
女子エペ 初出場王座で準優勝に終わる/全日本学生王座決定戦
決勝戦は、両校の差が浮き彫りとなった。第1セットから最終セットまで、一度も勝ち越すことはできず。最終セット前には9点差がついており「ここまできてしまうとやっぱり厳しい」(古俣)と、エースでもリードを詰められなかった。全体を通して見れば、待ちの姿勢を貫いた日大に対し、急いで仕掛けてしまい失点という展開が頻発。点差から生まれた焦りが、普段通りのプレーを妨げていた。
敗因は根本的なところにもある。試合を見ていたOBから指摘されたのは選手たちのフィジカル面の弱さ。試合の中で疲れがくると腰が上がり、動きが浮きがちになる。そこを狙われて落としたポイントが数多くあった。「フットワークのレベルをもっと上げる」(森本)と、今後につながる新たな課題となった。
それでも、結果は十分に快挙。女子の王座進出自体が明大史上初であり、さらに準優勝。「うれしいって気持ちはあります」(上田)。決勝進出を決めた中京大戦では、上田、森本が中心となってリードを広げた。来年度のリーグ戦でもこの2人は主要メンバーとして活躍が期待される。今回のリベンジとしても、次こそは栄冠をつかみ取ってみせる。
長い春はこれで一段落を迎える。次の目標は秋季の関カレ、さらにその先に待つインカレだ。昨年度2位の中京大を下したことで、インカレ初制覇の青写真はより一層鮮明になった。時間が取れる夏で「全員で基礎力の向上を図っていけたら」(上田)と、もう一度原点に立ち直った練習から始める。数カ月後、一皮も二皮もむけた新生チームに期待したい。
[三ツ橋和希]
試合後のコメント
長尾康司監督
「(準優勝という結果)負けて終わってるから、悔しがってました。(日大は)ライバルですね。我々はライバルと思ってて向こうは思ってないかもしれないけど(笑)。でも向こうのベンチも必死にこだわってやってたからそういう存在にはなれたのかな、と思いますけども。でも勝てなかったのが残念。負けて終わった悔しさが前面に出てますから、たのもしいと思いますね。(日大戦の敗因)全体的に若干向こうの執念というか、向こうは王座の常連さんですからここでは負けたくないという気持ちがあった。リーグ戦でうちに勝ってるので負けるわけにはいかないと思って戦ってたんだと思います。技術的なことでは向こうの方が際のスピードがあったかなと、それは練習で克服していくしかないと思います。(ターニングポイントは)山はいくつもあるんですけど、点差を若干広げられた森本と馬場選手のところですかね。馬場選手は2年生ですけどスピードとキレがあってエースですから、彼女とイーブンで帰ってくれば古俣に託そうと思ってたんですけど、向こうの方が結果的には上だったと。(中京大戦、明大の動きがよかった)中京大は関西の1位で、昨年のインカレで決勝まで行ってますから。メンバーもその時と変わってないですから、自分なりに相当警戒してたんですよ。対策を頭の中でも練ってたし。やってみるとこちらの方が動きが思いのほか良くて、向こうは逆に固かったのかもしれないですね。(強豪相手に厳しいという気持ちは)それは思ってても言わないようにしてましたし、油断せず自分たちのフェンシングをすれば勝てる相手だから自分たちのフェンシングをしようと。向こうは全部フレンチっていう小手周りを小刻みに突く剣なんです。それに付き合うと小手先の突っつき合いで向こうのペースになってしまうから、胸に向かって真っすぐ思い切っていこうと指示したんですけど、それによってシンプルに考えることができたと思います。(古俣選手の調子)彼女はインターハイ優勝して鳴り物入りで入った時から、他の1部の選手の古俣研究が進んでるんですよ。そこが点差になって出たかなと。思うように彼女は点差を伸ばせなかったですね。(上田選手の調子)本人も調子いいですと言ってましたから、体重も絞れて動きが軽くなって、剣も速くなってた。ですから1試合目なんかはすごいポイントゲッターになりましたね。2試合目は思うようにできなかったけど、悪い状態ではなかった。(日大戦、馬場選手を1点差でしのいだ)2点差でもいいから熱くならないで、スキを見せないでじっくり突いていこうと言ってたんですけど。入り方は良かったですね。(森本さんが馬場選手との試合でマイナスを負った場面)まだ彼女はエペを本格的に始めて1年弱で、向こうは中学校からやってる子なんでその辺はキャリアが出たかなと思いますね。色んな練習をして経験を積めば克服できる素材の選手だと思ってますから心配はしていません。左でスポーンと来る選手がうちにはいないタイプだし、他にもあまりいないタイプなので考えがまとまらないうちにに向こうのテンポで取られてしまったと思いますね。(相手校の対策は)どこが来てもとにかく自分たちのフェンシングをして、もし日大さんが上がってきたらリーグ戦のリベンジをしようと。