
新星・増山優勝!合同合宿で敵分析 8人が全日本出場権獲得/東京学生体重別選手権
難敵を撃破した。「勝率は3、4割程度だった」(増山)。増山は1回戦でいきなり国士大の主将を務める江畑(国士大)と対戦。相手は今大会の本戦に当たる全日本学生体重別選手権では表彰台の常連。昨年の東アジア選手権では優勝を果たすなど、国際大会でも活躍する実力者だ。しかし、そんな相手に対しても増山は開始早々から一歩も譲らず、そのまま延長戦に持ち込む。すると、最後は相手が焦って攻勢に出たと同時に背負い投げをかけ、勝負を決めた。「初戦が1番強かった」(増山)。優勝候補筆頭の強敵を早々に倒したことで、勢いづき優勝まで突き進むことができた。
勝利のカギを合同合宿で得た。明大は8月中旬に広畑(兵庫県)で行われる新日鉄住金の合宿に毎年参加しており、今年はそこに国士大の選手も10名ほど参加。その中に江畑がいた。弱点こそつかめなかったが、実際に練習で対戦したことで相手の特徴をつかんだ。「(組手の際に)背中は持ったら負けるということを確信した」(増山)。今大会では前襟のみをつかむ組み手で、相手の得意技である大外刈りを封印。長所を消したことが勝利につながった。増山は7月に行われた東京都ジュニア体重別選手権では準優勝に輝いた注目株。「元々メンタルも強くて、負けん気も強い。体力と技術をレベルアップしていけばもっと上を目指せる選手」と猿渡琢海監督も期待するルーキーだ。「全日本ジュニアでは優勝、全日本学生ではベスト4に入れるよう頑張りたい」(増山)。全日本レベルでも躍進を遂げる。
最後の個人インカレには出場すらかなわなかった。「本当に悔しい。あんまり表には出さないようにしてるけど、結構やばい」(野々内)。野々内は試合後、強く唇を噛んだ。本選出場が懸かった3回戦では全日本C強化選手の長井(日体大)と対戦。東京都ジュニアでは優勝を果たした新人に対し、序盤は積極的な組手で圧倒。開始2分で指導二つを奪うも「あと一つ攻め切れなかった」(野々内)。反撃に出た相手に徐々に押し込まれ、指導を二つ奪われると、勝負は延長戦へ。その後、指導を奪われ敗戦。本選出場を逃した。「4年生としてもキャプテンとしても情けない」(野々内)。2年次には本選で表彰台に立った実績もあるが、最終学年では出場権すら獲得できなかった。野々内に残された大会はあと一つしかない。「尼崎までキャプテンとしてチームを引っ張っていってほしい」(猿渡監督)。大学ラストの大会になる全日本学生体重別団体優勝大会でチームを優勝に導き、無念を晴らす。
下級生の活躍が目立った。全日本学生体重別選手権への出場権を獲得した9人の内、5人が1、2年生。特に「増山、山本(康生・商2=崇徳)は新しい戦力になっている」(猿渡監督)。東京都ジュニアに引き続き、2大会連続で全国への切符を手にした2人に賛辞を贈った。逆に上級生には「どんなに強い選手でも向かっていくという姿勢が欠けている」(猿渡監督)と厳しい指摘。約1カ月後に行われる本選こそ上級生が意地を見せる。
[古賀章太郎]
試合後のコメント
猿渡監督
「全体的には昨年よりも全日本学生に出場する人数が減って悪い結果だったので評価できません。4年生は最後の試合になった選手もいて、そこにより結果が伴わなかったというのはなんとも言いづらいし、2ヶ月前の優勝大会で心がけてきた絶対に勝たないといけないという信念が足りなかったり、それぞれの柔道ができないで臆病になっていたのかなと。その内容がこのような結果に出てしまったと思います。野々内の最後の試合には審判のジャッジに少し納得できない部分もありましたが、4年生としての意地を見せて投げて勝たなければいけない試合だった思います。その辺を踏まえた上で尼崎までキャプテンとしてチームを引っ張っていってほしいです。全体にはミーティングで話したが、良い意味で慎重だったし悪い意味で臆病になっていたと思います。練習でいろんなことを研究したり技を磨いたりしたことを出せないで終わってしまいましたね。もっと追い込まなければいけなかったし、メンタルが弱かった部分もあります。体が動いていないときには気持ちが上の空になってしまっているので、心技体すべてを鍛えていかなければいけない。それでもこの前東京ジュニアで2位なった増山も優勝したし、山本も全日本学生につながったし新しい戦力になっています。思い切りの良さもあって自分の技を積極的にかけていってどんなに強い選手でも向かっていくという姿勢が結果につながっています。逆にその部分が3、4年生に欠けてきてしまっていると思います。増山は春の優勝大会にも1年生で唯一入っていて、レギュラーの中できつい練習を経験したこともあって成長したのかなと。元々メンタルも強くて、負けん気も強いので体力と技術をレベルアップしていけばもっと上を目指せる選手です。全日本ジュニアに向けて今日負けたメンバーは優勝目指して結果を勝ち取ってもらいたいですし、全員優勝する力は持っていると思います。あとは今日みたいに臆病にならないように、自分の柔道を貫いて試合に挑んでほしいです。全日本体重別選手権に向けては、個人個人鍛えなければいけないところにバラつきがありますし、精神面体力面技術面で分かれます。まずは個々に話をしながら方向性をつくって指導していきます」
野々内
