原田メイジ 劇的勝利で明大史上初の府立5連覇達成! /全日本学生選手権

2016.11.28
 重圧を跳ね除け、府立5連覇の偉業を達成した。今年度、団体戦無敗の強さを誇って今大会に乗り込んだ明大拳法部。王手を掛けたグランドスラム達成と関大が持つ最多優勝記録に挑んだ。優勝候補筆頭として他校にマークされながらも準決勝までを順当に勝ち進み、迎えた決勝の立命大戦。あと一歩のところまで追い込まれるものの、代表戦で原田優介主将(法4=朝倉)が勝利を収め、念願の府立5連覇を成し遂げた。

 原田が雄叫びとともに放った左拳は確実に相手の面をとらえていた。文句なしの一本。それは、明大史上初となる府立5連覇が達成された瞬間だった。戦いを終えた選手たちも立ち上がって、ガッツポーズ。一緒になって、喜びをあらわにした。「心の中では絶対原田が勝つってずっと思っていた」(玉置)。頼りになる主将は最後までその期待を裏切ることはなかった。
 
 苦しい中でも、上級生が意地を見せた。決勝戦は、関西の強豪・立命大との一戦となった。先鋒(せんぽう)・百合草春男(文3=愛知県私立桜丘)が逆転勝利を挙げ、まずは幸先の良い滑り出しを切った。しかし、次鋒(じほう)戦は試合終了間際に逆転負け。続く参鋒(さんぽう)戦も相手の組み技に圧倒されストレート負けと、1―2とリードを許してしまう。その後、中堅戦で出場した玉置裕也(文4=大商大堺)も決定打が出せずに引き分け、参将(さんしょう)戦はストレート負けと、2戦を残して王手を掛けられた。しかしここから、4年生2人が粘りを見せた。副将戦に出場した永里純(政経4=幕張総合)が得意のタックルで相手を攻め立てる。「強気で攻められたという点も勝ちにつながった」と永里。競り合いに勝利し、大将・原田へと望みをつなげた。大将戦は互いの大学の主将対決。試合開始から激しい打ち合いとなった。それでも原田が試合中盤に奪った胴突き一本を守り切り、辛勝。勝敗の行方は代表戦へと持ち越された。明大の代表者はもちろん原田。この選択に迷いははなかった。開始30秒で面突きを2本決め、勝負あり。「コツコツやってきたことが出た」(原田)。自他ともに認めるストイックさが実を結んだ。

 優勝校にのみ許される校歌斉唱。今年も府立には明大校歌が響き渡った。「全力で歌うぞ」(原田)。そう力強く呼びかける主将の目にはうれし涙が浮かんでいた。明大史上初となる府立5連覇への挑戦は、その栄誉とともに敗北が許されない重圧が付きまとう。「ずっと優勝しなくちゃ、優勝しなくちゃと思っていた」(原田)と常に身も心もすり減らしてきた。それでも最後は自らの手で府立5連覇を掴んで見せた。「本当にほっとした」(原田)と重圧から解放された安堵感、そして悲願達成の喜びに、あふれ出る涙を止めることはできなかった。

 史上初6連覇への挑戦が始まる。バトンは原田メイジから百合草メイジへと託された。しかし「正直今のチームだと絶対勝てない」(百合草)とまだまだ課題は山積みのようだ。新たな歴史を刻むため、再び一からのスタートを切る。

[藤田幸大]

