女子エペ 打倒日大の悲願成る! 全員でつかんだ初優勝/関東学生選手権

2017.10.14
 個人戦の借りを団体戦で返した。関カレ3日目は男子サーブル、女子エペの個人、団体戦が行われた。女子エペ個人では期待されていた古俣潮里(政経4=新潟)がベスト8で敗れ、昨年の成績を上回ることはできず。しかし女子エペ団体では王座決定戦で敗北した日大を下しての優勝を果たし、インカレに向けて弾みをつける結果になった。

<女子エペ団体>
 まさにチーム一丸で得た勝利だ。個人戦を終え「優勝したいなと思って切り替えて頑張った」(森本菜月・農2=岡山大安寺中等教育学校)と意気込んだ団体戦。初戦の日体大戦をエース古俣潮里(政経4=新潟)の19得点の活躍もあり、45―37で突破する。「徐々に個人戦のことは忘れられた」(古俣)と初戦の勝利でチームは結束。迎えた2戦目の専大戦は序盤から着実に得点を重ね、45―30の快勝で決勝戦へ。「団体で勝つためには全員が同じスタンスでいかないといけない」(古俣)。この言葉の裏には春のリーグ戦、さらに王座決定戦でも日大に敗れた悔しい過去があった。この大会エペ個人優勝の馬場(日大)を擁する強豪に何度も辛酸をなめてきた。その借りを返すため臨んだ大一番。ここで輝きを放ったのは、2年生の森本だった。19―18で迎えた森本対馬場の試合。「相手を見てそれに対応していこうというのがうまくできた」(森本)と関カレ女王にも持ち味の対応力を見せリードを広げる。次の白石(日大)との試合でも6点を取る大活躍を見せ、一気に流れを引き寄せると、最後は古俣が追いすがる日大を強烈なアタックでねじ伏せた。優勝が決まると長尾康司監督は「親のような気分で娘たちが頑張ったような感じ」と男泣きで喜びをかみ締めた。

<女子エペ個人>
 まさかの敗戦だった。古俣はベスト4を懸けた試合。相手はここまでノーシードで勝ち上がってきた西久保(慶大)。「しっかりやれば大丈夫だと思った」(古俣)と落ち着きがスキを生んだ。先制点を取られると流れは西久保へ。「出てきた最終ラインで残しておく、そういう作戦を取っていた」(長尾監督)と相手の読みも冴えわたり、最後まで粘るも勝利には届かなかった。これで古俣は4年連続でベスト8の壁を破れず。「やれることをやるということがまず大事」(古俣)と原点回帰をはかり、悔しさをバネにする。

 インカレへ大きな成果を上げた。エース古俣、森本、さらに今回個人戦に出場せずこの団体戦が久々の実戦となった上田果歩(理工3=伊那北)も調子を上げてくるといよいよ期待は高まる。残り1カ月と迫り「チームとしてやることはエペの頂点を取ること」(長尾監督)と気合十分。今回の優勝で実力は劣っていないと証明した。インカレも「チームワークの勝利」(長尾監督)を取りに行く。

[最上隼也]