まず一つ目勝ちたかったから中京大に対する、フレンチの剣に関してはしっかり。次はどっちが来ても自分たちのことをするだけだから、一つまず勝つことに集中してました。(日大との差は)客観的に見れば層の厚さですね。それと練習の密度というか。日大には専属のコーチがいて、その方たちが頻繁に学生さんの指導に当たっているということ。日大は専用道場もありますから、いつでも練習ができる環境にあると、総合的な面で若干うちより優れているのはあります。明大は基本的に平日は18時から22時かな、授業終わってから来るのでその日は実験があって練習来れない人もいるし。あとは選手層ですかね、絶対的に。うちの倍以上いますからね、エペだけで。(チームとしてどのように仕上がっているか)ここまで来れるというのはいい意味でよく頑張ってるなと思います。3人そろうかどうかってのがチーム力につながってくると思うので、森本の成長がものすごく大きいですね。3人はものすごくまとまってると思いますね。研究熱心ですし、練習もしっかりしてるし。練習相手がいない時は一人で他の大学にも行ってるし。女性特有の相手を思いやる優しさをみんな持ち合わせていますから、そこまで表向きの衝突はしてなくて。どちらかというと相談をしてて、それに乗ってあげるという感じですね。そういうやわらかな絆を彼女たちは持ってますね。(日大はこれからも壁に)学生は毎年メンバーが変わっていきますので、ここ一、二年日大日大と言ってますけど、他にも強いチームがいますし。ぼんやり射程距離には捉えますけど、明治魂を持ってピストに上がるという精神的な気持ちを持ってもらうということと、継続してやっていくことに尽きると思います。(インカレに対する意気込み)優勝です。強豪に勝っていかないと優勝はありませんけど、足下の試合を一つ一つきっちりとやっていくということとそのためにもう少し高度の練習をしていくということです。今回負けたので、負けないで今度は終わりたいという気持ちですね」
古俣
「(準優勝という結果について)目指してたところは優勝なので悔しい気持ちもありますけど、駄目な結果ではない。反省すべきところはありますけど、みんな頑張ってくれたし真っ当にうれしい気持ちもあります。日大は格上の相手でしたし、この試合でどうこうではなくて今までの積み重ねで違うなってところは見えてきたのでそこは本当に反省点です。でも今持ってる力としては出した上で届かなかったというところはある。(日大戦の敗因)最初に日大への苦手意識があって、私が筆頭なんですけど動きが固かった。それで狙いどころで取られてしまって。今回ミスのポイントがすごい多くて取り返そうと思ったんですけど向こうにきっちり待たれてしまって、それを崩せなかった。やってしまったところはないんですけど、表面的な敗因では私が目立ったプラスを取れなかったことが敗因だと思います。何で取れなかったって言ったら勝ちたい気持ちが先行して体が入ってしまったり、チャンスだと思ったらすぐに行ってしまったりとか、そういうところが少しずつ足りなかったんだなと。(登坂さんとの試合は狙いにいった)最初にずっとマイナスで続いてしまったので、一番取りやすいところで、私が取れって言ったんですよ。私と上田でそこで追いつかないと勝ち目はないよって。それで力ませてしまったのは申し訳なかった。最初の中京大戦では個々の力が勝っていて、一本ずつ積み上げていく形でいい流れがつくれたんですけどそういうわけではなくて、少しでも取れるところでポイントにしていかないと勝てない相手だったので、登坂さん戦で取らなくちゃいけないって思ったのは間違いではないと思ってます。それで取れなかったってのが敗因。(最終セットは大差が付いて回ってきた)追い付きたかったんですけど、もちろん9点返すつもりではいましたけど相手も力のある選手でここまで来てしまうとやっぱり厳しいなと思った。なのでとにかく動いて、1点でも取られたら駄目ですから取れるところだけいかなきゃと思って。上に9点があると思うと気持ちはくじけてしまうので目の前の1点を返すことだけに集中してやってましたね。(本日の調子は)あまり良くなかったですね。やっぱり緊張してたのか私だけ固いって言われましたし、待ってるところを崩せなかったし。(王座のために行った対策)私もことさらに変わったことはそんなに。今ナショナルチームの方で練習させてもらってて、そこは左利きの選手も多いですし、日大の馬場だとか登坂も練習に来てるのでそこで対策を見つけたりだとか。後は日大はある程度分かっていたので、私が気にしていたのは中京大。そこを勝たなければどうしようもないわけですから。なので手を伸ばしてきた相手に残す練習とか、私シクストで捉えて、引いてもう一回突くってのが得意なんですけど引いてる時にいつもやられているので、引かずにそのまま入れるとかそういうのをすごく練習してました。