試合後のコメント
原田主将

「もうね。ホットしましたね。本当に連覇の期待がかかるのでありがたいですね。期待されてて1年間ずっとやってきて、やっぱりどの大会で優勝してもこの大会優勝し切れないと、スッキリできませんでした。ずっと優勝しなくちゃ優勝しなくちゃと思っていたので本当にホッとしました。このメンバーで優勝したかったのでそれができてよかったです。(グランドスラムも達成したが)本当、みんな強かったので、最強の明治が証明できたと思います。(大将戦、代表戦はどんな気持ち)本当に俺になんとか繋げてくれてって思ってました。あそこでなんとか永里が勝って、俺が勝てば代表戦にもっていけるとようにしてくれたので、あそこは勝つしかないなと思いました。大将戦はしっかり勝って、代表戦も1年間積み上げてきたものがあって体力も残っていたので思い切りぶつけました。本当にこの1年間コツコツやってきたことが出たと思います。(玉置さんが引き分けになった時)相手がポイントゲッターだったので、引き分けで抑えられたのは仕事してくれたなって思いました。よくやってくれました。(その後チームにかけた言葉)永里が前にいたので絶対俺らで勝とうっていいました。(前へ前にいく拳法)今日は自分の拳法が出来ました。(そのスタイルはいつ頃意識し始めたか)キャプテンになってからですね。引き分けがちょいちょいあってそれじゃいけないって思いました。ちゃんと勝って終わるのが理想でした。(それを実行するために)逃げてばっかの拳法だったので、そのためにしっかり身体鍛えてきました。(高校の時の成績)個人では全国でベスト8です。団体戦は道場の関係もあって組めませんでした。(玉置さんの存在)お互い勝つと。言わなくても分かり合ってること。信頼してやってました。(何が原田さんを強くしたか)僕はただひたすらやりました。追い込みだったり、嫌な練習も向き合ってやりました。筋トレや走り込み日頃の練習常にしっかり、ずっと一生懸命やることを意識してました。(一年の時には)ついて行くのに精一杯でした。団体戦の時は勝てなかったので、勝つことを目標にしてました。(キャプテンになる意識はいつ頃から)やっていくうちにですね。優勝して去っていくキャプテンを見て、そういうのを見てキャプテンやりたくなりました。(主将になった時)玉置もなりたかった中でなったから、キャプテンになって終わりにするのじゃなくてスタートだと思ってました。当たり前ですが。玉置にお前がキャプテンでよかったと思われるように1年間頑張ろうと思いました。(大会前の気持ち)とりあえず、一番練習やってきたので間違いなく思っていたので。そこはみんな自信持って思い切りぶつけたほしいなと思っていました。最後は俺がいるから頑張ってやってくれたらなと祈ってました。(前日の過ごし方)新幹線で移動して、練習して、キャプテン会議あって、家族と飯食ってました。(感謝の気持ちは誰に伝えたいか)親です。俺が思い切りできるように負担してくれたのでありがたいです。(今まで一番接戦だったか)毎回厳しい試合でしたね。なんか勝つところ勝てなくて、何してるんだろうなって思いましたけど、もっと自信持ってやってくれればいのに、勝負弱いというか粘りがないというか、本当に厳しいですね。OBだったら間違いなく厳しく言ってました。雰囲気は下げたくなかったので、言わないようにしてましたけど、正直2年生ですね。何やってるんだと。(チームメート試合前にかけた言葉)うちが王者なんだから、王者から積極的に来られるほど嫌なことはないぞと自信持っていけっていいました。(次の代に伝えたいこと)今回の府立は下級生に課題が残りまくったので、そこに向き合ってやってもらえたらと思います。(これからの拳法生活)気楽になって、素晴らしい選手を見届けて周りから言いたいと思います」

玉置
「最高ですね。(大会前の気持ち)負けられないので、絶対に大きなミスしないようにすると思ってました。(前日どう過ごしたか)温泉行ったりして、好きなもの食べて、ストレス与えないように楽しいことだけやってました。(大会前チームにかけた言葉)自分と原田が絶対勝つから、お前らは楽しんでやれよ。緊張戦でいいからね。と緊張ほぐすためにいろいろ言ってました。(決勝前の気持ち)5連覇っていうのが、関大と並ぶってことで。明治で今までなかったのでプレッシャーを感じました。決勝前は吐きました。試合で緊張して吐いたのは初めてでしたね。(原田の代表戦)やってくれるなと思ってました。危なって思うこともありましたけど、心の中では絶対原田が勝つってずっと信じてました。(5連覇達成できた要因)永里ですかね。自分が引き分けにしたのに、後がない状況でも勝ちに行こうとした永里がキーマンです。あいつが勝ってなかったら、原田の代表はなかったので。(引き分けの時は悔しそうでした)一年生の時に一回負けて、それ以外は全部この大会は負けなしでした。今回は決勝までは難なく全勝で上がれましたが、いい感じかなと思いましだけど、学生最後の試合で引き分けで終わってしまったのでモヤっとしますね。(次の代に伝えたいこと)永里みたいな一般生がここまで成長できるって証明したので、あきらめずに常に上を向いてスポーツ推薦に勝っていく、勝てるって気持ちを持って自分にストイックに練習して欲しいです。最後は6連覇して欲しいです。(今後の拳法ではどういうパフォーマンスを見せたいか)練習する機会はあまりないので、今のいいパフォーマンスを維持しながら、大人らしい拳法を見せたいと思います」

