(11)ルーキー特集 自分の信念を貫く男、守護神奪取へ 中川蒼生

2017.04.09
 新たな歴史をつくる。創部93年の歴史を誇る明大ホッケー部はインカレ優勝12回の実績を持つ古豪である。1987年以降全国大会での優勝から遠ざかっており、昨季はインカレ初戦敗退と屈辱のシーズンを過ごした。今季は川村敬亮(政経4=今市)を主将とし、古豪復活に向け『超攻撃型』を合言葉にチームを変革する。本特集は挑戦を続けるホッケー部の活動に迫っていく。
 今年も7人の期待のホープが加わった。いよいよ1週間後に迫った春季リーグでの活躍も楽しみだ。今回はそんなルーキーたちを一人ずつ取り上げる。
 
 守護神争いに名乗りを挙げる。今年度は珍しくも2人のGKが新たにチームに加わる。そのうちの一人が中川蒼生(理工1=伊吹)だ。U-18日本代表に選出され、日韓戦やニュージーランド遠征などを経験し、海外の高いレベルを知る。中川の武器は相手にシュートを打たせないコーチング。味方DFを動かし、敵を翻弄(ほんろう)する。

 伊吹高校の系譜を受け継いでいる。中川は2015年のインターハイ王者であり、毎年全国上位に食い込む伊吹高校ホッケー部の出身。伊吹高校といえば今や日本代表に定着しつつある吉川貴史(天理大)や、早大で守護神として活躍する山本健悟(早大)を輩出するなど、GKの育成が並外れてうまい高校だ。中川自身も「先輩方はとても技術があるので、しっかり盗んだり教えてもらったりしてうまくなってきた」と伊吹高校で培った経験に自信をのぞかせる。
 自分の信念を貫いてきた。中学時代から常に中川を悩ませてきたのは、ホッケーと勉強の両立の問題。伊吹高校進学の際にも両親から反対を受け、ホッケーと勉強のどちらを優先するか岐路に立たされた。それでも「自分はホッケーがしたい」と、県内最強の伊吹高校へ進学を決意。ホッケー第一の生活を自ら選んだ。毎日5時半に起き、1時間の通学時間を経て朝練に参加。伊吹高校への進学に反対だった両親も早朝からお弁当を作り、最大限サポートに回った。そのかいもあって、中川はU-18の召集を受けるまでに成長。世界レベルを知る男へと進化を遂げた。「自分の意思を曲げなくてよかった」。過酷な高校生活を送ったが、みじんの後悔もない。

 1年間でスタメン定着を誓う。共に正GK争いをするのは塚田駿(文2=今市)と野井辰馬(法1=伊予)の2人。「自分がリーグ戦に出て試合に勝っていけるようにしていきたい」。先輩にも同期にも守護神の座を譲る気はさらさらない。宮田知監督も「1年生の中川と野井が2年生の塚田との競争によって成長してくれたらなと思う」と、激しいポジション争いを求めている。守護神の座に中川が就けるかどうか注目だ。

◆中川 蒼生 なかがわ あおい 理工1 伊吹高出 175㎝・67kg ポジションはGK 背番号12

次回のルーキー特集は橋本岳樹(文1=山梨学院)です。お楽しみに!

[藤田幸大]