
北出と後藤が56kg級1位、2位独占! 4人が表彰台へ/全日本学生個人選手権
◆4・28~30全日本学生大学個人選手権(大阪府羽曳野市はびきのコロセアム)
▼56kg級
1位 北出
2位 後藤
▼62kg級
3位 中野
▼77kg級
7位 佐藤右
8位 齊藤
15位 竹川
▼85kg級
7位 佐藤匠
8位 扇本
▼94kg級
2位 松本
7位 元木
9位 中村
▼+105kg級
4位 上野
11位 古山
13位 中島
新王者の誕生だ! 北出が56kg級に出場し、スナッチ98kg、ジャーク128kg、トータル226kgで優勝を果たした。地元・大阪での快挙に「うれしいことはうれしいですけど、80点です」。自己評価は控えめだが、少しだけ表情を緩ませた。
最後まで勢いを止めることなく6本全取。スナッチでは試合ベストを1kg更新し、ジャークはタイ記録。練習通りの気持ちで臨み、力を余さなかった。世界ジュニア選手権の出場権がかかっていた3月の全日本ジュニア選手権はノロウイルスで辞退。その代わりに今大会で規定記録の225kgを越えてみせ、出場は叶わずとも自信は手にした。次はトータル230kgを取ることが目標だ。今大会の成績から今年7月にネパールで開催予定のアジアユース・ジュニア選手権への出場が濃厚となった。「周りからの期待は感じるので、しっかりと応えないと」(北出)。軽量級学生チャンプが、世界に挑む。
悔しい銀メダルだ。後藤将はスナッチ98kg、ジャーク126kg、トータル224kgで準優勝。1位の北出にトータル2kg差で競り負けた。「自分にあきれるほど情けない結果です」(後藤)。1か月前に腰のケガが悪化も引きずっており、万全の状態で大会を迎えることができなかった。その中で調子が悪くなかったはずのスナッチを2本目で落としたことで、さらに流れが悪くなった。同じ階級の後輩として指導していた時期もあった北出の優勝も手放しでは喜べない。本当は自分が立つと決めていた表彰台を、後輩に譲る形となった。
[62kg級]
中野はスナッチ110kg、ジャーク130kg、トータル240kgで3位入賞を果たした。しかし「順位はどうでも良かった。だいぶ悔しい」。自己ベストのスナッチ120kg、ジャーク142kgには遠く及ばなかった。課題は成功率の悪さ。「今年残っている試合はできるだけパーフェクトにいきたい」。一か月前から調子は少しずつ上向きになり練習での感触はいい。あとは試合で力を出し切れるか。まずは全日本選手権でリベンジを果たす。
「下級生が頑張ってくれて、自己新記録とか成功本数が良かったりとか、そういう選手が多かった。逆に自分たち4年生が今回は振るわなかったけど、パワーバランス的に言うと下が追い付いてきてくれて、このまま伸びてくれると状態はかなりいい」(中野)。東日本インカレでの目標は、出場選手8人がそれぞれ5本以上成功して優勝すること。チームを勝利に導くことも、中野に託された使命だ。
[77kg級]
リラックスして臨む姿勢が、記録につながった。佐藤右規(政経3=宇佐)はスナッチ125kg、ジャーク150kgのトータル275kgで7位となった。順位こそ満足いく結果ではなかったが、5月末の全日本選手権の規定記録である275kgを突破した。スナッチは試合ベスト。尻のケガの痛みと戦いながら2週間で調整したため調子は良くない。その中でも、「リラックスすることが一番」と無駄な力が入らないように心掛けた。試合前のアップはチームメートと話しながら行い笑顔も見せた。腕の余計な力を抜き去って、全日本選手権の切符を手にして見せた。
感覚と結果にずれがあった。77kg級に出場した齋藤竜磨(農4=金足農業)はスナッチ115kg、ジャーク151kg、トータル266kgで8位。「スナッチは軽くて、動きも良かった」。しかし、1、2本目でまさかの失敗。3本目はなんとか成功させるも、挙げた時の手応えがあっただけに落胆した。この日は自己ベストの123kgに挑むつもりで臨んだが、及ばなかった。気持ちを切り替えてジャークは試合ベストを1kg更新。3本目で落とした153kgの手応えも悪くなかった。それだけにスナッチの感覚のずれが悔やまれる。「久しぶりの試合だったので楽しみに来ていたんですけど…」。同階級に出場した佐藤右にトータル10kg近い差をつけられた悔しさも闘志に変えてみせ、7月の東日本インカレに備える。
