエーションがあったので明治は前半の入りが課題だと思います。次のジュニア戦が終われば帝京大があります。強豪相手に合わせてしまうと厳しい展開になってしまうので修正したいです。個人としてトライも取りましたが、それよりも自分でゲインラインを切ることを意識していました。最初のトライはディフェンスの枚数がはけていたので行けるなと思って狙っていました。両ウイングが矢野と山村という決定力のある2人だったので、できるだけ2人に回してあげようと考えていました。ただ、良いボールを回せない場面もあったのでもう少し内側を崩してボールを供給できるようにしたいです。FWはボールを供給するという点で良かったと思いますが、あれだけミスをしてしまうとチームとしてもFWとしてもネガティブになってしまうので、自分たちの士気を上げるためにも修正してほしいです。(後半はゲームキャプテンを務めて)途中で満(古川)がいないことに気がついたのであまりゲームキャプテンという意識はなかったですが、トライを取った直後とか何かあった時はFWとBKのパイプ役になろうとは思っていたので、その点コミュニーケーションは取れたと思います。後半から久しぶりに堀米と組みましたが、1年生の時から組んでいたのでコミュニケーションも取りやすくて良いアタックができたと思います。課題としては前半の入り、キックオフのところ。帝京大はFWの近場でゲインラインを切ってくるのでブレイクダウン、タックルのスキルは練習からしっかりやっていきたいです。注意したいのは10番の北村くんと15番の尾崎ですかね。そういった選手がゲームコントロールしてくるので、撹乱できるようなプレーをしたいです。僕自身、明治に入ってきたのは帝京大を倒すためなので、今年春からやってきて良いチームに仕上がっていると思うしここでその結果を出したいです」

右センター渡邉弐貴(営3=国学院栃木)
「フィジカルファイトというテーマは、体を当てて前に出てディフェンスのラインスピードを上げることだったのですが、立ち位置が狭くなってしまって外に大きなスペースができてしまうこともありました。流していくディフェンスに対して自分たちも見過ぎてしまって内側に切られてしまうというシーンがあってそこは修正していきたいです。良かったところは、FWでは圧倒してトライを何本も取ったところ、BKでは外に展開してトライを取り切れたところです。個人的には、アタックではゲインラインを切ることを意識してゲインラインを切れていたと思います。ディフェンスでの疲れてきた時のコミュニケーション不足は反省するところです。対抗戦が去年の日体大戦以来で緊張もあったのですが、周りのみんなのサポートでのびのびと自分らしいプレーができました。出た以上は部員全員の中の代表なので責任を持ってやっていきたいです。帝京大戦では出るチャンスをもらえれば、自分の強みを出して全員で勝利をつかみにいきたいと思います」

右ウイング矢野湧大(文2=大分舞鶴)
「試合はしっかり点を積み重ねることができて、100点満点とは言わないですけどなかなか良い点を付けられる試合でした。慶応戦でディフェンス、一人一人のタックルをミスしてしまう場面があったのですが、そこをこの1週間でしっかり修正してきました。自分はボールをもらってゲインすることができました。トライはできなかったので、そこは悔いが残ります。先週の課題にディフェンスのところで個々のタックルというのがあったので、一対一のタックルをしっかり決められるように意識しました。コミュニケーションはしっかり取れていたと思うのですが、たまにみんな黙ってしまう部分があったので、そこは改善していきたいと思います。一度試合を抜けてしまいましたがそんなに大したケガではないので、残り20分ですしここで試合を抜けてしまうとこれからの評価に関わってくると思います。これくらいのケガであれば出られるのでそこはもう気にせず出ようという感じで臨みました。今年の日体大さんは結構強いと言われていたのですが、100点取れたので結構自分たちのアタックというのに自信がつきました。次につながる良い試合だったと思います。帝京大戦でもディフェンスが大事になってくると思うのでしっかりディフェンスをして、アタックでは点を取る自信はあるので絶対勝ちたいと思います」

フルバック山沢京平(政経1=深谷)
「ディフェンスのラインスピードや一人目が低く刺さることはできていましたが、始めのブレイクダウンが甘かったです。BK自体のコミュニケーションはできていましたが、細かいところの修正点が必要だと思いました。相手が抜けてきた時に誰が行くとかどっちに行くとか、今日だったらそういうところです。1本目のトライは、自分の前がFWだったっていうのもあったんですけど、しっかり前見てトライできました。2トライ目はしっかりサポートできたので良かったです。今日は久々のスタメン出場だったのでとにかく楽しんでやろうと意識してやりましたが、全然ダメでした。判断のところとキックの精度の部分が全然ダメだったのでそこの意識を変えるところと、もっと練習して次のメンバーに食い込めるようにしたいです。」