〝決めると勝つ〟木戸の一撃 後期初完封勝利で連敗脱出/関東大学1部リーグ戦

2017.10.11
 主将の意地の決勝点で3試合ぶりの勝ち星だ。前節に今季初の連敗を喫し、迎えた第16節東洋大戦。序盤からサイドを起点に相手陣内に攻め込む。ボールを奪われても高い位置で取り返すなど攻守でさえ渡る。後半1分に木戸皓貴(文4=東福岡)のゴールで先制すると、その後も高い支配率で圧倒。1―0で連敗を2でストップ。後期リーグ戦では5試合目にして初のクリーンシートを達成した。インカレ出場圏内との勝ち点差は3に迫った。次節は総理大臣杯決勝で敗れた法大と対戦する。
 これぞ明治のエースストライカーだ。後半1分、相手DFのパスを小野雅史(政経3=大宮アルディージャユース)がインターセプトと同時に、ペナルティーエリア前の木戸へパス。ボールを受けた点取り屋は敵を背負いながらも反転し、迷わず左足を振り抜いた。低い弾道で抑えの効いたシュートはゴール前でワンバウンド。相手GKの目一杯伸ばした手をかすめ、ゴール左下へ吸い込まれた。「主将として硬くなっていた部分もあった。でも、一人のFWとしてしっかり点を取ればチームも付いてきてくれると信じていた。あの1点に懸ける思いは大きかった」。2試合連続無得点で連敗中。調子の上がらないチームのために、結果を残したい思いが人一倍あった。得点直後にはチームメイトも喜びを爆発。3試合ぶりに得点を挙げた木戸の周りには歓喜の輪ができた。今シーズンの公式戦は、木戸が得点した6試合は全て勝利を収めている。主将の一発はいつだって試合を決定づける。

 堅く守り相手につけ入るスキは与えなかった。前期リーグ戦全11試合での失点数は14。それに比べ、後期は前試合の4節で失点は11。かなり不安定な状況だった。そのため「4年生の山崎(浩介・商4=大宮アルディージャユース)と柴戸(海・政経4=市立船橋)をCBにしてチームを引き締めた」(栗田監督)と今試合は普段はMFとして出場している副将の柴戸をCBに起用した。最上級生コンビは後ろからしっかりとチームを統率。1試合を通して安定した守備を披露し、被シュート数はわずか1本に抑えた。完封勝利は後期リーグ戦では初めて。公式戦では総理大臣杯準々決勝常葉大浜松キャンパス戦以来、7試合ぶりだ。

 3度目の正直だ。次戦は現在6位の法大との一戦。リーグ第3節と総理大臣杯の決勝で敗れた因縁の相手だ。「3回目は負けられない」(木戸)と意気込む。また、今回勝利はしたものの、インカレ出場圏内との勝ち点差は3。次節での勝利がカギとなる。雪辱を果たすためにも、勝ち点を積み重ねるためにも白星を挙げたい。

[渡部伊織]

日付 対戦相手 会場 キックオフ時間 スコア
◆第91回関東大学リーグ戦 後期日程◆
(スコアをクリックすると試合の記事にリンクします)
12 9・18(月) 東京国際大 東国大G 14:00 ×1-4
13 9・24(日) 専大 中台陸 11:30 ○3―2
14 10・1(日) 順大 岩名陸 14:00 ×0-2
15 10・7(土) 筑波大 筑波大G 14:00 ×0-2
16 10・10(火) 東洋大 東洋大G 18:30 ○1-0
17 10・14(土) 法大 法大G 14:00
18 10・22(日) 日体大 味スタ西 14:00
19 10・28(土) 流経大 NACK5 13:00
20 11・4(土) 慶大 三ツ沢 11:30
21 11・11(土) 桐蔭横浜大 フクアリ 11:30
22 11・18(土)or19(日) 駒大 調整中 未定
※10月11日時点

順位 チーム名 勝点 総得点 総失点 得失点差
◆順位表◆
【第16節終了】
筑波大 38 39 12 27
順大 37 31 18 13
流経大 31 29 22
東京国際大 26 27 23
東洋大 24 25 19
法大 23 27 27
明大 21 21 25 -4
専大 18 20 24 -4
駒大 17 20 25 -5
10 慶大 14 12 25 -13
11 日体大 11 20 37 -17
12 桐蔭横浜大 10 19 33 -14

