慶大に4―3で開幕白星発進!/関東大学2部リーグ戦

2017.05.14
 好スタートを切った。リーグ開幕戦の相手は、毎年互角の争いを繰り広げるライバルの慶大。工藤洸弥(文3=弘前工)ら軽量級が勢いをつけ3連勝し、最後は今年度主将を務める米澤直人(文4=奈良朱雀)が勝負を決めた。またルーキーの松田拳栄(商1=日大山形高)がリングに上がり、惜しくもTKOとなってしまったが今後の成長に目が離せない。

 最後は主将が決めた。3戦勝利し、残すはあと1勝で回ってきたウェルター級。「俺が決めてやるという気持ちはあった」(米澤)。第1R(ラウンド)の開始30秒、相手がサウスポーであり互いのリードを差し合った瞬間「今日はいけるなと確信できた」(米澤)。相手は態勢を崩し、その後2R2分35秒、2分44秒も立て続けに相手を追い込み米澤の勢いが止まることはなかった。

 軽量級が上昇気流をつくった。開幕戦一発目を飾るのはライトフライ級・工藤。2R40秒に「自分がやりたい動きを冷静に考えながらできた」(工藤)と相手に一気に攻めかかった。減量により足がうまく運べなかったものの、その中で日頃練習している動きを思い出しながら臨んだことで結果につながった。
 

 また、フライ級・笹谷建公(文2=弘前工)は苦しい時間帯に気持ちで見せた。ラストスパートの3R2分30秒。「ここで攻めなきゃ見栄えが悪いし相手に点数を持っていかれるなと思った」(笹谷)と最後の力を振り絞り、相手の谷澤(慶大)のJr.フライ級9位という経歴に怯むことなくスキを突いた。「下の階級で勢いをつける」(工藤)とまずは軽量級の強さが着火剤となっていきたい。

 新体制が始動した。米澤を中心に決まったスローガンは「本気になれ」。また、新たな取り組みとして「文字で見えるようにしないと意味がない」(米澤)と、練習に来たらまずその日の目標を全員がホワイトボードに書くようになった。「去年だと『おお、疲れたね』と言うと『はい』と言っていたのが『大丈夫です』に変わった」(星野隆監督)とメンタルの強さが見られ早速変化は表れている。他大学より人数が少ないからこそ「全員が一人一人どこのチームよりも自覚を持っている選手になる」(米澤)。少数精鋭を武器に戦っていく。

 今回の勝利はあくまで通過点だ。見据える先は「2部で優勝して昇格」(米澤)。次回の相手は今季3部から昇格した立大。昇格しているだけあり勢い溢れている。「自分たちの方が順位は上だが気は抜けない」(米澤)。開幕の流れそのままに5戦必勝し昨年を超える。
 
[臼井美理亜]
 
試合後のコメント
星野監督

「チームワークが勝因かなと思います。勝つべき人が勝ってくれたということです。惜しかったのは、ライト級の永山ですね。ある意味、勝たせてあげたかったというか。あと1年の松田ですね。相手が4年生だったのですがあの4年生というのは慶応ではずっと出ていて。最後のリーグ戦ということで慶応は去年より今回は4年生が多めな気がしました。うちは4年生が3人しかいない中で2人勝ってくれて、これはやっぱりうちの勝利でしたね。永山は一般入学で入ってきていて、それで3年しっかりやってきて戦えるようになっているので、勝てると思ったのですが。今日の初戦はみんな少し硬い感じでしたけど、今日勝ったことによって27日の立教戦に向けても少し波に乗ってきたと思います。今年の新チームといったら、今回はみんなよく走っていました。練習が終わってからも走っていましたね。去年だと『おお、疲れたね』と言うと『はい』と言っていたのが『大丈夫です』に変わって。その辺が良かったのかもしれません。今年の目標は去年よりも上を目指すというのがあります。去年は3位で、その前の年は5位で。僕が就いてからその次の年は準優勝で、それから3位、4位、5位まで下がって、また3位に上がって、なので今年はもっと上を目指したいと思っています。1年の松田は非常に真面目で、まず練習は休まないし、下宿先でも自分で走っているみたいで。あのクラスというのは重いクラスですから、一発一発のパンチをしっかりしないといけない。今年の2月から明治の練習に参加して合宿にも参加して、まだどうしても4カ月で慣れるわけないのだけど、そういう意味で言えばこれからが楽しみです。立教戦は今日と同じ展開になると思います。軽量級はうちが強くて、重い級になるとまたこんなふうになると思います。でも、僕はいつも思っているのですが、負けて強くなれ、勝って強くなれ、という感じです」