試合後のコメント
長尾監督

「うれしいです。やはり普段から一緒にいて練習も一緒にしているので、親のような気分で娘たちが頑張ったような感じです。今回はここまでの過程がありました。春リーグで負けて、王座戦でも負けて、古俣は1年生の時から見ていますがチャレンジしても負けてしまうということがありました。本当は個人戦のタイトルも欲しかったですが、団体で優勝できたのは本当にチームワークの勝利です。本当にうれしいです。日大に勝てたのは、古俣がエースでいつも行き過ぎてしまい、いい時はポンポン早い時間で勝負が着いていました。いつも勝つ時の方が多いのですが、大事なここぞという時に同じようにポンポンといって相手に読まれて最終的には負けてしまっていました。そういう点では古俣が違う試合をしてくれました。急ぎ過ぎないということだけをベンチから言い続けていました。やはり技術力はあるので焦らなくても、急ぎ過ぎないで相手を崩した時に行けば確実に取れる。そうすれば相手も焦ってきてその剣をさばいて取る。これが理想で来たので、こっちから見ていてこの理想通りにできていました。あとは森本が頑張りました。今日午前中の1発目にベスト8懸けの個人戦があったのですが、うまくいかなくて大差で負けてしまいました。森本は調子の良し悪しがあまり無いものの、今日は調子が悪いのかなと思っていたのですが、結果的に勝ったり負けたりでした。フットワークもありますし腰も低くてポイントも正確なのですが、森本も急ぎ過ぎますね。後ろ足体重で懐を大きくするようなフットワークをするようにアドバイスしたら、結果前でさばけるようになってシスで捉えられるようになりました。基本にものすごく忠実で、接近戦も得意です。キャリアとしては2年弱なのですが、基本ができており、フェンシングが大好きで一生懸命練習する子なので結果が出てよかったです。言えば動けて理解できる子です。結果本来の前さばきができるようになってそこが大きかったと思います。上田はキャリアもあって実績もありますが緊張し過ぎてしまうところがあります。今日は個人戦に出ていなくて、久しぶりのエペの試合いきなりが団体戦でした。ですが団体戦なので自分が駄目でも後ろにつなぐという感じでチームは勝っているので、勝って回せばその差が大きいか小さいかだけなので気にしないようにという話はしました。責任感が強いことの裏返しですね。技術的には何も問題ないです。春からはやはりモチベーションをずっと維持し続けてきたことと、打倒日大ということは夏合宿で明確にエペの女性には伝えました。チームとしてやることはエペの頂点を取ること、具体的には打倒日大だと。それで彼女たちも皆そういう意識ができてずっとモチベーションを維持してきました。やはりそれだと思います。チームワークの勝利というか、同じ方向を向いて練習してきてくれたから。よかったです。試合中に言ったことは、技術的なことは皆が言うし、本人もテンションが高いのであまり言わないです。シンプルなことですね。急ぎ過ぎるなということと我慢するということと、それを自分で理解してほしいです。我慢するということは、無理していかないことです。あとは後ろ足体重、いつも通りと、その四つのフレーズしか僕は言いません。技術的なことは普段からやっているので、いつも通り相手を見てカルト側いくならカルト側いって、シスが空いていたらカルトからシスに抜くなど、いつも通りやること。前のめりになると体からいってしまうので、後ろ足体重で前でさばくために、後ろ足体重ということです。古俣さんの個人戦の相手は慶大の西久保さんという相手で、実力はあります。ただ今回シード選手にはなっていなくて予選から出てきたのですが、徐々に調子を上げられてしまいました。それと4年生で古俣対策というか、出てきた最終ラインで残しておく、そういう作戦を取っていました。そこでシードの強い選手でないという下馬評の中でいけるだろうということで突っ込むとやられてしまいました。悪循環でしたね。待ち剣なので少し合いませんでした。少し追い込んで崩していけば大丈夫でした。インカレの好材料として、今日はやはり結果を出したということ、女子エペが優勝したということに尽きますね。夏合宿で言っていたのは後期は女子は優勝する。男子フルーレもベスト4以上。昨年以上の成績を出そうということと、インカレの団体に出られなかった種目があったので、全種目インカレの団体に出ようということです。来週の火水曜日には男子エペが残っているので、そこで確実にインカレの出場権を取って、全員でインカレに行くと。今度はインカレで頑張って、次は全日本も全員で行こうというのは伝えてあります。皆意識してやってくれると思います」

