
寺田、大山が初代チャンピオンに 4人がメダル獲得/東日本学生選手権
絶対的な勝ちパターンを持つ2人は、向かう所敵なしだった。グレコで出場の寺田は、フリーを基調とした「押す・落とす・投げる」の動きで勝ち進み、準決勝では「大好き」な首投げでテクニカルフォール勝ち。決勝でも1ピリオド終了を待たずしてテクニカルフォールと、圧巻の内容で最優秀選手賞を獲得した。
最後の学生大会は、もう終えたはずだった。先月行われた全日本大学選手権で4年生は引退。しかし、今季から開催されることになったこの大会を「優勝できるチャンスだぞ」と、寺田が大山をしぶとく誘い出場を決めた。「4年生2人で出て、一緒に優勝して、最高の結果です」(寺田)。頼もしい2人の姿を見て、3位の本多新主将も「さすがだなと。期待にも絶対応えるし、僕らもそういう風にならないといけない」と刺激を受けた様子だった。
第1回大会チャンピオンとして、記録は永遠に残る。寺田が大山に言った「(ゲームの)ポケモンで言ったら、初代チャンピオンのグリーンになれるんだぞ」の誘い文句も今では笑い話だ。2人の胸に輝くゴールドメダルは、結果以上に価値ある強さの証明となった。
[小田切健太郎]
試合後のコメント
多賀副部長
「東京オリンピックに向けて、学生の強化をしなくちゃいけないと。強化の一環として開いた大会でもあるね。この年代から出ることは間違いないので、そういう意味ではもっとたくさん出てほしかったんだけど(笑)。年々レベルは上がってくると思う。(結果は)よかったけどね、入賞してるのが70kg以上のやつばっかりでね。もう少し軽量級に踏ん張ってもらいたい。(大山選手、寺田選手が1位)有終の美を飾れてよかったね、まだ全日本があるけど学生の大会としては最後なので非常に意義のある優勝。第1回の大会だしね。(表彰状を渡すとき)『よく頑張ったと』(笑)。今年の4年生は寺田なんかはレスリングが好きだったから、練習はよくやってくれた。大山も引っ張ってくれたという面では感謝している。周りも足を引っ張ることはなかったし、積極的にやってくれた。もうちょっと、柔軟的なレスリングができればよかったかな。ただ練習しなきゃだめだということを教えてくれたと思う。(直近が天皇杯)正直言って今の力では、1回戦を突破してくれればうれしいなという感じ。ただ二ノ宮と寺田はもしかしたらもうちょっと上にいくかもしれない。それは期待してる。(新体制になって)今3年生に飛び抜けて強いのがいないので、それだけ危機感を持ってやってくれていると思う。成功するためにはどれだけチームワークをどう取って行くかということが大事。そこらへんを注視していきたい。(本多主将には)厳しい練習を課して、妥協しない練習をやってもらいたいと思う。やっぱり練習でできないことは試合でできないからね。(リーグ戦に向けて)絶対というのが二ノ宮だけなので。上と当たるとこれも絶対とは言えないんだけど。あとは永井と奥田が勝つ可能性が高くて、あともう一人。軽、中量級から出てきてほしいね。『何とかしろ』と言ってある。グループの2位以内を狙いたい。来年はまた山梨と当たるから1位は難しいんだけど、ここは死守したい。青学は強敵だね。活躍する選手をたくさん出して、全日本でもたくさん出場してゆくゆくは全日本チャンピオンを出したいなと思っている。来年はさらに一つ上にいける年になればいいね」
大山
「優勝できてホッとしています。寺田と話していて、最後なのでこの大会に出ようと言われて一緒に出た。折角の第1回なので優勝したいなと。97㎏級で出たのは一回そこで試合してみたかったのと、天皇杯で減量をするため。上の階級ということで、筋トレはしっかりいやってきた。試合としては誰が相手であろうと自分のレスリングをやろうと思っていたので、準決でアンクル(ホールド)できて、決勝で飛行機投げをできてよかった。勝ちパターンで勝てたので、結果にも試合の内容にも満足している。新人戦も入賞者が増えて嬉しい。みんな一生懸命練習をしている結果だと思う。みんなが上を狙えると思っているから、頑張れている。個人として天皇杯は本当に最後になるので、悔いのないように戦う。以上です」
寺田