(ヤマ場は中京大戦か)王座が決まった時にさあ今度こそ日大だってのがあったんですよ。ただ中京大を見た時に、飛び抜けて強い選手はいないんですけど戦い方はしっかりしてますし、すごく嫌なんですよ関西の選手って、やり方が。なのであまり日大にばかり意識をしていると足元をすくわれるなと思って。結果論ですけどもう少し日大戦に比重を置いたら良かったのかなと思いますけど、中京大戦にも警戒心を持って当たったことでちゃんと勝てたのかなとも思うので、難しいですね。(インカレでも今回戦った大学と争うが、どのような点をさらに詰めていきたいか)日大は技術的にはそんなに大差ないと思うんです。飛び抜けて強い人はいませんし。ただ何が違うかっていうとフィジカルだったりとか。日大は最後の最後までやってることが徹底してて、だから私も崩せなくて。出てこい出てこいってフェイント掛けてるんですけど向こうが構えたまま出てこない。それで無理していかなくちゃいけなくなってそこをやられてしまうのがすごく多かった。疲れてくると腰が上がってフワッと動いちゃうようになるんですよね、飛んだり跳ねたり。跳ねた瞬間に飛んでこられると対処できないので、しっかりフットワークを最後までやり切る。相手の速いカウンターに対応できる速さとか、そういう細々したフィジカル面と試合中の集中力とか基本の面だと思いますね。あとは中京大は今回勝ったことで安心せずにみんなが自分の役割を果たしたことでああいう結果になったと思うので、この前勝ったからといかないように気をつけていきます。(フィジカル面ではどのような練習を積んでいきますか)フットワークですね。明大は日大と比べて人数少なくて回転率が良いので、ファイティングの練習は十分なんですよね。ただやっぱりフェンシングの動き方、ディスタンスマッチだったりとかフットワーク、後はポイントレッスン。ポイントレッスンも人にやるんじゃなくてターゲット用意して壁打ちですとか、極限状態でいつもと同じ動きができるような練習をしないといけない感じです。(チームとしてではなく個人戦という感じ)そうですね。結局フェンシングは個人戦なので。ただ今回中京大戦でよく言ったのは1点、2点取られて自分で取り返しにいかない。それはもうチームなので。試合は3分あるから焦らずにいけばチャンスはあるよって言って、それは功を奏したかなと思います」
上田
「(準優勝という順位)決勝にいくってのが私の第一目標だったので、優勝したかったですけど準優勝でも結果的にはうれしいって気持ちはあります。でも内容を考えると自分的には日大と差があったと思うので、手放しで喜べるわけではないですね。(日大戦の敗因)序盤に全員がちょっとずつマイナスして。それを最後になって取りにいかなきゃいけないってなった時に向こうの3番手の登坂さんで、取りにいく気持ちが空回りしてしまって。完全に相手が待ってればいい状況だったので、そこにハマっちゃったところが、大きなミスがなかっただけにそこが自分的にはミスかなと思っています。作戦的に失敗というかうまく明大のペースに持っていけなかったので、どこが大きく悪かったと言われればそこって感じです。(調子は)調子はすごく良くて、いつも足が止まってしまいがちなんですけど今日は足は動いてて。ただその中京大のスタイルと日大はガラッと変わってるので。中京大では足を止めるってことができたんですけど、日大には調子は悪くないんですけど普通に地力というか基礎力の部分で負けたなって思います。(中京大戦では小手周りを突かれないようにした)向こうが長い剣を使っていて、小手周りの勝負は強いのでそこだけにフォーカスして行ってしまうと簡単にあしらわれる。ということで小手は取れたらくらい。リカバリーで取るぐらいはしましたけど基本的に相手の足を止めて出させたところをしっかり取り切るっていうスタイルでいこうと決めてました。(日大戦の対策は)直近ではリーグ戦で私が最初に出て馬場さんに1ー5で負けているので、そこは各自でどこが悪かったというのを練習でやっていました。足が使えてなかったのでリーグ戦は取られちゃったんですけど、今回は足を使おうと思って。個人的にミスを少なくすることが結果的に日大の対策になると思って、各自で多分ミスを減らすことは意識してたんじゃないかなと思います。少なくとも私はそのミスを減らそうと思って練習はしてました。リーグ戦は相手のペースで取られてしまって、1点取ったのも行ってしまえくらいな感じで1点取っただけなので、それに比べたら今回相手見て足使って、距離出入りして取れてたのでそこの試合は自分のペースで持っていけたかな。途中ミスで取られたのもったいなかったですけど、リーグ戦からは成長したかなと思います。(王座のために行った練習)練習の面では私は基礎に帰って。リーグ戦の後に個人戦が一回あったんですけどそこで自分のミスで負けてしまったので、ミスを減らすために発展的な練習よりも基礎に重点を置いてポイントを入れるだけの練習にシフトして集中的にやってました。