試合後のコメント
栗田監督

「順天大、筑波大と勝ててないゲームが続いていたので、とにかく勝とうということで選手たちも気合いが入っていました。それに対して勝つことができたことが何よりの好材料です。(前の試合から2日しか空いていないが練習で意識したことは)練習で意識したというよりも、一度1年間の流れをしっかり確認すると、失点シーンが変化してきています。前期のリーグ戦、アミノバイタルカップ、総理大臣杯は比較的失点少なかったですが、後期のリーグ戦は失点が多くありました。その失点の分析をすると明大として何をしないといけないかというのが見えてくるので、そういう話をしました。それでもう一度対人のところと三原則のところの確認をして、今日に臨みました。(中村帆を起用したのは)元々スピードもあって能力も高い選手です。練習でも調子は良かったですし、こういった勝てていない状況の中でフレッシュな選手を使って、スピードでサイドを打開するのが狙いでした。(長沢は久々の起用だったが)早川も頑張ってましたし、何が悪いというわけではないのですけど、長沢もずっと準備をしてきていました。チームの雰囲気を変えるという意味を含めて長沢を使いました。明治の選手は試合に出場するかどうかは関係なく、どんな時も頑張るんですけど、GKは1人しか出れないポジションなので、その中でもどんな状況であれチームのために頑張っていました。(攻撃の時のフォーメーションは)基本は4-4-2なんですけど、サイドが速い選手が多いので、そこで2-1を作ります。相手チームもどうしても真ん中でブロックを作ってくるので、真ん中に闇雲に放り込んでも、跳ね返されてカウンターを食らってしまいます。なのでサイドで起点を作って攻撃をしました。(木戸の活躍は)彼もキャプテンとして色々ともがきながらやってると思います。その中で、自分で点を取るということは非常にチームにとっても元気が出ることだと思います。(Iリーグ国士大戦後にチームにお話をされたそうですが)自分たちの部というのは応援してる選手もトップチームで出てる選手も常に全力で取り組んでるし、Iリーグをやってるときはトップチームの選手は全力で応援してます。素晴らしい取り組みをしてるわけだから、自信を持って思い切りやりなさいという話をしました。Iリーグのメンバーが勇気付けて、元気付けて、トップチームでもみんなで勝ちましょうという話をしました。(3試合ぶりに勝利しましたが、今日の勝利はどういったものになるか。インカレには少し近づいたが)全然そんなこと考えてなくて、とにかく今シーズンは苦戦してるので、一試合一試合頑張ろうというだけです。(次戦への意気込み)法大には前期リーグ戦で負けてますし、直近では総理大臣杯でも負けています。同じ相手に3回も負けるわけにはいかないです。頑張っていきたいと思います」

木戸
「(3戦ぶりの勝利は)素直にうれしいというかほっとしています。相手どうこうというより、自分たちが前から守備をかけてよい状態で奪って、攻撃していこうというところから入って、前半はこの前の試合もその前の試合も同様で、入りもよかったし、でもなかなか得点にはつながらない状況で、焦れずにディフェンスラインがしっかり抑えてくれていたので、あとは明大に流れもあったので、決めるだけでした。そこでしっかり仕留められたのは良かったと思います。(明大ペースになった要因は)先制点です。前半同様に前からの守備で行こうという中で、シンプルにゴールを狙っていて、それが結果としてつながったので、チームの落ち着きにつながったと思います。(ゴールシーンは)立ち上がりということもあったので、いい形でボールを奪って、しっかりシュートを打とうと思っていました。でも、いい守備ができたからこそ、フィニッシュまでいけたので、そういった意味では守備を評価したいと思います。(試合前の話し合いは)学生だけでミーティングをして、失点もして得点も取れてなくて勝ててないけど、そういうところばかりに頭を持ってかれずに、総理大臣杯やこの夏やってきた守備のところを思い出そうと。みんなできると信じていたし、やればできると思っているので、やるべきことをしっかりやって、90分でしっかり勝ち切ろうと話しました。(守備が安定してた)相手がどうこうではなくて、しっかり前から行って、相手の判断を奪って、何もさせないというところから入りました。しっかり守備がはまって、全体として統一ができていたので、全然問題はなかったです。チームとして0失点に抑えて、1点を取って勝つという素晴らしいゲームだと思います。(いつもとメンバー構成が違うが)誰が出るとかではなくて、しっかりみんなでコミュニケーションを取って、自覚を持ってできていました。帆高も初先発だったんですけど、練習でもしっかりやれていたので心配はないし、むしろ思い切りやってチームに貢献してくれました。今日の試合に関しては2年生が引っ張ってくれたと思います。そういった成長も見れたので、上級生としては非常にうれしいです。もっと下の学年から湧き出てほしいし、そういった意味では今日の勝利はいい意味をもたらすのではないかと思います。(中村帆の持ち味は)攻撃的なSBなので、今日はうまく森下がスペースを空けて、そこに中村帆が走り出すっていうプレーが徹底してできていたので、相手も下がらざるを得なかったです。右サイドのコンビネーションは良かったですし、帆高自身も個性が生かされていたので、ミスを恐れないでチャレンジするという積極性が相手を嫌がらせたと思います。(今シーズンは木戸が決めると勝利する)ここ数試合得点を取れていなかったです。主将で硬くなり過ぎた部分もあったと思います。でも、一人のFWとしてしっかり点を取れば、チームも付いてきてくれると信じていました。あの1点に懸ける想いは大きかったし、得点を取れたことで、ああやってみんなの元気が出ました。自分は1点に懸ける想いはすごくあるし、自分が決めれば今シーズン勝っているというのはうれしいことです。継続して点を取りたいと思います。(次節は法大)3回も負けれないし、日数は少ないですけど、いいコンディションで臨めば負けないと思うので、借りを返したいと思います」

