ルーキー特集(1)迫力あるジャンプで魅了する 大矢里佳

 再起を懸け今シーズンに挑む。大矢里佳(商1=中京大中京)は史上初のインターハイ団体7連覇を達成したメンバーの一人という実力者。だが昨季は思うような結果が残せず、新たな環境を求め明大に入学した。今季は大矢の代名詞である力強いジャンプだけでなく、他のスケーティングにも力を入れるなど準備は十分。大学デビュー戦から表彰台を狙い、2年ぶりとなる全日本選手権出場へ弾みを付ける。(この取材は5月17日に行われたものです)

――フィギュアスケートを始めたきっかけは何だったのでしょうか
「小学校2年生くらいの時にちょうどテレビで真央ちゃん(浅田真央選手)が活躍し始めたのを見ていました。フィギュアブームだったので家族でスケートを見に行ってみようとなり、スケート場に遊びに行ったのがきっかけです。それで楽しいなと思っていたら、母が『やってみる?』と言ってくれたので始めました」

――中京大という選択肢もある中で明大に入学されました
「他のスポーツでも先輩方が活躍されているのを見て、私もその中で頑張りたいと思ったからです」

――高校2年次では全日本選手権にも出場されて華々しい競技成績のように思えますが
「全日本はフリーまで進めなくて悔しい思いをしました。インターハイも団体優勝はしたんですけど、個人的には全然納得いく結果ではなくて、他の二人の力があったから優勝できたので自分的には納得いく結果は残してないです」

――でも一人暮らしは大変ではないのでしょうか
「朝も夜も練習があって、その間に大学なので遊ぶ暇もなくて、帰ったら疲れて寝ちゃうみたいな生活です。でも最初に来た時よりは慣れてきましたし、一人で洗濯できるようになりました(笑)。疲れてしまって現在は外食ですが、生活リズムに慣れてきたら、体のためにも自炊していきたいです」

――大学との両立も大変そうですが
「私のリンク(東伏見ダイドードリンコ)は練習が朝と夜ありますので、毎日リンクと大学の往復での生活です。学校が終わってからそのままスケートリンクに行きます。夜は18時過ぎくらいから練習で、1時間もしないくらいで終わります。でも毎朝4時に起きていますが、それでも学校はほぼ行くようにはしてます。高校までは毎朝7時起きだったので辛いのですが、スケートができて楽しいです」

――今までで一番印象的だった試合は何でしょうか
「全日本です。全日本の会場に靴履いて出た時の雰囲気が今までとは違った張り詰めた感じというか、何だろう…もうその感覚はずっと覚えてます。緊張しすぎて泣きそうでした。今度はその雰囲気を楽しめるぐらいたくさん練習して、自信を持って臨みたい試合です」

――今までで悔しさが残る試合は何でしょうか
「高校3年生のインターハイで連覇できなかったことですかね。自分も全然貢献できなくて、失敗してしまったので、また力を出せなかったことは一番悔いが残っています」

――ケガは多くされてきた方なのでしょうか
「ケガは結構多い方です。小さいケガはちょこちょこしていました。大きいケガは高1の冬に練習中に剥離骨折をし、7カ月休みました。高3のときには、9月のブロック大会前に右ひざ打撲で1カ月休みました」

――ケガを多くする中でフィギュアと距離を置きたいとかは思わないのですか
「ケガをするとスケートができるありがたさを改めて実感します。悔しくなって、絶対治ったら頑張ろうと思うからケガで辞めたいなとは思ったことはないです。でも練習でうまくいかなかったときにもう嫌だなとは思ったことはあります」

――高校時代の同級生の方とは仲が良さそうでした
「クラス全員仲が良かったです。一緒にいると周りも頑張っているから自分も頑張らなきゃという気持ちが芽生えて本当に良いライバルでした。その中でも松田悠良ちゃん(中京大)と谷口美菜ちゃん(中京大)のスケート仲間二人は、スケートの練習も一緒で、オフの時は遊んだりと、とても仲が良かったです。たまに夜とか電話したりして、こっちではどうだとかいろいろと報告してます(笑)」

――明大の選手とは親交を深められていますか
「すごく仲良くなりました!さっきは亜海ちゃん(土橋亜海・政経1=北海)とご飯を食べて、明日は千夏ちゃん(森千夏・営1=愛知みずほ大瑞穂)とご飯を食べに行きます。三人とも仲良くやっています。森千夏ちゃんは違うリンクなので三人で休日どこかに行くのは厳しいんですけど、学校にいるときは三人で会ったりします」

――恩師の方はいらっしゃいますか
「東京に来てからは中田誠人先生です。小さい頃からずっと須山愛子先生に師事していました。今は基礎からジャンプを指導していただいています。くせがあり、悩んでいたので感謝しています。初めて男の先生になって、ジャンプの教え方だったりとかが全然違って新鮮です。たとえば『鉛筆を立てた感じで上にシュッと伸びる』みたいに物に例えてくれて、結構イメージするとジャンプが跳びやすいので、とても合っています」

――尊敬する選手はいらっしゃいますか
「カロリーナ・コストナー選手とアシュリー・ワグナー選手ですね。カロリーナ・コストナー選手は伸びるスケーティングが素晴らしいなと思っていて小さい頃からずっと好きでした。アシュリー・ワグナー選手はダイナミックなジャンプが好きです。でも二人とも回転が逆なんです(笑)」

――ご自身が得意とされているものは何ですか
「最近ちょっと自信はなくなってきたんですけど、ジャンプが自分の中では一番です。でも、トーループが苦手で付けられません。なのでこれから先生に教えてもらいながら練習していきたいです」

――いま重点的にやってることは何ですか
「今までジャンプジャンプだったので、他のスケーティングがあまり付いてきていませんでした。今の先生はスケーティングを教えてくれるので、曲の中での滑りに力を入れて練習してます」

――今シーズンはどのようなプログラムですか
「ショートプログラム(SP)は『エデンの東』、FSはまだ作ってないですけど曲はラフマニノフのピアノ協奏曲です。曲がゆっくりでスケーティングが目立つので、曲の中での滑りを頑張ってやっています」

――今までの中で思い入れ深いプログラムを教えてください
「『魔法にかけられて』ですかね。小学校5年生から中学校2年生までの成長していた時期にたくさん使って、それで結果が残せた時期だったのですごく思い出に残っています」

――今までの中で好きな衣装は何ですか
「みんな好きなんですけど、特に好きなのは中学生くらいの時に着たエキシビションの衣装ですね。小さい時にヒラヒラのかわいい衣装に憧れてスケートをやりたいきっかけの一つになったので、着れてうれしかったのを覚えています。真っ白で後ろに大きなリボンが付いていて、スカートもフワフワで好きでした。試合の衣装だとシェヘラザードの赤の衣装です」

――今シーズン初の大会まで1カ月を切りました
「一つ一つの毎日の練習を絶対に無駄にしないようにということは意識してやっています。去年のブロックは自分の中ですごく良かったのですが、その後ケガもあって休んだり練習したりを繰り返して西日本を迎えて悔しい結果になってしまったので、絶対に全日本に出たいなという思いはあります」

――これからの目標をお聞かせください
「全日本選手権に出場することです。もちろんFSに進みたいです」

――ありがとうございました

◆大矢里佳 おおやりか 中京大中京高出 155cm

[浜崎結衣]

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