古俣
「(個人戦)悔しかったですね。正直あまり強いというイメージのなかった人なのでしっかりやれば大丈夫だと思って行ったのですが、最初にポイントを取られてしまってずっと先攻していったらなかなか出てこなくてミスをしなくて抜けなかったです。私としては気持ちが先走ってしまったわけではないからそれは良かったかなと思ったのですが、聞いたらやっぱり体が出ているとか細かいミスが多かったみたいなので、そこは直したらよかったかなと思います。でもあの人も今回2位ですし調子も良かったので、何で負けたのだろうとは思っていないですけど悔しいは悔しいです。決勝を見ていて、自分のアタックをそのまま思いっきりいくというのも一つの手だったなと思いました。(4年連続ベスト8)本当はもっと上に行きたかったですけど、結果がどうというよりはここで負けたかという気持ちです。インカレでまた当たったら頑張ります。インカレに向けてやることというのは、今回パッセが多かったので、それもいろいろな要因があってパッセしてしまっているのですが、それを一つずつ潰していければなと思います。(団体戦)めっちゃうれしいです。めっちゃうれしい(笑)。決勝には行くぞとみんなで言っていて、でもやっぱり油断できないので、とりあえず団体で勝つためには全員が同じスタンスでいかないといけない。どういうふうにチームが動くのかというのを把握していないといけないと思います。なのでずっと1本でいいからプラスして帰って来いと言って。無理だったら無茶しなくていいけど、1点勝って帰ってくればいいよということを徹底させました。このチームも結構長いのでベンチワークもうまくできたと思いますし、予選に関しては勝っているところをしっかりと勝てたなと思います。今までだったら個人戦から切り替えられなかったと思うのですが、正直最初の試合は切り替えられていたわけではなかったです。でも上田と森本がしっかりと勝つところを勝ってきてくれるから、多少私があまり良くなくても大丈夫だろうというのがあって、最初の試合は乗り切れました。だからもうあの2人のおかげです。それで徐々に個人戦のことは忘れられました。(決勝の日大戦)今までずっとリーグ戦も王座も明治は最初に勝って先攻してずっとポイントを積み重ねて勝っていくチームで、でも日大戦に関してはいつも最初で負けていて。マイナスを背負った形で攻めざるを得なくなって自分のフェンシングをできなくなってしまってじわじわ負けていくというような形だったので、日大には絶対に最初にプラスにしたいと言っていました。なので今までに違うところがあったとしたら本当に集中した、最初に勝つための条件をしっかりと意識しておいたというところだと思います。後ろからの指示も今まで以上に声掛けてメンバーとの意思疎通もしてやりました。ベンチワークも日大よりはこっちの方が良いと思うので、そこも要因だし、明治の女子エペの強みだと思っています。具体的な勝因としては、やっぱり森本。しっかり下がって相手の動きを見てと言ったら本当に徹底してくれて、やれることだけやってくれてプラスを積み重ねていってくれたので、あれがなかったら負けていたと思います。だから本当に上田の最初のところと森本の中盤で、私は何もしていないですけどやらかしたわけでもないのでやれることはやれたかなという感じです。2人がやってくれると分かっていたからしっかりと見て、最後の馬場選手との試合もむやみに攻めるのではなくてしっかり時間を意識して、出すところをしっかりと見れました。プラスアルファは後輩ですけど、一応責任は果たせたかなと思います。やっぱり日大はリーグ戦と王座で2冠しているけど、こっちも負けてきて失くすものもないしもともと勝つ気満々で来ていたので、私は気負いはありましたけどいつも通りの気負いでした。日大にリベンジできたというのは大きいですが、これはインカレではなくて関カレなので。まだまだ次もありますから。勝てたから今日は喜びますけど、日大もたぶん次は全然違って気合を入れてくると思うので、油断はできないです。今回でインカレの1位シードを取ったのでよかったですが、やることは変わらないです。しっかりと勝てる試合を落とさずに、もしまた日大と当たってもこの前勝ったから大丈夫だと思わずにしっかり最初から今日と同じような試合をできるように気を引き締めていこうかなと思います。今回優勝したことでインカレでの優勝への思いも強くなりましたが、結局やることは変わらないし、今回もやることをやった結果優勝できたので。優勝はしたいですけどその思いが強すぎて空回ったのが王座なので、落ち着いていこうと思います。インカレに向けては、ベンチワークはできていると思うので、個人個人の能力を今まで以上に上げていくことが大事かなと思います。インカレでは個人戦でも勝ちたいです。ベスト8の壁を破りたいです。もう最後ですから、結果を求めるのはもちろんですが、勝ちたい勝ちたいで空回りするよりはやれることをやるということがまず大事だと思うので、やれることを増やしていきます」