柴戸
「2試合負けている中で、無失点でしっかり得点して勝利できたことはチームとして大きな勝利だと思います。CBは高校時代もやっていました。大学に入ってからもやる機会はあったので違和感なく山崎と長沢とも話し合いながらうまく入れました。CBなので一発で行ってはいけないシーンや後ろから声を出してチームを鼓舞する部分、ゴール前でしっかり体を張るということはボランチとは少し変わると思います。(試合前は)絶対に負けられないという思いでした。無失点は後期リーグ戦ではないので、絶対無失点でやり切ろうとディフェンスラインが中心となって思っていました。0に対するこだわりが選手一人一人から感じられたと思います。(ハーフタイムでは)やっぱり0-0だったのでこのままだったら筑波大、順大と同じ試合になってしまうと話しました。もう一段階ギアを上げていかないと駄目だぞと話して後半に入りました。(良かった点は)みんなに活力があってチームでやることが統一されていたことや明治の守備の部分で全員がそれを意識して切り替えや球際の部分をやったことです。攻撃に出ていく枚数や追い越していく枚数も多かったです。そういう部分に関しては良かったと思います。(インカレへの思い)明治としてはインカレに絶対出なければいけないという思いがあります。ラストイヤーなので絶対にインカレに出て、総理大臣杯の時につかめなかった全国優勝をつかみたいという思いを持っています。そのためにまず一つ一つのリーグ戦や毎日の練習の積み重ねが大事だと思います。(次戦に向けて)こういう難しいゲームやなかなか勝てない中で勝ったのは価値ある勝利だと思います。次の試合が本当に大事になってくると思います。中3日で本当に短いですけど、しっかりとコンディションを整えます。法大は大臣杯の決勝でも負けて、前期のリーグ戦でも負けている相手なので借りを返せるようにしっかり準備していきたいと思います」

小野
「内容よりもまずは絶対に無失点ということと、あと最近は勝利してなかったので絶対に勝つということをチームで決めていました。まずは勝てて良かったです。(ゴールシーンのアシスト)あれは木戸さんのシュートがすごかったので、ほとんどアシストにはならないです。ワンタッチで効果的な縦パスをと思ったので、木戸さんにつけました。守備で主導権を握れたから攻撃の時間も自ずと増えたというのは感じてます。しっかり守備から入れたことが大きかったです。チームとしても個人としても守備は意識してました。その中で自分の持ち味は攻撃的なところだったので、個人的には満足のいく結果ではなかったですけど、しっかりチームが勝てたことがまず第一なので、これから自分もこの試合を糧にもっと突き詰めてやっていきたいです」

長沢祐弥(政経3=藤枝東)
「これまではカウンターで失点することが多かったので、まず攻撃でやり切ることとその上で守備はリスク管理をしっかりやるということを意識しました。(久々の出場でしたが)自分のプレーはあんまり意識しないで勝つことだけに集中してやってました。(スタメンが発表されたのは)この前の筑波大戦が終わった後に、監督から『準備しておけ』と言われました。(GKでライバルは)全員がライバルと思ってますし、その中でも1年の早川友基(営1=桐蔭学園)が試合に出てるので、スタメンを取りに行く気持ちは全然変わってないですし、これからも切磋琢磨してやっていければと思います。(練習では何を意識していたか)何をというより、一つ一つを全力でプレーしていました。キーパーというのは信頼感というのが大事なので、練習で見せていくことが試合に出場することにつながります。(後ろから見ていて攻撃面で感じたことは)後半開始早々に、皓貴くんが決めてくれて、本当に助かりました。なので、後ろは本当に失点しないようにしました。(次の試合への意気込み)次の試合までの練習をしっかりやって、次も泥臭く、勝ちだけをこだわってやっていきたいです」