8年ぶり団体準優勝 網口世代の集大成/全日本学生選手権大学対抗戦

3・4~6 全日本学生選手権 大学対抗戦(和歌山セーリングセンター)
▼明大――2位
 納得の表情で1年を締めくくった。3日間に渡って行われた1年間の集大成となる団体インカレで、明大が準優勝を果たした。1チームにつき5人以下が代表としてエントリーし、レースごとに3人が出場するというルールで行われた今大会。稲葉敦史(商3=名古屋)、冨澤喬穂(商3=明大明治)、平林亮太(農2=高輪)の3人がレースに出続け、稲葉を中心にたびたび上位に食い込むなど健闘を見せた。結果は2位と目指していた優勝にはあと一歩及ばなかったが、1位の同大と僅差まで詰め寄り、堂々の戦いぶりを見せた。

 優勝を逃すも大健闘を見せた。初日は稲葉、冨澤がともに全てのレースでシングル(一桁順位)を守り首位を獲得した明大だったが、2日目に同大に猛追され、1位の座を明け渡した。迎えた最終日の3日目。朝から風がなく、レースの開始が大幅に遅れた。「とにかく(レースを)本数やってほしい」(網口宗太郎主将・政経4=吹田東)という願いもむなしく、結局行われたのは15時前に始まった一回のみ。合計順位を争うボードセーリングにおいて、約40点という大差を覆すことは絶望的となった。それでも、残されたチャンスに持てる限りの力をぶつけ、稲葉が3位、平林が6位、冨澤が12位の好成績。逆転優勝とはならなかったが、最後まで戦う姿勢を貫いた3人はレース後、ガッツポーズで達成感をあらわにしながら互いをたたえ合った。

 激動の1年だった。ちょうど1年前、明大を5年ぶりに団体3位へと導いた今林大亮(平28政経卒)が抜け、始動した現在のチーム。稲葉のナショナル・チームへの参加に冨澤、平林の成長など、多くの選手たちが台頭し、層の厚みが増した。練習後に書いていたノートをさらに具体化するなど、意識の面の改革も徹底。実力、精神ともに向上に励んだことは8年ぶりの快挙となって表れた。

 来年度へ向け「(改善点は)オールラウンダーの育成」(網口)など、課題も明確だ。残された後輩たちに望まれるのは「当たり前に優勝」(稲葉)。チームの悲願である団体優勝へ、バトンは託された。

[曽布川昌也]

試合後のコメント
網口
「(今回の結果)自分自身が出れなかったのが悔しいのと素直にうれしい気持ちが半々です。去年よりも良い順位が取れたのでうれしいです。(順位が上がった要因)後輩の躍進だと思います。稲葉と次期主将の冨澤の2人の躍進が大きかったと思います。(去年と変えた取り組み)とにかく練習内容よりも意識の改善だと思います。団体優勝に向けて今の自分が正しいのか、無駄なことはしていないか、そういう意識の改革を躍進した3年生を中心に行いました。ノートをもっと具体化すること。それを先輩に見てもらう。回し読みすることでコメントをつけたり。本当はみんながどんな気持ちで練習してるのかとか、目に見えてわかるようにしました。(個人インカレ後)明治大学は団体優勝だけを目標にやっているので、個人には個人で反省点はいっぱいだったんですけど、切り替えて3カ月取り組んだから、個人インカレの結果からはありえない2位という結果が出たと思います。(後輩たちに望むこと)もちろん団体優勝です。優勝を期待できるメンバーは残りますし、1、2年生も数々の大会で入賞しているので。(改善点)オールラウンダーの育成だと思います。今回僕自身が出れなかったということはオールラウンダーではなかったから。やはりある特定の風域でしか走れない5人だとかみ合ったときの爆発力はすごいですけど、どこかで不安定な順位を取ってしまう要因となってしまうので、オールラウンダーが3人、4人、5人と1年に一人ずつ増えていけば必ず優勝できると思います。(3日目に風が吹かなかった)とにかく本数やってほしい。自力で優勝というのが難しい状況だったのでまずは自分たちが落ち着いて走って、相手のミスを待つのみでした」

稲葉
「(結果について)大満足です。満足したのは順位ではなくて、出せる力を出し切った結果が今なので、後悔するとすれば1年間でサボっていた自分に後悔します。(順位が上がった要因)一番手の僕が順位がよかったことと、それに付いてきた2人が安定して走ってくれたことが要因だと思います。去年は苦手風域があったのと一個上の先輩を支えることができなかったのが差だと思います。(競技生活を終えて)すごく満足です。僕はこの1年間『チームは俺が導いて優勝する』という気持ちが入部したときからあったので、そういう意味においては後輩も頑張ってくれて大丈夫だなと思えるように成長してくれたので、満足です。(後輩たちに望むこと)当たり前に優勝です。(個人インカレ以降)個人インカレ自体が世界大会のせいで調子はよくなかったですけど、本来の姿を取り戻せば絶対に速いと思っていました。それと僕は団体戦だけに照準をおいていた選手なので、団体だけに輝くために、地道な努力をしました」

冨澤
「(結果を振り返って)初日に首位で、結果的には準優勝という形になったんですけどチームとして今できる中でベストを尽くしたかなという感じです。(3日目に風がなかなか吹かなかった)正直、1位の同志社と大差でカット(勝敗の基準となる合計順位から切り捨てられるレース)なしの試合運びだったので、1本だけだと抜けないので、できるなら2本やってほしかったです。いろんなプレッシャーを感じながら、それがチームとして最高のリザルトを出したということが僕たちの一番の収穫というか、来年につながる走りができたと思います。(昨年から変えたこと)沖縄で惨敗して、団体戦に向けてリザルトで見ると僕たちは優勝に及ばないラインで、稲葉の次に走るのが僕で、僕が走らないと優勝できないんだというなかで意識的に、稲葉にケツを叩かれながらではありますけど半年間猛練習を重ねて、今回個人入賞もできて、そういった意味ではいい感じで成長できているかなと思います(来年度へ向けて)次こそ団体優勝へ向けて取り組んでいきたいと思います」

平林
「(今日の結果)先輩たちとこれまで1年間団体優勝目指してきたなかで3番手として走ったんですけど、もっと機能していればよかったと思います。本当に悔しいです。先輩たちの足を引っ張ってしまいました。(去年と変えたこと)先輩たちに食らいつくように気持ちでやってきました。技術面やメンタル面でとても強化してもらったと思います。(朝風が吹かなかった)前日までで走れなかったので、どうしたら走れるか考えて緊張しながら過ごしました。(稲葉、冨澤は)憧れの存在ですし目標とする存在です」