ルーキー特集(2)木村奨 小野田実

2017.08.28
 大学日本一へ挑む。8月31日から9月3日に戸田ボートコースで全日本大学選手権(インカレ)が行われる。目標は1年間通して掲げてきた男女総合優勝。ここまで6年連続総合2位と、あと一歩のところまで迫っている。今年こそ創部初の快挙を成し遂げるべく厳しい練習を重ねてきた端艇部を全4回にわたって特集していく。

 第2回は今年明大端艇部に入部してきた1年生の男子部員の中から、木村奨(政経1=今治西)小野田実(法1=県立越谷)の2人を取り上げます。

木村

――ボートを始めたきっかけを教えてください
「中学校までに、剣道、水泳、テニスっていろんなスポーツをやってきたんですけど、新しいことに挑戦したいって思ったのと、今治西のボート部って言ったら、伝統があって毎年全国行くような強豪校だったので、自分も全国を目指してみたいなって思って始めたのがきっかけです」

――それまでやってきたスポーツとボートにはどういった違いがありますか
「テニスとかだと試合の時間が結構長いんですよ。でもボートは1000mなら約3分、2000mなら約7分ぐらいで終わるんですけど、そのために毎日しんどい練習をして、3分にすべてを懸けるっていうところが、ほかのスポーツとの違いだと思います」

――大学でもボートを続けようと思ったのはいつごろですか
「高校2年生の時に全国大会が決まってからです」

――高校の恩師である井手勝敏先生はどんな方でしたか
「基本的にはあんまり怒らないです。水上で僕らの練習を見て、メガホンとかでアドバイスするんですけど、そこは優しいんです。でも例えば、船を傷つけることだったりとか、準備が遅かったりとか、そういうときはすごく怒ります。それと、井手先生はインターハイに行く前に『インターハイは優勝目指すから厳しくいく』って言って、その間は結構きつかったです」

――高校から始めたボート競技をどのようにトップレベルまで持ってきたのですか
「井手先生は教えるのがすごくうまくて、本人もすごくボートが速いんですけど、その井手先生が現役時代と指導歴で培ったこぎを僕らに直接、短縮して効率よく教えてくれます。井手先生が求める理想のこぎを端的に僕らに教えてくれて、そのこぎに合わせることができるので、やっぱり先生の指導は大きかったと思います」

――明大を進学先に選んだ理由を教えてください
「戸田にはよく大会で来てたんですけど、こいでるところを見て純粋にすごくかっこいいなと思って、そこからインターネットとかでレース結果とかレースの動画とかを見て、すごくいいなと思ったので、僕は決めました。強さとかチームの雰囲気に惹かれました」

――インターハイで準優勝されていますが、その時のことを教えてください
「うれしいっていうよりは悔しい思いをしました。うれしいっていうのはあんまりなかったです。その悔しさを大学のレースにぶつけたいです」

――大学1年目の目標は決まっていますか
「1年目というか、大学通してなんですけど、とにかく優勝することです。何でもいいので、自分が乗ったクルーで優勝することです」

――何に乗るかこだわっていくというよりは勝つことを優先するということですか
「どっちかっていったら日本一になることが優先ですけど、やっぱりエイトとか大きい船には乗りたいなと思っています」

――ボートをやめたいと思ったときはありますか
「それはしょっちゅうあります(笑)。練習の一番きつい時というか、ラストとスタートって誰でも頑張れるじゃないですか。でも中盤がきつくてやめたいなって思うときはあります」

――ボートをやっていてよかったと思う瞬間はどんなときですか
「インターハイ2位になって、すごく悔しかったんですけど、ほかの高校は3位とか4位とかでも喜んでたんですよ。でも僕らは優勝しか狙ってなかったので、結構泣いたりして、立ち上がれなくなってる人もいて、でも、レースに負けて全国で2位になって、泣けたっていうか、悔しい思いができたっていうのが、後々になって考えると、自分は一番上を目指すっていう気持ちがずっとあったんだなと思いました。しかも同期もみんな泣いてたので、みんな同じ気持ちでやってたんだなと思えてそれがすごく印象強かったです」

――大学に来て、練習場が目の前にあるのはいかがですか
「すぐに練習できるので、そこはすごくプラスだと思いますし、周りに戦うべき相手がいるので、そこは気持ちが高ぶるというか、勉強になったりモチベーションが上がったりします」