竹川夏輝(法2=県立川口)はスナッチ116kg、ジャーク134kg、トータル250kgで15位。手首のケガの影響で2~3週間練習を離れ、復帰したのは大会のちょうど一週間前。急ピッチで調子を整えてまで大会に出場したのには理由がある。「半年前に規定記録が取れてずっと目標にしてきたからこの大会には出たかった」。力試しのために意地で出場した。「意外と悪くなかった」。ケガ期間に取り組んだ体幹トレーニングとスクワットが生き、スナッチは試合ベストを1㌔更新。次に見据えるのは東日本インカレ。十分なトレーニングができていなかった上半身をもう一度仕上げ、さらなるパワーアップを図る。
「最悪でした」。ジャークで新記録を取る目標が達成できなかった。77kg級に出場した朽名泰河(法4=名城大学附)はスナッチ100kg、ジャーク135kg、トータル235kgで17位。ジャークは140kgが自己ベスト。今回は2本目で141kgに挑戦し、クリーンまでは成功した。「絶対いけると思った」。しかし予想に反して失敗。続く3本目で143kgに挑むも取れなかった。大会を観戦に来ていたOBの吉川琢磨氏(平28政経卒)から「パワーはあるから自信持ってやれ」と言われていたが、その助言も虚しく目標には届かなかった。ただ、失敗した2本のジャークの中に「少しだけ兆しが見えた」。次はジャーク150kgを目標に、もう一度鍛え上げる。
[85kg級]
佐藤匠(政経3=宮城農)はスナッチ127kg、ジャーク153kg、トータル280kgを挙げ7位となった。表彰台には届かなかったものの、スナッチ、ジャークそれぞれ1kgずつ自己ベストを更新。今年3月に出場した全日本ジュニア選手権からトータル11kg記録を伸ばすことに成功した。「練習量が結果に比例した」(佐藤匠)と日頃の練習での成果を実感。目標としていた6本成功も達成し、内容の充実した大会となった。しかし、記録としては「まだまだ」(佐藤匠)。下半身、体幹トレーニングでさらなる記録の更新を目指す。「次の大会でも10kg伸ばしたい」(佐藤匠)。驚異の成長率で、まずは以前からの目標であるトータル300kg越えを目指す。
ルーキーながら勝負強さを見せた。インターハイ85kg王者・扇本崇聖(政経1=名城大付)の大学デビュー戦はスナッチ120kg、ジャーク159kgで8位となった。大学初の公式戦にも「落ち着いてできた」と力を発揮。ジャークでは2本目から一気に9kg増やした159kgを3本目で刺し、いきなり自己ベストをたたき出した。上位の選手たちにはまだかなわないものの、ジャークの記録は階級3位。今後につながる上々のスタートを切った。
大学での寮生活で練習や食事の質が向上したという扇本。「これからどんどん伸びていくと思う」(扇元)とさらなる成長を予感させた。そして次の目標はスナッチ140kg、ジャーク170kgで「インカレ出場も目指す」(扇元)。4年間での成長、活躍に注目だ。
[94kg級]
まさかの2位に悔しさを表した。94kg級に出場した松本はスナッチ140kg、ジャーク171kg、トータル311㌔を挙げ2位で表彰台に上った。しかし、2位入賞にも「悪いの一言」(松本)と顔をしかめた。2週間前に体調を崩した影響で思うような試技はできず。6本中2本成功に終わり、スナッチ、ジャークともにスタート記録で終わった。自身最後の個人インカレで優勝が確実視されていただけに悔しい結果となった。しかし、スナッチ3本目では大会記録である151kgに挑戦するなど存在感は十分見せつけた。1位の望月(中大)の記録はスナッチ134kgのジャーク172kg。松本が本調子を取り戻せば勝てない相手ではない。「練習を一から見直したい」(松本)。今度こそ階級王者を目指し、再スタートを切る。
