優勝を逃すも56年ぶり準優勝!/全日本学生選手権

2016.11.24
 創部初の優勝を果たすことはできなかった。決勝の対戦相手は180㌢後半の高身長プレイヤーを数多くそろえる国士大。13―16の3点ビハインドを追う展開で前半を折り返すと、後半には中川翔太(営1=法政二)のゴールで1点差まで迫った。しかし相手のキーパーにゴールを何度も阻まれ逆転できず。さらに勢いに乗る国士大を止めることができないまま、26―34で敗北し優勝には届かなかった。それでも「自分たちのハンドボールを全部出し切った結果なので、悔いはない」(吉野樹主将・政経4=千葉県私立市川)と56年ぶりの準優勝を全員でつかみ取り、インカレに幕を閉じた。

 差を縮めることができなかった。先制点を国士大に奪われると前半は13―16の3点差をつけられ終了。国士大を追い掛ける中迎えた後半では開始33秒に門間優次郎(法2=法政二)がサイドからのループシュートを決め流れをつかみかける。11分39秒には前原大輝(商1=横浜創学館)が好セーブを見せるとそのまま中川が今試合7点目となるゴールを決め、1点差まで詰め寄った。しかしその後、シュートを相手のディフェンスやキーパーに阻まれ続ける一方で、相手の攻撃を止めることもできず。1点まで縮めた差が再び開いていった。終了間際に山田信也(政経1=愛知)が最後の得点を決めるも26―34の8点差で優勝を逃すこととなった。

全員で準優勝をつかみ取った
全員で準優勝をつかみ取った

 それでも56年ぶりの準優勝を成し遂げたことに「素直に喜びたい」と吉野は語った。昨年度は秋リーグで1部2部入替戦まで経験した明大だが、今年度は春リーグ優勝、秋リーグ準優勝、そしてインカレで準優勝という大躍進を遂げた。ここまでの成長の要因はやはり「チームワーク」(吉野)。横同士のつながりももちろんだが、厳しい上下関係をなくし何でも言い合える関係を吉野を中心に7人の4年生が築き上げていった。「4年生は本当に最高」(山田)と後輩からの絶大な信頼関係と「後輩には感謝の気持ちでいっぱい」(吉野)という先輩の後輩への思いが合わさり、チーム一丸となって準優勝を勝ち取った。

 

優秀選手賞の吉野(中央)、門間(右)と特別賞の山田
優秀選手賞の吉野(中央)、門間(右)と特別賞の山田

 来シーズンの活躍の兆しも見えた。今大会ではエース・吉野の活躍もさることながら、下級生たちの活躍も目覚ましかった。優秀選手賞には吉野と2年の門間が受賞。他大も含め3、4年生が受賞している中で唯一2年生での受賞には「純粋にうれしい」(門間)と笑顔を見せた。さらに特別賞にはルーキーの山田が選出された。他にも決勝戦ででチーム最多の8得点を同じくルーキーの中川が決め「自分にもっとできるという可能性を見つけられた」と語る。キーパー陣も準々決勝では飛知和龍哉(営3=法政二)、準決勝では前原が好セーブを披露し活躍が目立った。「3年生以下はすごいいい経験をしたと思うし、明治の財産になった」(松本勇監督)と次へとつながる収穫が得られた。

 これが終わりではない。インカレ準優勝を果たしたことで12月に行われる社会人チームも含まれる日本選手権への切符を手に入れた。4年生たちの最後のプレーも見逃せないが、「恩返しという気持ちで頑張りたい」(中川)と先輩への思いを胸にする下級生の活躍にも目が離せない。来シーズンへどれだけ糧にできるかが注目だ。

[村田萌衣子]

