
(23)三股久典 小柄なラガーマン 再び紫紺「9」を獲りに行く
――今年のチームはいかがですか
チーム的にはマインドセットの部分で、練習に対する態度とか一人一人の意識とか去年に比べてだいぶ変わったと思います。春はシンプルに走って体づくりしてフィットネスを上げるというだけで、ラグビー的なことは4月から取り入れました。体重は昨年の68㎏から70㎏に増えました。1㎏増えるだけで走れなくなったりしますが、走れないなとは思いません。1週間に2、3回フィットネスしているのですが、みんな「だるい、きつい」ではなく「しっかり走れるようになろう」というマインドがあるので、日に日にみんな走れるようになってきています。
――A戦・立大戦(○62―19)を振り返っていかがですか
立大戦とか関係なく、今週のチーム目標はワンバレットワンキルと、リアクションスピードというところでした。練習から意識してやっていましたが、試合ではルーズなところがあったので、一人一人の意識を修正しなければいけないなと思います。
――先日の東海大戦(35―38○)では久しぶりにAチームで出場しました
戦術的やディフェンスなどのシステムはAとB、Cチームは変わりませんが、コミュニケーションの部分で全然違うなと感じました。一人一人がしっかりコミュニケーションを取って、きつい中でも走る、きつい中でもしゃべるというのを意識すればもっと下のチームのレベルも上がると思います。
――1年次の春はただ一人スタメンデビューを果たしました
1年のときは迷わず積極的に仕掛けて、強気にプレーすることを常に意識していました。でも今は積極的なプレーがなくなってきてしまって、周りも生かせていないです。ゲームのオーガナイズもあまりできていないので、ゲームに慣れていかないとっていう感じです。
基本的に80分間走るフィットネスと、パスの精度が悪かったしハーフとしての仕事ができていなかったです。今年、澄憲(田中)さんがヘッドコーチになってから「マインドセット」とおっしゃるのですが、それができていませんでした。
――B、Cチームでプレーしていたときの心境を教えてください
とにかくアピールして、上のチームに上がって紫紺を着たいなと思っていました。どうして上にいけないのかなって悩んだりして色々な人に相談に乗ってもらっていました。僕はずっとうまいプレーをして目立とう、評価をもらわなきゃいけないって焦っていました。ずっと紫紺を着たかったし、BとかCでずっとプレーしていても、いいプレーをしてAチームに上がりたいって思っていました。僕はそんなうまい選手じゃないし、ひたむきにチームのしようとしていることをするしかないんです。うまいことをしようとして空回りしていることもあったので、答えをもらったときにやっと気づきました。
――その答えというのは
高校のときの恩師から「お前はうまくないんだからいいプレーをしようとか思わないで、とにかく思いっきりやってチームがやろうとしていることを遂行するだけだ」って言われました。「なんで上のチームに上がれないんだろう」ってずっと思って答えがわからないままやっていたときに、たまたま昨年の夏くらいに向こうから連絡をくれました。やっと答えが見つかったなというか、全部当てはまってるなって思って自分の中で納得できました。そこから意識的に変わりました。
――どの部分を意識的に変えていきましたか
毎回監督コーチからも言われていたんですけど、試合終わって自分のプレーをビデオで見て分析するようにしました。あとは、チーム練習していても結局みんなと同じになってしまうので、練習終わったあとにパスの日はパス、キックの日はキックとか1日10分でもいいので計画的に決めて基本的なことから自主練するようにしました。
――Aチーム定着に足りてないと思う部分はありますか
ゲームマネジメントです。ゲームしていくうちに流れをコントロールすることを身につけないといけないなと思います。自分のゲームの運び方はまだ組織的じゃないというか、自分の思っていることをやってもチームにとっていい展開につながっていないので、色々なゲームのスクラムハーフの選手を見て勉強しています。テンポの作り方もまだ下手なので、しっかりしないといけないなと思います。
――その中で目指すスクラムハーフ像は
自分的にはまだフィットネスが足りていないので、しっかりフィットネスつけて80分間走れるようにしたいです。あとはチャンスのときにしっかりスピードチェンジできたり、みんながきついときにオーガナイズしたり声をかけてあげられるような選手になりたいなと思います。
――ラストイヤーに懸ける思いを教えてください
日本一になるのが夢です。いつでも紫紺着るのは狙ってます。今のチームの雰囲気だと日本一になれるので、自分も紫紺を着て出場したいです。
――ありがとうございました
◆三股久典(みまた・ひさのり) 政経4 佐賀工高出 166cm・70kg
ポジションはスクラムハーフ。高校3年次には主将としてチームをけん引し、花園出場を果たした。小柄ながらも正確なパスやキック、冷静な判断力で相手のギャップをついたゲインを見せ存在感を発揮する。
[木村優美]
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