上田
「(今の心境は)結果だけ見ればやっと優勝できたという。まだあまり実感はないですけど、45本取った瞬間はただうれしいなというのが感想です。(試合後にはうれし泣きが)逆ですね(笑)。私が足を引っ張ってしまって、私だけマイナスで、他の2人で取ってくれたので。優勝してよかったというのが前提で、それプラス申し訳なさと、悔しさの方が大きかったです。(白石選手、登坂選手にマイナス)自分の戦い方に偏りがあって、いつも前に行くばかりでああやって勝っている状態で待って相手のスキを突くこと、いろいろな状況への練習が足りなかったのが反省です。いつも日大を追いかける立場でしか試合をしていなかったのですが、ああいう状況になることも考えておかなければならなかったので、そこは練習不足でした。(第1セット、馬場選手とはプラマイゼロ)正直プラスはしたかったのですが、相手のエースとやって今までマイナスでしか回せていなかったので、初めてプラマイゼロで回せたのは悪くはなかったかなと。明治としての作戦の範囲内ではあったと思います。(古俣選手、森本選手の活躍が大きかった)私がマイナス6してスコアはプラス7で、2人でプラス13点も取ってもらっちゃって、本当に頼りになるなと。森本は年下ですけどすごく頼りになります。個人戦よりも団体の方が自分がやることを明確に決めていて、取られてもその後どうしたらいいかというのをチームなり彼女自身も考えていて、最終的にプラスにしていたのでそこはすごく見習いたいと思います。古俣さんには、古俣さん頼みにしないと決めていたのに結局全体のプランとかここはこうしようというのをほとんど古俣さんがチームをまとめてやってくださって。2人はすごく調子が良かったと思うので、インカレは私がもう少し頑張らないとなと感じました。(やってきた練習)1カ月前に実験で個人戦に出れないのが決まっていたので、団体戦を意識して練習していました。私は割と時間を掛けて点を取ってしまって、団体だとノーコンバッティビティ(両者得点なし)で次のセットにはしたくないので、しっかりと5本取り切るのを意識してました。結局今日5点取り切れた試合があまりないので、功を奏さなかったというか、練習方法はインカレに向けて見直す必要があるかなと思います。夏は思ったより量ができなかったのでその分質を上げようと思って、高校に戻ってその時の先生に個人的なレッスンを重点的にやってもらいました。この夏は自分の不調を洗い出してそこを一から直していくというのを意識して、今は途中ですけどだいぶ良かった時に近づいてるかなという感じはあります。(チーム全体での団体練習は)今回はあまり団体に向けて練習していなくて。合宿で現役のOBの方が来てくださった時に内部で1、2回やったくらいです。(それで勝ちにつながった理由は)やっぱり前期の経験が大きいかなと思います。初めてリーグで2位になって王座に行って準優勝できて、その中で今のメンバーに合う戦い方が見つかってきたのかなと思います。今までそこがブレていて、古俣さんも私も下にこうしようと言うのが毎回バラバラであったりとか、その時の状況によってチームの方針が左右されてしまっていました。(メンバーに合う戦い方とは)プランが定着していなかった時は勝っていたら勝っていたで自分が取れるだけ取る、個人戦が9試合あるみたいな形がスタイルでしたが、王座辺りから全員がプラス1で回していけば45点で終わるはずだから、1人がたくさん取らなくていいと。プラス1しなくても、マイナス2にされてもそのまま終わらせてというのをすごく徹底して、無理に行かないようになりました。(チームの信頼は上がったと感じますか)古俣さんとも試合始まる前にこのチームはチームワークが物を言うチームだからと話をしていて。チームワークは本当に良い方だと思います。コーチがいるわけでもなくて、自分たちで考えて普段からやっているので。上下関係なく何でも言い合えるようなチームだからこそ今回も優勝につながったのかなと思います。(最近試合をしていなかった)試合自体が久しぶりで団体戦は5月ぶりぐらいだったので、最初の日体大戦は過度に緊張してしまいました。たぶん落ち着いてやればそこまでのブランクはなかったと思うのですが、やっぱり気持ちの面でいつもより入れ過ぎてしまいました。専大とやった時にやっといつも通りに戻ってきたので、日大戦はそんなにブランクは感じなかったと思います。(インカレまでにする練習)私は個人出なくて団体だけに特化できる状況にあるので、今回の反省をもとにいろいろな状況を想定して。今日もフルーレの人にアドバイスを聞いたりしたら自分が今まで知らなかったようなことを聞けたりしたので。今日みたいなことにならないように、場面に対処できるような練習をしていきたいと思います。個人に出られなかった分、団体は優勝してインカレを終わりたいと思います」

森本
「団体戦は最初の日体大戦とかで、プラスで回したかったのですが同点やマイナスで回してしまい、勝っていたのに無理に行ってマイナスになってしまいました。専大戦では少し調子は上がっていたのですが、自分の思うようなプレーができなかったです。最後日大だったのですが、日大はずっと負けている相手だったので結構不安でした。日大に勝てたのは最初に上田先輩が同点で終えてくれて、その後に古俣先輩がリードで来てくれました。普段だったら追うような展開だったのですが、今回は少しリードしていたというのがやりやすかったです。春の時よりはこれをやろうというのを結構頭で決めていて、この相手にはこうしようというのを考えて臨めたかなと思います。あとは手から行くというのを最近ずっと意識していて、それをずっと意識しながらできました。相手を見て、馬場選手(日大)の時などはしっかり切って捉えていくなど、相手を見てそれに対応していこうというのがうまくできたかなと思います。決勝戦はあんなにプラスにできるとは思っていませんでした。普段の練習の時から今まで負けていたので、次当たった時はこうしようと考えながらやっていました。それがうまくいったのが何個かあったので、それが良かったです。個人戦は相手が結構攻めというよりは引いてやるのがうまい相手でした。最初2点リードされてしまい自分が行かなくてはいけなくなり、相手が怖いと思うような距離に思い切って入れなくて相手のペースになってしまいました。個人戦でもう少し頑張って上に行きたかったのですが、上に行けませんでした。なので団体戦では優勝したいなと思って切り替えて頑張りました。今日の成果は最初の2試合の団体戦に比べると最後は自分からしっかり仕掛けたりとか動いたりとか剣を見せたりとかできました。その中でいけると思ったところを思い切ってアタックすることができてよかったかなと思います。インカレは個人ではベスト8以上を目指して、団体戦は優勝できるように頑張ります」