試合後のコメント
松本監督
「(点を取る)考え方としてはサイドで取ること。国士はあれだけ大きいし難しい。専らサイド、サイドという形に動いていたんだけど。ただやっぱり速攻、守って速攻がないのと全然守れなかった。途中追い上げたけどあそこで精いっぱいだった。勝とうと思ったらやっぱり守れないと。辛抱して守っていた場面がが少なかったでしょ。後、ノーマークを外したり結構取られたりしたからなあ。相手のキーパー自体はここのところ当たっているというか調子が上がってきているんだけど、まあいずれにしても守れなかったというのが敗因だよ。(リーグ戦を振り返って)全体としては中大も延長ではあったけど56年ぶりで決勝に来たというのは春優勝、秋準優勝、これも準優勝でしょ。大きなことだと思っているよ。トーナメントで準決勝、決勝で緊張があったりとかプレッシャーがあったり、3年生以下はすごいいい経験をしたと思うし、明治の財産になったと思うし、そういう意味では4年生はスタッフとしても感謝感謝です」

吉野
「(準優勝)自分たちのハンドボールを全部出し切った結果なので、悔いはないです。(下級生の喜び)下級生はすごく真面目で、練習もしっかり取り組んでくれてて、そういう姿勢があったからこその結果だったと思います。4年生全員が思ってると思うんですけど、後輩には感謝の気持ちでいっぱいです。(下級生は4年生のおかげだと)これがチームなんだと思います。誰のおかげとかじゃなくて、全員が頑張った結果だと思います。この2位は、素直に喜びたいです。(去年初戦敗退から準優勝の要因)結局チームワーク、コミュニケーションですね。上下関係なしに誰でも相談できるというか、常にしゃべってるというか、雰囲気もすごく明るかったり、そういう雰囲気の良さとか思い切りの良さ。コミュニケーションを取ることによって修正力がついたり、そういうのは大事だなって改めて思いました。(特別なにかやったこと)褒めることかな。怒ることも大事だけど良いプレーは褒めて褒めて、萎縮してたら良いもの持ってる下級生たちもうまくできないと思うので、褒めて自信つけさせようと思って色々考えながらやっていました。(4年生の代は)すごく仲良くて、それも雰囲気の良さの一つにありますね。一人一人が個性的でおもしろくて、全員が仲良くて、いじりあったりだとか、同期には恵まれたなって思います。(試合前)やってきたことをぶつけるだけだっていうことを言ってましたね。僕がへこんでたりした時は支えてくれて、僕1人じゃないなって、本当に支えあってここまでこれたなって思います。(両親)ずっと応援してくれてますね。父親は単身赴任で大阪に住んでいるのに徳島に来てくれたり、リーグ戦も8試合も来てくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいですね」

糸泰裕(営4=氷見)
「個人的な話になるんですが、4年前のベスト4入った時に自分の兄が4年生で明大ハンドでやっていて。個人的にはその兄がたてた記録を抜けたってうのはうれしく思ってます。チームとしては、特に昨日の中央戦がチーム全員で何とかもぎとった勝利だとみんな感じていて。みんなで最後まで戦えたのであんまり悔いとかは残ってないです。(親御さんの応援は)1回戦目からずっと決勝まで徳島にいてくれて。応援も頑張るよという声ももらっていて本当にうれしいし、そんだけやってくれたことに対して、こうやって準優勝という一つの結果を出せたのは恩返しできたのかなと思います。(同期は)後輩からも『今年の4年は仲良いね』と言われるほど仲が良くて。樹をはじめ試合に出ているメンバーも、しの(篠崎)とか兒玉とか残念だけど出れなかったメンバーもサポートとかしっかりしてくれているし。外から気づいたことや、自分もベンチから樹に声掛けたり、樹からそういう声をもっと掛けてほしいとか言ってくれたりして。昨日も優ちゃん(木村)が大事なとこで得点して大活躍してくれたり。本当にそれぞれ補って4年生の力が一つ結果につながっているかもしれないと思います。自分の同期を誇りに思います。(後輩へ)春優勝しているわけなんですけど、その時に4年生はあんまりいなくて。特に自分はサウスポーで右側のポジションなんですけど、みや(宮崎大樹・営2=法政二)とか門間、翔太には本当に期待しています。あいつらのプレー見て自分もこうすれば良いのかなと思うこともありますし、自分が教えられることはちゃんと教えたし。コミュニケーションは本当にちゃんと取っていたのでそういう意味ではサウスポーの3人には頑張ってほしと思います。3年生のみんなは今年からえび(海老原)、工藤とかひっちー(飛知和)とか試合出て。1年間見てて本当に成長したなと。来年も、吉野さんが抜けたからとか思わずにしっかり結果残せると思うので頑張ってほしいと思います」