永里
「ほっとしたというのが一番。優勝した瞬間はうれしいだけでしたけど、ちょっと時間が経ってからやっぱり自分らの代で連覇を止められないというのをすごい感じていたから、その点で優勝できて少しほっとしました。(決勝戦は負けたら終わりの場面)正直あまりその辺は気にしてなかったです。特に負けたら終わりだとかは考えないで、どう相手と戦うかというのに100%意識は向いてました。でも待ってる時はみんなの勝敗を見て、負けられないなとかいろいろ考えていたけど試合が始まったらそんな感じでした。(勝ちにつながったのは)監督のオーダーもあって、結構相性とかあるので、僕としては今日戦った相手が7人の中なら一番戦いやすい相手でしたね。あとは強気で攻めれたという点も勝ちにつながりました。(原田さんの戦いぶりは)どきどきとかはしていなかった。原田なら勝ってくれるなっていうふうに思っていたので落ち着いて見てました。(準決勝までも楽な戦いではなかった)僕も初戦でしょうもない試合をしてしまって、準決勝までは厳しい戦いだったし流れもあんまり良くなかったです。相手が強くて競った試合になるならあれだけど、勝てるところを落としたりしてました。決勝戦前に部員同士でもそうだしOB先輩にも喝を入れられたりして、その辺でもう気持ちが入って決勝戦はやれたと思います。(最後の試合だった)去年までの3年間は本当に全く試合には出たことがなかったので、記憶にもなくて(笑)。でも今年1年はいろいろ試合があって充実してました。1年生の入りたては練習が辛かったし、全くの素人で入ってきて一番弱いし、僕以外部員が30人くらいいてみんな自分より強いから毎日ぼこぼこにされていて。何しに練習行ってんだろうなとか、早く強くならないと死んじゃうんじゃないのかなとかそんな感じで、このスポーツ向いてないのかなとか思うくらいに結構悩んで辛かったです。辞めようとか思ったこともあったけど、その理由が辛いとかださいし、後で絶対後悔するなと。試合とかを見ていて『俺も4年間のうちにああやって試合出て活躍したいな』と思ったのも拳法を続けるモチベーションにはなっていました。(支えになった存在は)親とか、同期とか、後輩とかみんなですね。あとは『やめちゃ駄目だ』っていうもう1人の自分(笑)。先輩でも期待してるからとか言ってくれる人がいたので、その期待に応えないまま辞めるのはないなと思いました。(一番成長したところは)度胸はつきましたね。1年生の僕は今日の決勝の場面で出てたら、絶対にがちがちで動けないみたいな、攻められずに終わっちゃうと思います。すごくビビりで、高校の時は野球をやっていたけどチャンスとかで打席回ってきたら『フォアボールになんないかな』とか自分で打とうとしなくて、前のバッターが打ってくれればいいとか結構逃げ腰というか、人に責任を押し付けようとするところがありました。だからそこは変わったと思います。自分にいいところで回ってこいと思えるようになったし、すごく成長しました。(拳法の面白さは)何でもありで決まったかたちとかがない、自分のやりたいスタイルで自分の長所を生かして戦えるところ。1対1のスポーツっていう100%自分っていう、力がしっかり反映される点は面白いと思います。(同期に伝えたいこと)とりあえず4年間頑張ってきてよかったなというのを言いたいし、その苦労を分かち合いたいですね。(後輩たちに残せたものは)目に見えるものでいったら、この大会で連覇してきて後輩たちに連覇という目標をバトンタッチができました。個人的には一般で素人で入ってきて、そんな奴でも4年間やってればこうレギュラー獲って他の大学の強い奴を倒せるチャンスはあるぞというのを後輩たちにちょっと示していけたと思います。一般生には刺激を残してここを去れるかなと。(来年以降の明治に期待すること)6連覇。大変だとは思うけど、日本拳法界を引っ張っていけるような存在として、拳法の強さはもちろんだけど普段の礼儀とか、立ち振る舞いに関してもトップチームにふさわしいチームであってほしいです」