チームの方針としては今まで自由に取れるところで取ろうって感じで結構あいまいだったんですけど、今は各自がプラス1にしていくって方針で。そこを固めたので、相手をよく見ることができるようになった。点取りたいって漠然に思うよりも、うまく個人戦をチームのプラスにつなげることはできたのかなと思います。明大は部内で団体できるほど人がいないので、団体の練習はほとんどしてなくて。でも私はメンバーみんな個人戦で普段やってることをやれれば多分団体戦でも点は取れると思っているので、いかに自分のパフォーマンスをできるかにたどり着いたというか。(日大との決定的な差)明大は技術面では劣ってないと自分では思ってて、でも基礎のフットワークとか筋力だったりフィジカル面が日大は徹底している。練習時間も明大の方が圧倒的に少ないと思うので、もう少し練習の質を上げていきたい。特にフットワークですね。あまり重くしちゃうと動けなくなるんですけど、安定して3分間動けるフットワークは付けた方がいいなと痛感しました。(コーチの存在も)現役ですごく活躍していて今でも海外遠征とか行かれてる私の先輩がコーチをやっていて。自分がやれることをかなり徹底してポイント精度が高いってのが私の日大に対するイメージです。やはりコーチがいない分自分たちで考えなきゃいけないので、練習に対してもう少し貪欲になっていきたい。そうすれば今ある基礎力の差も埋まっていくんではないかと思います。(これからの意気込み)ここで日本一を逃した分インカレで取りたいので、まず関カレでしっかり関東の大学に勝つ。日大とも山が違うので多分決勝で当たるんですけど、そこまで勝ち進んでいって関カレでは今回みたいなマイナス続いて負けた、みたいな展開にならないように。まだ時間あるので、全員でちょっと基礎力の向上を図っていけたらなと思います」
森本
「(準優勝)喜びより悔しい方が大きいです。ずっと日大には負けてきているので、前回は本当に少しの点差だったので、今回こそは勝ちたいなと思っていました。しかし、点差があって負けてしまったので、悔しいです。(中京大対策)あまりどんなことをしてくるのか分かっていなかったのですが、しっかり自分から仕掛けて強気でいけたかなというのはありました。(日大戦)思ったよりも遠い距離から相手の選手がアタックしてくるので、分かっていても捉えたり、処理できませんでした。そこをもっと対策していかないとなと思いました。(キャリアの差)やはり向こうの方がトップにいる選手なので、個人の力としては負けているというのは分かっています。しかし、なんとか食らいついていきたいなという気持ちは常にあります。高校の時とかは少ししかエペをしなかったのですが、ちゃんと大学に入ってエペの動きができるようになってきたかなというのはあります。(個人の調子)試合前の練習や中京大戦の時は結構強気でいけて、自分から仕掛けていったりとかができ、調子も悪くなかったかなと思いました。しかし、日大戦の時はどうしても守り守りという風になってしまって、自分から仕掛けて最後まで攻めきるというのはまだ出来ないなと思いました。後手に回ってしまったという感じでした。(個人の練習)日大は左の選手が2人いて、明治には左がいないのでレッスンの時に同期や先輩の方に左に持ってもらって、練習しましたがもっと練習しておけばよかったなと思いました。(日大との差)OBの方とかにも言われたのですが、腰が浮いた時に点を取られてると聞きました。自分も相手に攻められた時などに腰が浮いて下がったりなどしているので、低い体勢でもっと戦い続けられるようになりたいです。(チームの絆)本当に先輩が優しくて、自分は一番年下で3番手なのですが、ノビノビというか、気持ちが焦らずリラックスして試合をさせてもらってるなというのはすごく感じています。(日大との練習の差)日大がどういう練習しているのかあまり分かりませんが、左がいなかったりや、フレンチ剣の人とあまり出来ないというのは足りない所かなと思います。しかし、先輩もすごいレベルの高い先輩なので、不満は全くないです。もっと考えて練習出来たらいいなと思います。(夏へ向けて)フットワークをもっと固めるというか、大事な所で崩れてしまうというのがあるので、もっとフットワークのレベルを上げるというのと、もっと自分から強気で攻めきれるようになっていきたいです。(来年はチームを引っ張る)今はどっちかと言うと守って点を取っている感じがあるので、大事な所でもっと自分から攻めていって点を自分で取っていける選手になっていきたいです。(インカレの目標)個人戦はベスト8以上で、団体戦は優勝したいです。そのためにフットワークはじめ、練習を積んでいきたいです」
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