奥田、二ノ宮がともに初戦敗退/全日本選抜選手権

2017.06.17
 2人とも初戦敗退に終わった。天皇杯と並ぶ国内最大規模の今大会。大会2日目は明大からグレコローマンスタイル75kg級の奥田海人(政経3=霞ヶ浦)、フリースタイル97kg級の二ノ宮寛斗(営2=岐南工)が出場した。2人とも自分のペースをつかめず、一度もリードを奪うことができないまま敗戦。大会のレベルの高さを痛感した。

 快進撃が止まった。5月に開催された東日本学生リーグ戦ではチームで唯一の出場試合全勝を果たすなど好調をキープしていた二ノ宮がまさかの1回戦敗退に終わった。対戦相手は直接指導を受けたこともある同じ岐阜出身の鈴木聖二(岐阜工職員)。手の内を知られている相手に「やりづらさがあった」(二ノ宮)と試合開始わずか7秒、場外で2点を先制された。その後、第2ピリオド開始1分半で1点を返すも主導権を握れず1-5で敗れた。次週に新人戦を控えている二ノ宮は「同世代には負けたくないので内容にもこだわっていきたい」と今大会の敗戦を糧に新人戦に挑む。

 
 変化に対応できなかった。投げ主体のグレコローマンスタイルで出場した奥田。初戦の相手は過去2回対戦し、ともに勝利を収めていた澤田(中京学大)だ。しかし「前とスタイルを変えてこられた」(奥田)と距離を取られ、投げが得意な奥田の持ち味は打ち消された。スタイルの変化に順応できず、試合開始40秒余りで2点を先制されると、そのまま点を取り返すことができないまま0-2で敗戦。悔しい結果となった。

 全国の舞台で思い通りの結果が残せなかった両選手。「フィジカル面をもっと強化しなければいけない」(奥田)と明白な課題も見えてきた。「自分が自分のコーチという気持ちで」(二ノ宮)と自らの練習態度を見直し、今大会の課題を修正してみせる。

[長沼遼太]

試合後のコメント
安西信昌コーチ

「二ノ宮は自分の形を作らせてもらえなかったなという印象です。自分の形を作れない中でもポイントを取る形を作れるか、そういうところが全日本クラスで戦うには引き出しとして必要になってくるし、単純なことですけど自分の武器で戦っていくためにも、よりストロングポイントを伸ばしていくことは重要だと思います。本人も常に意識していることだと思うし時間はかかっても徐々に改善されていくと思うので。天皇杯はお互いの攻め合いの中で攻め勝ったっていうところがあって、今回は相手が二ノ宮と同郷の先輩でコーチのようなものだったので、二ノ宮が攻めるのを上手くかわされて相手に点を取られたという形でした。3ポイント取られましたけど、綺麗にテイクダウンされたわけではなかったかな。(奥田は)過去に2度勝っている相手で、3回目勝てば全日本の表彰台ということで、試合前の表情からも緊張が見えて。そういうところが本人の思い切りの良さを鈍らせたのもあると思います。グレコという点を取りづらいスタイルで先制された時に攻め切れなかった、前半は相手にすぐに振り解かれて。しっかり形を作って点を取る仕掛けをどうやっていくかっていうのを常に積み重ねていかないと、マットの上でも出せないと思うので。向こうは2回負けている相手に勝ったら全日本3位、こっちは2回勝っている相手に対して手堅くいきたいって気持ちも強かったと思う。海人の方がプレッシャーはあったんじゃないかな。後半に攻めて崩して相手ががぶった時に、普段なら思い切りがぶり返しいくと思うんですけど、そこでちょっと躊躇っちゃったんだよね。本人も『どっちにいくか迷った』って言ってたから。勝ったら…っていうのは結果だから、やっぱりそこに目がいっちゃうと駄目なんだよね。(チームとしては)毎年コンスタントに全日本の出場者が出ているっていうのはチームとして良いことだと思います。ただ、やっぱり出ているのはいっつも重量級なんだよね。重量級の先輩が強いから下が育つっていうのもあると思うし、競技としても軽量級の方が層が厚いっていうのもあると思うけど。みんながこの舞台を目指してほしいし、モチベーションを持ってやるからこそ練習の内容も変わってくると思うので、今回出ていない選手も見るだけの大会にするんじゃなくて目標とする大会にしてほしい。今週には新人戦とオープン戦も控えているのでね。(明日は永井)グレコだし割り切って思い切ってやってほしいですね」

奥田
「(二度対戦してともに勝っている相手に敗戦、敗因は)過去2回とスタイルがちょっと変わっていて、前はもっと胸を合わせて近づいて来ていたのに、こっちの投げを警戒して離れられたのでやりづらかったです。(攻勢に出ることができなかったようだったが)自分は向こうが攻めにきたところを返すっていうスタイルなんですけど、今回は向こうが引いてきたのであまりいいところが出せなかったです。(課題は)自分から前に行くってことが足りていないのでフィジカル面をもっと強化しなければいけないなと思いました。(収穫は)体が小さいところや、体力面とか悪いところを見つけられたかなと思います。(意気込みは)まずは目先のオープン戦に向けて修正するのと、インカレ、全グレと大きな大会が続くのでそれに照準を合わせて頑張りたいです」

二ノ宮
「(今日の試合は)相手が同じ岐阜出身の組み手とか真似させてもらってる尊敬している人なんですけど、正直いつかは越えなきゃいけない壁だと思っていました。今回当たることになって、自分のスタイルがわかってる相手ってことでやり辛さはありました。そういうときに自分がもうひとつ踏み込める技がなくて、相手のいいようにやられていたと思います。手の内を知られているので自分が入りたい技に入れなくて、相手の上手さを感じる試合でした。(攻めにいったところを返されていたように見えたが)攻めにいったというよりは、相手の組み手の中で中途半端にいってしまいました。自分の形ができていなかった。そこはまだまだできてなかった部分かなと思ってます。(課題は)組んだ力の差っていうのはほとんどなくなってきているかなと思いますけどひとつ取りにいったときに相手をバテさせるとか、二つ三つっていう技の展開がまだまだ少ないので、相手の間合いではなく自分の間合いでできるような試合の組み立てが必要かなと思います。今後は自分が自分のコーチっていう気持ちで、少しずつできることは増えているので次の試合に向けて新しいこと試して、それが試合で通用すれば自信に繋がると思います。試合でできなかったことを自分を追い込んで、天皇杯では優勝争いに絡めるようにやりたいと思います。(今回の収穫は)今回は本当に何もさせてもらえなかった。スコア以上に相手の上手さを感じる試合でした。それも試合ならではの経験だと思うので、負けを生かせるようにやっていきたいです。(新人戦は)両スタイル優勝したいです。同世代には負けたくないので内容にもこだわっていきたいです」