
小川、リオ銀原沢相手に奮闘も初戦敗退/全日本選抜体重別選手権
メダリストの壁は高かった。2年連続で今大会への出場を果たした小川。今季開幕戦の東京都選手権では全7試合中6試合で一本勝ちを収め、見事初優勝を果たした。好調を維持したまま臨んだ今大会。初戦の相手が原沢に決まり「気合の入る組み合わせ」(小川)と闘志を燃やしていた。試合は序盤から釣り手の奪い合いとなる。190cmの小川に対し、原沢は191cm。体格的にはほとんど変わらないが、なかなか小川は思ったように組むことができない。「相手のパワー、上手さが小川を上回っている」(猿渡琢海監督・平11営卒)と指揮官も認める原沢の技術に小川は主導権を握れず、開始38秒と2分7秒に指導が与えられてしまう。今大会から指導3で反則負けとなるため後がなくなった小川は「チャレンジャーなので」と割り切って攻めに転じる。すると徐々に流れをつかみ、小川が攻勢に転じだす。だが、原沢の巨体を何度も崩しながらも、ポイントをつかむまでには至らず。決着はゴールデンスコア方式の延長戦へ。延長戦に入ってからも小川は攻めの姿勢を崩さなかったが、開始29秒に一瞬のスキをつかれ一本負け。「自分の力が足りないと感じた」(小川)と試合後は悔しさをにじませた。
しかし、小川の挑戦はこれで終わりではない。今大会の結果で、8月にハンガリーで行われる世界選手権の代表入りは絶望的となったが、最大の目標である東京五輪はまだ3年後。とはいえ、同じ学生である影浦(東海大)が準決勝で原沢を撃破、太田(東海大)も過去2度この大会を制している七戸龍(九州電力)を破るなど、ライバルたちが存在感を示している現状から、これ以上後れを取るわけにはいかない。再起を期して臨む1カ月後の全日本選手権では昨年度2連敗を喫した七戸と同じ山に入った。「まず全日本選手権で七戸を超えること」と猿渡監督は苦手の相手を乗り越え、さらなる奮起を促す。この悔しさをばねに、小川はさらに成長していく。
[加藤真人]
試合後のコメント
猿渡監督
「ルールが変わっての初めての試合だったので、審判がどんな反則、指導を取るのかもつかめていなかったのもあって、とにかく全力を出し切れと。前半戦から飛ばしていって戦ってきなさいと伝えた。今日できなかったこと、これからやらなきゃいけないことを東京帰って練習させたい。相手は五輪メダリストだし力の差は埋まってないだろうなと思っていたが、小川が世界選手権を目指して行く上では一年で埋められる差だという感触を得た。本人が試合をやって1番わかったと思うけど、ものすごく強い選手ではない。具体的には上手さに差があって、前半の組み手争いで釣り手を持たせてもらえなかった。相手のパワー、上手さが小川を上回っている。まずは釣り手のパワーアップをしないといけない。あと、投げれそうで投げられない場面もあったので、チャンスをものにする技を教えていきたい。小川が原沢を投げるためには自分で仕掛けるしかない。それでも投げられなかったのは単純な力の差。切れる技もないし、一発で決められるものもないので、これからそういった技をつくらせる。だけど接近戦では良い戦いをして投げれるチャンスを得られたので、今後はもう少し相手との間合いを取った戦い方を鍛えていく。(原沢が影浦に技を取られた)原沢の負け方は2月のドイツグランプリとまったく一緒。同じ失敗をまたしたということと、影浦が原沢の研究をやってきたというのも見えた。影浦は確かに強くなってるし、試合経験も重ねている。学生の大会で小川がぶつかる相手だと思うので学生相手にも油断せず練習させていきたい。(全日本選手権は七戸選手と同じヤマで)すでに2回対戦して、ある程度通用するという確信は持っていると思う。去年のような負け方、同じような形をつくらないというのと、今年は七戸には絶対リベンジしてほしい。ここ最近小川が負けた相手は右組の長身なので、そこの壁を破るためにも、まず全日本選手権で七戸を超えること」
小川
「前半から原沢選手のペースで、自分の得意なところで行けず、それが最後まで試合の流れとしては響いたのかなと思います。厳しい中ではやれたと思いますけど、そんなうまくいかなかったですね。(延長までもつれたが)勝負はゴールデンスコアからと自分の中で決めてたんで、そこで自分が仕掛けて倒せなかったところが、自分の力が足りないと思いました。(選抜へいい状態で来ていたが)今日も優勝するって気持ちで来てたんですけど、1回戦負けで、全然自分の目指すところに足りなかったです。(釣り手争いについて)釣り手の差し合いになるのはわかってたんですけど、自分の流れに持ってくことが出来なくて、まだ甘かったと思います。(組み合って力の差は感じたか)相手が強い選手とわかっていたので、ある程度力の差はあると覚悟していたので、そこらへんは予想通りです。(攻める場面もあったが手応えを感じた部分は)自分はやっぱりチャレンジャーなので、先に技かけないと勝負にならないと思ったので、技かけていきました。手応えは正直よくわからないです。先にかけていくっていうのはできたと思います。(今日の試合を今後にどう生かしていきたいか)まだ何がダメだったのかわからないので、しっかり見直してやっていきたいです」
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