百合草
「本当にうれしい。勝った瞬間うれしいっていうのと、来年頑張らないといけないという気持ちがありました。来年の6連覇に頑張っていけないなと、閉会式にはそのことをずっと考えてました。(決勝戦は先鋒)空気をつくらないといけないなと思いましたし、1本取られたけど何が何でも取りにいくっていう気持ちで負けないように頑張りました。(苦しい試合展開だった)もう本当に原田先輩のおかげだと。いつも毎年決勝、準決勝はぎりぎりの戦いでそういうところで勝つのはキャプテンなんだなと思いました。4年生になって、キャプテンになって…負けてないし、全部優勝している。それはやっぱり原田先輩は気持ちが強くて、本当にすごい。(代表戦の前は)『絶対俺が勝ってくるから』って言ってかっこよかったです。(個人の成績は)僕もそこまで今日は調子がよくなかったですけど、泥くさくてもとにかく今日は勝ちが欲しいと思っていた。とにかく勝ちを意識してやりました。点数をつけるなら低い点数しかつけられないですね。勝てたことはよかったけど、まだまだ一本取られるし、危ないところもあるので、そういうのを無くしていけるようにしたい。来年はしっかり勝ち方もこだわらないといけないです。(今年1年間どんなチームだった)本当にまとまりがあって、原田先輩と4年生のおかげでいいチームで1年できたと思います。ずっと3年間、練習の仕方もそうだけど普段の生活でもお世話になりました。思い出がいろいろあって、感謝ですね。寂しいけど、あとは自分たちが今度代わって頑張らないといけないです。(来年以降)6連覇というでっかい目標ができたので、それを取りにいくためには、正直今のチームだと絶対勝てない。今日の試合は4年生のおかげで勝てたと思います。後輩の力が出せたかと言ったら出せてないことのほうが多いし、自分も1本取られたりするし、僕自身もまだまだのレベル。来年は死に物狂いでやって、みんなの意識も変えないとこのままでは本当に勝てないと思っているので、しっかり引っ張ってやっていきたいです」

古屋敷
「5連覇を達成できて最高なんですけど、自分自身の試合結果としては課題しか出てこないような結果だったので、来年の府立に向けて自分のプレースタイルを見直していかないといけないなと感じました。OBの方々も多く来られて、大きな声を出して応援してくれたので自分たちも負けずに力が出せたと思います。(試合を振り返って)学生拳法で1番大きな大会というプレッシャーにびびってしまったところもあります。1年生ということもあって、あんまり勝ち負けにこだわらずに戦えた去年と違って、今年は自分がポイントを取らなくてはいけない立場にあることのプレッシャーも感じて、二重にプレッシャーを感じてしまったと思います。(決勝戦で原田主将に代表を任せた時)もう、代表選に持ち込んだら確実に明治が優勝できるという確信を持っていました。原田先輩が勝った瞬間は、審判団の方に『優勝して嬉しいのは分かるが、試合が終わってから喜べ』と言われて初めて我に帰るほどに嬉しかったです。(校歌斉唱をして)この時が一番感動して、泣いてしまいました。優勝して嬉しいという気持ちと自分の敗戦の不甲斐なさの2つの気持ちの涙でした。(今年1年を振り返って)グランドスラムというものは今年初めて経験しました。改めて、すごい代だったなと思います。(今後に向けて)ケガをしていて練習不足の中迎えた今大会だったので、気持ちを切り替えて明後日から今後の試合に向けて練習していけたらなと思います。そして、また来年に府立で優勝して6連覇の達成ができるようにしていきたいです」

佐藤
「優勝できて率直に嬉しいです。1年生で府立決勝の舞台を経験させていただいて幸せだったと思います。でも、1年生で失うものも何もない中で、今日は自分の拳法ができなかったので素直に喜べないところもあります。来年の府立では今年の経験を生かしていけるように頑張っていかないといけないなと思いました。府立の大会の雰囲気は東日本の大会とは全然違っていて。気持ち的には緊張は全然しなかったんですけど、会場の雰囲気だったりに飲まれてしまった感じです。OBの方々にも試合後とかに声を掛けてもらってすごい助かりました。先輩たちの存在の大きさを実感しました。(決勝戦の代表選について)原田先輩は必ず勝つと思っていました。春の団体戦でも勝っていて、原田先輩なら絶対に勝つと信じて、ひたすら応援をしていました。実際勝ってきて、素直にすごいという気持ちしか起こりませんでした。あそこで勝てるのは普段の練習でいかに自分を追い込んでいるかに加えて、試合で練習の積み重ねを発揮する力がどれだけあるかだと思うので本当にすごいと思いました。まだ僕は下級生なんですけど今後上級生の立場になるにあたって原田さんのような安心感のある試合ができたらなと思います。(今年を振り返って)4年生とは実質1年間もお世話にはなっていないんですけど、本当に早かったなと感じます。4年生がこれで引退してしまうのは正直寂しいです。(今後に向けて)来年の府立は今年以上に厳しい戦いになると思うので、明後日からどのように練習していくかが大事だと思います。練習量が試合に出ると思うのでいっぱい練習して、メンタル面でも負けないようになっていきたいです」