春の悔しさをバネに団体インカレ2連覇達成/全日本大学総合選手権・団体の部

2017.07.10
 やはり明大は強かった。団体インカレ最終日は、準決勝と決勝が行われた。準決勝は龍崎東寅(商1=帝京)の活躍もありストレートで筑波大を下し、今大会負けなしの18連勝で決勝に駒を進める。決勝の相手は、春季リーグで王者の座を奪われた因縁の相手・専大。龍崎が1番手として大事な一勝を挙げると、続く森薗政崇主将(政経4=青森山田)も逆転勝ちで優勝に王手をかける。森薗・渡辺裕介(商3=明徳義塾)組でダブルスを落とし今大会、初黒星を喫したが、最後は酒井明日翔(政経3=帝京)が完勝で悲願の優勝を決めた。これで明大は史上最多タイの2年連続17度目の優勝となった。

 引き出しの多さが勝負を決めた。準決勝の相手は筑波大。1番手の森薗がフルセットの末、勝利。2番手で登場した龍崎は原田(筑波大)との一戦。春季リーグでストレート負けした相手に龍崎は「少し嫌なイメージはあった」。それでも、この試合で光ったのはバックハンド。「精度を上げてミスをしない練習をしている」(龍崎)という練習の成果が出た。勝負所でチキータレシーブが決まり流れを加速させると、ラリーになっても打ち負けなかった。相手に主導権を与えず3―0のストレート勝ち。負けていた相手からの勝利に加え、苦手意識のあったバックハンドが通用するところを見せた。進化が止まらない1年生が決勝の舞台を手繰り寄せた。

 彼には優勝請負人ということばが持ってこいだ。春季リーグで7連覇を阻まれた専大との決勝戦。森薗・渡辺組が敗れ4番手として登場した酒井。相手の勢いなど関係なかった。第1ゲーム、ペースを握りたい序盤から“らしい”プレーを連発。サーブで崩してからの3球目を強烈なフォアハンドでストレートに打ち抜く。後ろに下げられてもバックハンドで高速カウンターを決めるなど、速い攻撃に及川(専大)の足が止まった。2ゲームを取り勝負の第3ゲーム。このゲームも両ハンドが冴えわたり点数を重ねていく。そして10―9で迎えたゲームポイント。最後も攻めきり優勝をもたらした。歓喜の輪の中心にいた男は、昨年のインカレでも優勝を決めた。「自分が決めてやるという気持ちがひしひしと伝わってきた。頼もしかった」(髙山幸信監督)。圧倒的な強さと会場の度肝を抜くプレーは、日本一を決定する試合にふさわしかった。

 春の悔しさがチームを成長させた。春季リーグ戦で4位に終わり「負けたくないという気持ちが強くなった」(森薗)と敗北が選手の意識を変えた。意識の変化が専大にもリベンジを果たし最高の結果に結びついた。昨年のグランドスラム達成メンバーと比較されることの多い今年のチーム。不安視されるなかでも、勝ち切る強さが選手たちにあった。「強い選手がいるから強いんじゃなくて、勝ったチームが強いチーム」(高山監督)の言葉通り、17度目のインカレ制覇という最高の形で“王者”を証明した。

[福永智隆]