「情けないです。4年生としてキャプテンとしてもそうです。あと、力を出し切れなかったことです。試合展開は優位した状況だったのに、GS(ゴールデンスコア)に入って逆転されてしまいました。やっぱり投げる場面もあったんですけど、投げ切ることができなかったです。そこが甘いところだと思います。(今大会は)優勝しか考えてなかったです。全日本学生と決勝まで進んだら講道館杯への出場権がもらえるので。しっかりそこで勝ち取ってシニアの大会につなげていこうと思ったんですけど、全然だめでした。これからはしっかり腐らないように、体の痛いところとか全て治して、一からやり直していきたいと思ってます。(3回戦の長井に対してはどんな印象を)インターハイも優勝してて、この前の東京都ジュニアも優勝していたので、技の威力はあるなと思ってたんですけど、そんなにビビることもなく、試合には望めたと思います。(4年生が全日本学生への出場権を逃しているが)4年生が引っ張っていかないといけなくて、勝っていい雰囲気を作らないといけない状況で、初戦や2回戦で消えていく選手が多かったので、やっぱりそれが去年より全体的に成績が低い要因ではあると思います。(目標は)尼崎になるんですけど、しっかりそれまでに自分がやるべきことを明確にして、それに向けて頑張っていきたいです。(増山の活躍は)率直な気持ちは悔しいんですけど、それを認めないと僕も強くならないので、しっかり自分は増山より弱いというのを認めて、自分で飲み込んで、今後につなげていきたいと思います。(ケガは)3日前にケガをしてしまいました。でも、ケガは関係なくて、今日はコンディション的にはいつもの試合と同じくらいまでに持っていけました。今日はケガしてることを忘れて、試合をしていました。それを考えてたら、試合に出ちゃうと思っていたので、それを忘れて試合に取り組んでいたので、自分の弱さというのが素直に試合に表れたと思います。(弱さは)あと一つを取り切ることです。全日本の団体戦もそうだったんですけど、決勝で指導二つ取ってて、あと1分くらいあったのに、そこで取り切れなかったです。成長してないと思います」
名垣浦
「一応全国大会には出ることができるので、全国大会で良い調子に持っていけるように頑張っていきたいです。(夏合宿の成果は)全然ダメでした。調子も良くなかったので、全国で良い調子に臨めたらなと思います。(全国では)一試合一試合大切だと思うので、大切にして優勝を狙えるように頑張っていきたいです」
田中
「相手が自分より大きいのに組手で妥協してしまって技を受けてしまったというのが、敗因かと思います。最初から何回か投げれるチャンスがあったのでそこでしっかりと決めていれば、GSにもならなくて良かったと思います。(猿渡監督からは)終わった後に、今回は東京だから反省を生かして後1ヶ月後に向けて借りを返せば良いからと言われて、組手を研究して変えていきたいと思います。(日大の一色とは)高校、大学と対戦成績がなくて、初めてでした。(対戦した感想は)力はそうでもないのですが、圧力はあって、相手の方が徹底していたのかなと思います。(夏合宿の成果は)夏休み前からはウエイトを取り入れてきていて、パワーの面では負けてなかったかなと思います。(今大会の目標は)ずっと2位できていたので、今年こそ優勝したいと思っていました。(3位という結果は)悔しいですし、これを次の大会に生かさないと意味がないので、しっかり反省点を見返したいです。(持ち味は)1、2回戦は組手で有利だったので、うまく指導が取れました。(全日本に向けて)ずっとベスト16で終わっているので、今年こそ優勝して東京学生の借りを返したいと思います」
増山
「今日は正直1回戦から厳しかったです。なんか優勝した実感がないです。(特に手強かったのは)やっぱり初戦が1番手強かったです。(組み合わせが分かった時は)1回戦の相手だけ何としても勝ちたいと。(相手の特徴は把握してたか)それはしてました。8月の合宿の時にちょうど国士舘が来たので、練習をすることができました。(探り合いだったか)自分は別に隠すことはなかったです。そんなに強くないので、全然普通にやりました。その時にもしかしたら行けるかもしれないという感じになりました。(技が決まったのは偶然だったのか)あの状態はだめだったので、とりあえず技をかけないと、と思ってたら、相手もちょうど技をかけにきました。(その後の試合は)結構厳しいパートというのは分かっていたので、それからの試合もしっかり臨みました。(決勝終わった後は)優勝しちゃったという気持ちでした。本当にここまで力を出せるとは思ってなかったです。(決勝は相手に先行された)持ち上げられた時にもうやばいと思って、一本にならなくて良かったと思いました。(東京都ジュニアから強化したこと)7月末に右足の人差し指の靭帯をケガして、練習ができなくて、そこから筋肉トレーニングができました。集中的にトレーニングができて、体も大きくなって、そこが今回良かったと思います。(ケガをされたのは)7月末ですね。合宿には復活したんですけど、2日目にケガして。指の裏を切って、5針縫いました。練習してたら、道場にネジが出ていたらしくて、切っちゃいました。(足の裏のケガが治ったのは)8月24日です。(筋肉トレーニングではどこを鍛えたのか)懸垂ですね。上半身をとりあえず鍛えました。いつも減量ないんですけど、今回は減量が必要でした。3キロありました。いつもはぴったり90kgです。そこで筋肉が増えたと実感しました。(それが生かされた場面は今日の試合にはありましたか)生かされたというか自信になったという程度です。(次の目標は)まずジュニアからやっていきたいです。(優勝したということは講道館杯出場も決まりましたが)今回もシニアで活躍してる選手も多かったので、少しだけ講道館杯でやっていける自信がつきました。(全日本ジュニアと全日本学生での具体的な目標)ジュニアでは優勝できるように頑張りたいです。全日本学生ではベスト4に入りたいです」
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