国内最高峰の大会に5人が出場 それぞれが健闘を見せる/全日本選手権

 高い規定記録を突破した、国内トップ選手のみが出場を許される全日本選手権。明大からは後藤将(政経4=県立川口)、中野景介主将(営4=須磨友が丘)、松本康貴(政経4=常翔学園)、上野祐脩(政経4=東京学園)そして地元開催ということで出場した中島要(営3=栃木翔南)の計5人が出場した。先月の個人インカレから約1カ月と、十分な調整期間を確保できない中だったが、各選手が健闘を見せた。また、大会自体は女子90kg級で日本記録が更新されるなど、レベルの高い大会となった。

◆5・26~28 第77回全日本選手権(栃木県南体育館)
▼56kg級
 後藤 記録なし
▼62kg級
 7位 中野
▼94kg級
 松本 記録なし
▼105kg級
 11位 中島
▼+105kg級
 7位 上野

[56㌔級]
 「最初で最後」と意気込んだ全日本選手権、不調ながらも最低限の収穫は得た。56㌔級に出場した後藤は、スナッチは94㌔と95㌔に挑戦するも3本失敗。しかし、腰の痛みから練習量が減っていた中でもジャークでは今大会3位となる試合ベストタイ記録の130㌔を成功させた。4月末の個人インカレでは挙げられなかった重量を成功させたことで自信を取り戻した。トップレベルの社会人選手に囲まれての試技だったが「緊張はしなかったです」と終始リラックスして臨んだ。
7月上旬に東日本インカレを控え、体重をキープしつつケガと向き合わなければならない。順位こそつかなかったが、今大会に出場したことで現状を把握することができた。「今後に向けて対策ができる」と前向きに捉える。ベストコンディションで東インカレを迎えたい。

[62㌔級]
 62㌔級に出場した中野はスナッチ111㌔、ジャーク133㌔、トータル244㌔で7位。今大会は「周りのレベルの高い人を見つつ、自分は順位を気にせず成功率を意識」(中野)することがテーマだった。ここ数試合を振り返ると、成功本数が6本中2~3本と成功率に課題があった中野だが今大会は5本成功。東インカレに向けての収穫となった。
 同階級に出場していたリオデジャネイロ(リオ)五輪4位の糸数陽一氏(警視庁)に刺激も受けた。試合前のウォーミングアップの動き、試技の時間が空いても成功させる集中力。一流の選手と同じ舞台で戦ったことで「社会人の方から学ぶことは多かった」(中野)。最高峰のプレーヤーの姿から学び、成長の糧としていく。

[94㌔級]
 ユニバ出場の夢が消えた。94㌔級に出場した松本は、明大新記録のスナッチ145㌔に成功するも、ジャークは3本失敗し記録なしに終わった。ユニバーシアードに出場するためには最低条件となっていたスナッチ150㌔に2、3本目で挑戦したが失敗。ユニバーシアードの規定記録に到達している学生は日本では現在4人のみ。日本に6枠あるうちの残り2枠に食い込めば、規定記録を持たずとも出場できる可能性があった。今回松本はその枠を目指していたが無念の結果に終わった。
 周囲の期待が重圧になる。「周りから『松本なら大丈夫だろ』って思われている分、プレッシャーに感じる」(松本)。大学入学後は右肩上がりに記録を伸ばしてきた松本。今大会でもスナッチは2位入りを果たし、自身が持つ明大記録を2㌔更新するなど実力はトップクラスのはず。しかし、膝のケガや就活の疲れもあり、下級生次のようにのびのびと練習することができなくなった。4月の個人インカレも思うような成績を残せなかった。「ユニバは出場できたら夢ってくらいだった。これが現実」。大学4年目にして初めて迎えた伸び悩む時期。ここを踏ん張ることができれば、必ず結果がついてくる。

[105㌔級]
 ホームで力を発揮し切れなかった。「自己ベスト記録を出す」ことを目標に今大会に臨んだ中島。地元・栃木での晴れ舞台に「いつもとは違う応援の声が聞こえた」。応援に駆け付けた先輩や後輩に成長した姿を見せたいところだったが「調整不足が響いた」とスナッチ126㌔、ジャーク150㌔と振るわず。ジャークで自己ベスト記録を更新し、好調さを見せた先月の個人インカレから一転。1カ月という短い期間で調整し切れず、悔しい結果となった。それでも「良い経験ができた」と前向きに結果を受け止めた。7月に控える東日本インカレに向けて「少しでも記録を伸ばして」メンバー入りを目指す。

[+105㌔級]
 さらなる進化を予感させた。初の全日本選手権に臨んだ上野はスナッチ140㌔、ジャーク181㌔と、先月の個人インカレの記録をトータル6㌔下回る記録に終わった。また階級順位は7位、大学生内では8人中5位。インカレで3位以上を目指す上野にとっては悔しさの残る結果となった。不調の原因は大幅な体重増加。先月の個人インカレから約1カ月で7㌔体重を増加させたことで、手のむくみなどもあり「うまく体が対応しなかった」。しかし、確実にパワーはつき、調整さえうまくいけば記録更新には「自信がある」。上野が以前から重視している団体戦の幕開けを前に、大幅な記録更新を期待させた。今シーズンに入りなかなか満足のいく記録を実践で残せていない上野。7月の東日本インカレでは記録、順位とも今度こそ結果を残してみせる。

 昨年よりも3人多い5人が出場し、チーム全体の底上げを感じさせた今大会。個人としては全員が満足のいく結果を残せたわけではないが、チームとしての状態は決して悪くない。
 そして7月に控えるのは東日本インカレ。5年ぶりの入場を果たした昨年に引き続き、さらなる躍進を狙う。団体戦に向け、チーム一丸となって成長を目指す。

[星川裕也・高野夕]