――レースの中でのご自身の強みはどんなところですか
「高校のときはとにかく後半型です。終盤に伸びてくるというか、自分たちの持ち味が出てくるって感じでした」

――最後に大学での一番の目標は教えてください
「日本一を目指すっていう上で、共同生活をしていて、先輩方も仕事とかをてきぱきやっていて、きれいごとですけど、厳しい場面でもしないといけないことができるっていうのを、レースでも練習でも私生活でも身につけていきたいです」

――ありがとうございました

小野田 

――ボート競技を始めたきっかけを教えてください
「中学まで野球をやっていたけど高校では違うスポーツをやろうと思っていたところに、ボート部の体験に行ったときに爽快感に感動したからです。最初は軽い気持ちで始めたのですが意外と楽しくてのめり込んでしまいました」

――今までで一番印象に残っているレースを教えてください
「高校のインターハイの県予選です。それまでも勝ったり負けたりしてる相手に高校最後のレースっていうプレッシャーの中で勝てたということが一番印象に残っています」

――明大を進学先に選んだ理由を教えてください。
「元から大学でも続けたいという気持ちがあったところに明大から推薦の話をいただいて、明治大学っていう有名な大学に入れてもらえるチャンスを逃してはいけないと思ったからです。推薦の話は明大からだけだったので明大一本でいこうと思いました」

――ボートの楽しさはどういったところで感じますか
「4人とか8人とか一緒に同じ艇に乗るんですけど動きがずれてしまうと思うように進まなくなるところと動きがそろうと一人の力では出すことができないようなスピードで進むのでそこは楽しいです。特殊なスポーツで人間が艇とオールを繋いで自分の力で進めていくという野球やサッカーと違う楽しさがあります。爽快感がくせになります」

――ボートを辞めたいと思ったことはありますか
「辛いメニューのときはしんどいんですけど、目標があってやっているので、目標を思い出してやると頑張ろうと思います。辞めたいなと思うことはあるのですが深刻に辞めたいと思ったことはないです」

――大学と高校でレベルの差はどういったところで感じますか
「高校のときはチームの中でも上の方でやらせてもらっていたんですけど、大学に入るとトップレベルの人たちが集まっているのでまた1からのスタートです。周りのレベルの高さは日頃の練習のモチベーションになります」

――大学に入ってから最初の半年間を振り返ってみて納得のいく半年でしたか
「生活とか競技以外のところでも新しい環境で忙しいっていうのが一番の印象です。けっこう時間も見るようになってやることが多くて大変なんですけど充実した半年間でした。でも、時間を見ることによって朝も早く起きられるようになったり、生活習慣はかなり成長しました。寮生活は身の回りのこととか、自分のことは自分でやらないといけないんですけど最近は慣れてきてけっこう余裕もできて楽しめています。ボートのことにも集中していけるようになりました。大変な環境にいるからこそ成長できたのかなと思います」

――明大端艇部の雰囲気はいかがですか
「入る前は緊張していたんですけどすごいアットホームな雰囲気です。周りの先輩方とかけっこう話しかけてくれてご飯にも連れていってくれて、先輩後輩の仲はいいと思います。4年生の仲はいいんですけど、練習では切り替えて日本一を目指すっていう目標を持って引き締まるので、そういう切り替えの面はすごいと思います」

――明大端艇部の中でご自身の役割はどういったものだと考えていますか
「高校の時に部長をやっていたこともあって、1年がバラバラになったときとかに一歩引いた立場で客観的な意見を言うということが自分にできる事かなと思います。将来的にも端艇部の全体が見えるような存在になりたいです」

――インカレに向けてどのような練習してきましたか
「インカレっていう名前は高校の時から聞いていて、大事な試合だと思っています。4年生の先輩たちと同じ艇に乗るということもあって今までのボート人生で一番キツい練習をしてきました。勝つためっていう風に思えば苦しくなかったです。濃い練習ができています。
今回は舵手つきフォアに乗ります」

――インカレへの意気込みをお願いします
「大学初めてのインカレになるんですけど、1年目から良いスタートが切れるようにベストを尽くしたいと思います。目標は日本一なのでそこだけを見てインカレに臨みたいです」

――大学での目標を教えてください
「高校の時は日本一という目標を達成できなかったんですけど、それを達成したいという気持ちで明大に来ています。大学では表彰台の一番上に立つっていうことが最大の目標です」

――ありがとうございました

[織田有衣子・長沼遼太]

次回は男女主将特集をお送りします。更新は8月29日です。お楽しみに!