「めちゃめちゃ嬉しい。内閣の2番よりも嬉しい笑。最後の最後に初タイトル獲れたなと。(そもそもこの大会に出たのは)やっぱりタイトルが欲しいなと思っていたのと、僕は試合が好きなので。優勝できるチャンスだぞ、と大山を誘う感じで。ポケモン赤版のグリーンになれるんだぞと。4年生2人で出て、一緒に優勝して、最高の結果です。最優秀選手賞を取れたのは、決勝準決勝と1ラウンドでテクニカルフォール勝ちというのが大きかったと思う。トーナメントを見た瞬間から周りには「優勝します、最優秀選手賞も獲ります」って宣言してて。初代チャンピオンで初代最優秀選手賞なので、歴史に名前が残ればいいなと思う。試合はフリーの動きで押して落として投げてっていうフリーを基調とした動きで。準決勝は大好きな首投げで4点きれいに取れた。表彰式で多賀先生から「おめでとう」と言って貰えて、褒められることが少ないので嬉しかった。天皇杯は勝っても負けても、マット上で笑っていたい。試合を楽しむ!」
本多
「初めての大会なので、3位というのはそんなにすごくない。負けた相手が今回のを合わせると僕が2回負けていて、新人戦でもその子が優勝したりだとか、同期での僕の中のライバルだった。今回は2対1で僕もコンディションが悪かったし、相手も肩をケガしていたりどっちもよくない状況だったので何とも言えない。ただ試合経験は積めたのでそこは良かったなという試合だった。僕も体調が悪かったので、どんどん攻めることができなくて、ラスト30秒で最後取り切れなかったのが敗因の一つだと思う。守るのは結構得意なので、攻めるのが課題に残った。(今年1年間)今回金獲った2人の先輩もそうだけど、僕の下の代も例えば二ノ宮だったり永井だったり、金獲った人たちと練習していた。自分も含めて全体の底上げができているなというのは練習をしてて感じられた。(印象的だった試合は)インカレの早稲田の1年生の弥十朗くんとやった時に、意外と1番ってそんなに遠くないなと思って。そんなに手の届かないレベルではないんだなと感じて、相手になるなというか勝負できるなと思えたその試合が大きかった。(主将になられた経緯は)一番は先輩からの推しが大きかった。あとは周りのOB、監督がOKを出すかというところで。普段の生活と練習でこいつだったらいいんじゃないのかというのを決めているらしくて、言われた時は正直ちょっとプレッシャーがあった。もう少しで21歳になるけど、今まで生きていて1回もリーダーみたいなことはやったことがなくて、今年は本当にいい1年で明治もちょっとずつ上がってきて、それで次の代になるわけでつなげないというプレッシャーを言われた時には感じた。今はやることをやるだけという感じなので焦ってやっている感じはない。(4年生)まずは僕らの練習だったり、私生活を底上げをしてくれた。近年の練習内容に比べるとかなり良くなったと、これはもう間違いないと思っている。その中で選手も段々と育ってきて、そういう環境を作ってくれたのがまず一つ大きなことだと思う。あとは皆さん背中で示す先輩だったので、僕らもこういうふうにならなきゃという一つの道筋というか目標を残していってくれた。(大山さん、寺田さんが1位)さすがだなと。そういう期待にも絶対応えるし、僕らもそういうふうにならないといけないし、下の子たちをもっと育てていくのも僕らの役目だと思っている。同期の連携は正直まだ始まったばっかりなので、回ってないといえば回ってない。僕が結構相談をしないタイプなので、それに気を遣ってくれるのかどうかはわからないけど、こういうのどう?とかは言ってくれたりする。陰ながら支えてくれる感じ。今年のように1個ずつ成績を上回っていけるようなのがチームとしてはいいので、そういうのを引っ張っていけるようなキャプテンになりたいと思う。やっぱりチームとして確実に良くなっているというのはキャプテンのおかげなので、僕も働きかけていけるようにしたい。(来年に向けて)今まで博貴さんや靖也さんがやってきた練習内容の質が良かったのでそれを継続させること。あとはキャプテンなので、それにつれて軽量級の質も上げていけるようにしていきたい。僕個人は結構練習でできて試合でできないことが多くて、今回の試合で思ったことは守りができていることはわかったので次は攻め手でどんどんタックル入って取るのもいいんですけど、絶対ここで攻めて取れたらいいよねっていうところがあるのでそういうところで取れるような、チャンスを逃さないレスリングをしたいと思う。僕らのレスリングチームは二ノ宮だったり全国でも上位で勝てるような選手が増えてきて、これが今はまだ個人としてだけど、組織力として全国でも勝てるようになるのが一番の目標。それに向かって努力していきたい」
天野
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