木村優太(農4=藤代紫水)
「(準優勝)正直、明治でインカレ決勝いけるとは思っていなかったです。実力はあるけど結局負けちゃうのかなっていう風に思ってたりもして、でもその中で準決勝の接戦を勝てたりしたのは4年生の勝ちたいっていう気持ちがあったからかなとは思います。それについてきてくれた後輩たちの存在もあってこういう結果にできたんだと思いました。(4年間)練習が辛くてやめたくなる時もあって、でもそこでやめずに頑張って、4年生でまとまって結果を出せたということは本当に良かったと思います。(今年)結果を出せていたので、楽しかったということだと思ってます。(自身)秋リーグまで就職活動でほぼほぼ行けなくて、春はユニホームも着れなくて後輩たちにどんどん抜かれていって。すごく悔しくて、そこから秋に入ってユニホーム着させてもらったのは、人一倍努力した結果なのかなって思います。(後輩に)やっぱり決勝いって負けてしまったので、後輩には頑張って優勝してほしいです」

兒玉昌晃(営4=東京都私立成城)
「自分は何にもやってないんですけど、普段一緒に練習しているみんなが結果出してくれてすごくうれしいです。試合の時に何かするというよりは普段から4年生だけじゃなくて、下級生全員でのびのび、萎縮しちゃわないで全力でプレーできるような雰囲気はみんなで作れたかなと思います(4年間振り返って)下級生のころは苦しいこともあったんですけど、それもやっぱり今後の社会人としての生活に向けて非常に良い経験になったと思います。良いことも悪いことも全部プラスになると思います。(後輩へ)3年生は3年間チームを経験して多分どういうチームだったら結果出せるとか何となく分かってきていると思うのでチーム全体で一つになれば結果がついてくると思います。応援しています」

佐藤亮太(商4=佼成)
「チームとしては1年間優勝を掲げていてやってきて、春と秋でそれなりに良い結果を残してきたので優勝したかったという気持ちが正直なところですね。悔しいなと思います。4年間振り返ってみれば個人としては一般で入ったので、正直入ったころは試合出れるか出れないかという風にしか思っていませんでした。でも去年出してもらって、出たからにはしっかりやろうというふうにやったんですけど。今年に関しては正直出たいという気持ちはあるんですけど、代わりに出ている3年生のえびちゃん(海老原)がしっかりやってくれていたので自分がもし出た時には役割を全うしようと考えていました。(同期は)恵まれたなと思います。この同期じゃなかったら正直続けてこれたのかなと思いますし。こうやって今年のチームの良い雰囲気づくりもできなかったかなと思うので本当に素晴らしい7人でやれたなと思います。(後輩へ)本当にみんな力がある選手ばかりそろっていると思うし、熱いメンバーがそろっているので頑張ってほしいです。応援しています」

篠崎晴喜(法4=東京都私立明星)
「普段選手としてプレーしたこともありましたけど、こっち(サポーター)の立場にもなっていろんな人のおかげでハンドボールができているなという感謝の気持ち学べたと思います。優勝したかったですけど、ここまで上がれたというのは去年の結果から考えたら、考えられなかったし、僕自身も就活などで抜けた時期もあって。その中でもキャプテンの吉野が頑張ってチームをまとめてあげて、ここまでこれたのかなと思います。(吉野は)プライベートと練習を切り替えられて。厳しい時は厳しく、楽しい時は楽しくチームをまとめていき、それが逆にチーム一丸となれたのかなと。(後輩へ)4年間を振り返ると僕自身ケガしかしてなくて(やる気が)消えかけたこともありましたけど、その経験からどんな逆境に立っても最後まであきらめずにハンドボールを自分の信じる限り努力していってほしいなと思います」