米澤主将
「1勝取れたので素直にほっとしています。自分たちの目標は2部で優勝して昇格なので、今日の全体のミーティングでも言ったのですがあくまで通過点です。個人でしっかり目標を設定し、3週間前から対戦相手を何選手か予想をしてビデオをしっかり見て、それをアウトプットするというのをしていました。自分は主将なので、絶対に勝って、自分のところで回ってきたら勝って終わらすというのが目標でした。今日のが目標というより5戦5勝するために練習に取り組んでいました。(残り1勝という状況で回ってきましたが)普通は主将だからというプレッシャーがあると思いますが、今回の相手が小山(慶大)という知っている選手で余裕を持ってやれました。あと俺が決めてやるという気持ちはありました。ミドル級の1年生の松田が緊張していたので「俺が決めてやるから」と言ってありました。勝負の決め手は1R目の最初の30秒ですかね。サウスポーとオーソドックスで手が触り合うのでリードの差し合った感じで今日はいけるなと確信できました。本当に1R目の最初の30秒ですね。チームとしての課題は、やはりもう一回気持ちをつくり直さないといけないかなと思います。勝ったので喜んではいるのですが、あくまでも通過点なので次の目標をしっかり見つけてまた1からやりたいと思います。チームの雰囲気は4年間いた中で一番良いのではないかなと思います。厳しさもあり、みんなで励ましながらやって良い雰囲気です。スローガンは「本気になれ」です。練習も勉強もいつでも本気でやろうと。リングのそばに目の見えるところに貼って手を抜かないようにしています。あと個人の目標を部室に貼ってあるのですが、チームの目標は「優勝」です。2月から新体制が始まり、その前に自分を中心に4年生でどういうチームにしたいか話して、本気で取り組もうぜとなって、1日の練習後にミーティングした時に今年はこういうスローガンにすると発表しました。(主将として考えるチームの方向性は)うちの強みにつながると思うのですが、少人数なので自覚を持とうと。これも話し合って決めたことなのですが、全員が一人一人どこのチームよりも自覚を持っている選手でいようと。主将として気をつけていることは、やはり誰よりも手を抜かないということです。自分がメニューを決めていて、そこで手を抜いていたら自分がもし下級生だったら付いていきたいとは思わないので、自分で決めたメニューを常に先頭で頑張るようにしています。去年と変えたこととしては月目標と毎日の目標を決めているのですが、練習が終わったらその日の目標は消して、次の日の練習に来たら全員がホワイトボードに書いています。頭で描くことも良いと思いますが、文字で見えるようにしないと意味がないと思うし書くことで確かめられるので。目標を紙に習字して、スローガンも習字にしてやっています。(次戦に向けて)立教は3部から上がってきたということで、今日も見ていて勢いのあるチームだと思いました。自分たちの方が順位は上ですが気を抜けないです。目指しているのは優勝なので次も通過点ではありますが、2連勝できるよう精進していきます」

工藤
「本当は前に出るボクシングをしようと練習してきたのですが、減量もあってあまり足がうまく動きませんでした。それに対応して相手パンチを避けてから打つということを意識して、試合ではなんとかできました。減量は結構落とす量が多く、体脂肪を削ったり、あまりやりたくないですが水分を落としたりしてあとはコンディション管理をしっかりやっていました。僕は1カ月半くらいで落としました。この開幕戦の2週間前に地元の県の予選で体重を落とす機会があったので、そこで一回やっていたので調整はできました。今回はいつもより緊張していて1R目は力が入ってしまい、その中でもいつも練習している時の動きを思い出したりしました。あとはインターバル中に周りの声がよく聞こえたのでそこが良かったかなと思いました。1R目は取られている印象はなかったのですが、2R目は特に自分がやりたい動きを冷静に考えながらできました。元々先に攻めるというのを意識していて、今回はできていなかったので、次までに調整していきたいです。(次に向けての意気込み)下の階級で勢いをつけていけたらなと思います。流れをつくりたいです。最初で勝つと勢いがつくと思うので後につなげて、チームみんなで勝ちたいです」

笹谷
「相手が年下というのもあって、自分のやりたかった試合運びなどがあったのだけどそれができなかったのと、あと体力面でまだまだ足りない部分があったなと思ったのが今回の試合の反省点です。勝ったは勝ったけど内容にはあまり納得していないという感じです。構えだったり試合中の見栄え的なことが1年生の時に比べたらあまりふらふらしなくなったというのが去年との違いとしては感じられたかなと思います。結構距離を取って離れながら相手の来たところにカウンターを合わせるとかそういうアウトボクシングが自分のスタイルだとは思っているのですが、やっぱりそれだけではなくもっと自分から攻めていく場面とかも増やしていかないといけないなと思ってずっと練習していました。最後のラウンドが終わるラスト30秒とかがヤマ場で、ここで攻めなきゃ見栄えが悪いし相手に点数を持っていかれるなと思ったので、体力もきつかったのですがそこは頑張ろうと思って最後は気持ちで相手に勝てたかなとは思います。最後の最後は少し気持ちを見せられたかなと思います。初めて対戦した相手だったのですが、相手はファイターということもあったので相手の距離に付き合わないで距離を取って横に回るという動きを練習してきました。2週間前に国体の県予選に出てそこで一回体重を落としていたので、今回の体重管理は結構うまくできたかなと思います。今日は初戦ということもあってこれを良い気持ちのスタートとして、反省点も今後直してもっと次は良い試合ができたらなと思います。次もしかしたら階級が一つ上がるかもしれないという話をされたので、また相手のビデオを見て研究して、相手に合ったボクシングを身に着けられればなと思います。もし階級が上がったら今の体だと少し筋肉が足りなくて体負けしてしまうと思うので、そこは技術の面で補っていけたらなと考えています。リーグ戦を3勝以上することを個人的な目標として、今シーズンやっていきたいと思っています」