同じく94kg級に出場した元木雅人(農3=奈良朱雀)はスナッチ126kg、ジャーク144kg、トータル270㌔で7位となった。試合前の調整がうまくいき、スナッチは1本目から危なげなく決めて3本目は自己ベストである131kgへの挑戦。「いけると思った」と自信はあったものの課題である刺しのあやうさが出てしまい、シャフトを頭上まで上げるも支えきれず失敗。自己ベスト更新目前だっただけに後悔の残る1本となった。また、苦手としているジャークは昨年の個人インカレを3kg下回る記録に終わり「そこが一番悔しい」。だが、スクワットの強化、ディップ練習に重きを置いたぶれない体づくりなど、これからに向けてやるべきことは既に明確だ。まずは全日本学生選抜大会の出場規定記録であるトータル280kg超えを目指す。
明大のユニフォームにそでを通しての初公式戦に臨んだ中村響(政経1=愛工大名電)。大学デビュー戦に「緊張した」中でスナッチ120kg、ジャーク146kg、トータル266㌔で9位となった。肘と腰のケガの影響から本調子が出せず、得意のスナッチでは自己ベストを10kg下回る記録に終わった。一方でジャーク3本目では自己ベストである152kgのクリーンまでは成功し「刺すイメージができたのでよかった」(中村)と成果もあった。今後目指すは94kg級スナッチの大学記録である155kg。同階級でそれに近い記録を持つ松本を「手本となる先輩」と尊敬の念を抱きながらも「いつか超えられたら」と野望を語った。12月のインカレメンバー入りも視野に入れつつ、新たな環境でより高みを目指す。
[+105kg級]
表彰台はまたもお預けだ。2年生次から団体インカレメンバーに選出される実力者ながら、いまだ全日本の舞台での表彰台経験がない上野祐脩(政経4=東京学園)。最後の個人インカレはスナッチ140kg、ジャーク187kg、トータル327kgで4位に終わった。ケガの影響で思うように練習ができず、万全とはいえない状態で臨んだ今大会。スナッチに関しては「いつまで140kgで終わってるんだ」(上野)と昨年のインカレと同記録に悔しさを隠せなかった。「チームの勝利」に人一倍こだわりを持つ上野。最後のインカレでは3位入賞が「最低限で最大の目標」。そのために、今月末の全日本選手権ではまずスナッチでは140kg以上、ジャークでは明大記録である191kg以上を目指す。そして最終的な目標はスナッチ160kg、ジャーク200kg。「集大成の1年で後輩に優勝の流れをつなぎたい」(上野)。志高く、上野の挑戦がまた始まる。
初めての個人インカレに臨んだ古山翔太(政経2=金足農)はスナッチ124kg、ジャーク163kg、トータル287kgで11位となった。ジャークでは自己ベストを1kg更新。スナッチでは3本目の128kgは失敗に終わり、自己ベスト更新とはいかなかったが、調子の良さをうかがわせた。大会2週間前に肘を痛め「気持ち的にも下がってしまって」と精神面での課題を口にした古山。持ち前のパワーを生かすためにも「もっと瞬発力を鍛えたい」と今後は苦手なスナッチ強化にも取り組む。現時点での自己ベストはトータル290kg。「1kgずつでも記録を毎回伸ばしたい」と次の目標はトータル300kg越え。少しずつでも確実な成長を誓った。
スナッチ124kg、ジャーク158kgで13位となった中島要(営3=栃木翔南)。「調子は良かった」(中島)という言葉通りスナッチ、ジャークともに自己試合ベストを更新した。しかし、今大会での目標は6本成功でスナッチ、ジャークともに自己ベスト更新することだったという中島。「達成できず悔しい」と自分に厳しく反省を口にした。そして下半身のトレーニング、フォームの改善、ディップの強化など「言っていったらきりがない」(中島)と今後の課題を挙げた。いずれは「インカレで活躍できるような選手になりたい」と明確な目標を胸に、日々記録の更新を目指して、今度こそ納得の結果を出してみせる。
成果も課題も見えた大会となった。優勝や上位入賞が期待されていた4年生は調整不足により納得のいく結果とはならなかった。一方、北出をはじめとする下級生が活躍。表彰台は逃すも自己ベストを更新した選手も多く、また初の公式戦に挑んだルーキー二人も今後に期待の持てる活躍を見せた。次にチームで臨むのは7月の東日本インカレ。そこで絶対王者・日大と「勝負ができるくらいまでにはなりたい」(本多監督)。団体戦に向け、各選手がさらなるレベルアップを目指す。
[星川裕也・高野夕]
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