(13)ルーキー特集 ユースの背中を越えていく 伊予から来た男の挑戦 野井辰真
今年も7人の期待のホープが加わった。いよいよ数日後に迫った春季リーグでの活躍も楽しみだ。今回はそんなルーキーたちを一人ずつ取り上げる。
下克上物語の幕開けだ。野井辰真(法1=伊予)は高校からホッケーを始めたばかりのGK。同期、一つ上にはU―18(18歳以下)でGKを務めたライバルがいる。技術面での差はまだあるが、宮田知監督も「身体能力は一番高い」と期待は十分。そのポテンシャルは計り知れない。
スティックを握ったのは運命だろう。中学の先輩に誘われて、愛媛の高校で唯一のホッケー部に入った野井。入部当初からGKを志願するも、防具が一つしかなく、本格的に始めたのは1年生の秋ごろだった。試合に出られるようになっても相手のほとんどは経験者。試合では負けが続き悪戦苦闘の日々だった。それでも限られた時間の中でひたすら練習。最後の全国大会であった国体1回戦では1―11で大敗したが、前半は2失点にとどめた。成長を実感できるようになり「ホッケーは楽しい」と思うように。大学でホッケーを続けるのに理由は要らなかった。
ただうまくなりたい。その一心で明大に進んだ。だが周りを見渡せば代表経験者ばかり。「なかなか簡単にはいきません…」。同期の中川蒼生(理工1=伊吹)からも駄目出しの連続。一学年上にもユースで正GKだった塚田駿(文2=今市)の存在がある。でもそこで腐るような男ではない。「負けたら終わりですよ」。差があるのならこの4年間で抜けばいい。血眼で二人のプレーを盗んで自分の糧にしている。「うまい人にすがらないと生きていく道ないです」。今はレベルアップに必要な準備期間。「日本代表を4年間で抜きます」。静かに闘志を燃やす野井の逆襲はここから始まる。
◆野井 辰真 のい たつま 法1 伊予高出 180㎝・72kg ポジションはGK 背番号25
次回のルーキー特集は久保庭昌太郎(営1=天理)です。お楽しみに!
[浜崎結衣]
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