瀧澤尚也(商4=群馬県立富岡)
「(4年間)個人的には長く感じましたね、色々ありすぎて。言えるのは今年が最高っていうことですね。4年生の仲が良くて、その中で結果出せたので最高です。(チームの雰囲気)樹もああいうキャラだし、良い意味で上下関係を無くしたというか、ハンドボールをするときは言い合える中にしたことが良くなった原因かな。上も下もしっかり言える雰囲気で、やっぱりチームの仲が良かったですね。オンとオフの切り替えで、両方良かったので。下もそこまで気を遣わずにできたと思うし、お互いにやりたいようにできたかなって、そこが一番良かったですね。(後輩の成長)元々優秀っていうのはあるけど、言い合えることで自分もなんですけど1年生とかでも一緒に成長できたので、そういうところはすごく大きいかなって思います。(自身)4年生になって責任感が出ましたね。後輩に何か残せるものないかなっていう考えもあって、後輩の育成とチームの中で自分の役割っていうのが4年生になってから明確に分かったので、あまり器用じゃないんですけど常にそこは頑張りました。下が育ってくれたのもあるし、達成できたかなって思います。日本選手権も行くので結果残せたら残したいですけど、実業団ばっかりなのでやれるだけやります。でもとりあえず学生はこれで区切り。2位っていうのはやっぱり悔しいけど、後輩たちに1位期待したいです」

工藤龍毅(政経3=桃山学院)
「優勝したかったという気持ちが大きかったですが2位は良かったかなと。(来年は最上級生だが)チームとして今年の結果よりも良い結果を出せるように来年頑張りたいと思います。(自分たちが引っ張っていくという)自覚はやっぱあります。全員でコミュニケーションがしっかり取れるような良いチームを作っていきたいなと思います。(日本選手権は)1勝でも多くできるように頑張りたいです」

門間
「(ベストプレイヤーは)純粋にうれしいです。(試合は)今日は序盤から調子が良かったので最後まで自分のプレーをやろうと思っていたのでそれができて良かったです。(準優勝は)悔しいですけど、準優勝取れたこと自体はうれしかったので来年また優勝目指して頑張ります。(日本選手権は)4年生とできる時間は少ないので1日1日を大切にしていきたいなと思います。(4年生たちは)本当にいつも前を歩いてくれるというか先頭に立って頑張ってくれている偉大な先輩たちで、その先輩たちの分もこれから頑張っていかないといけないと思いました」

中川
「次に(日本選手権に)つなげられたんですけど、4年生との最後の大会という気持ちで、その中でユニホームを着て試合に出るということで気持ち的に頑張ろうと思いました。(緊張は)自分の中では最初から緊張してたんですけど、それ以上に足とか声を出して頑張りました。最初に出ていた宮崎大樹先輩が調子悪かったので、その時に代わりに自分ができることって気持ちの面で。スキルとか技術はあんまりないんですけど、気持ちの面で思い切ってやろうと思ってやりました。(優勝を逃したが)優勝を目指してやっていたので悔しい面もあるんですけど、やっぱり手応えとか自分にもっとできるという可能性を見つけられたので、次の大会につなげられるようにしたいなと思います。樹さんは自分にめっちゃ声を試合中も試合前もたくさん声を掛けてくれて。やっぱり一番は『楽しめ』って言ってくれて『笑え』とか、すごく声を掛けてくれて。その言葉のおかげで試合中も楽しめて思いっきりできたと思います。(日本選手権は)まだ4年生とできるチャンスを手に入れられたので、自分が4年生とやって得られた恩返しという気持ちで頑張りたいです」

山田
「優勝したかったですけど、思い切りできたと思います。自分のやりたいことができたかっていうとできたとは言えないんですけど、悔いなく楽しくできたので良かったです。1年生なので思い切りやるしかないって思ってて、昨日は結構ミスもあって悔しい思いもしたので、今日はシュートできるところは全部思い切り打ち込むことに集中できて、ディフェンスも1年生なんですけど、自分からしっかり声出してチームまとめるじゃないですけど、決勝はそういうつもりでできたかなと思います。(今年1年間)入ってきていきなり試合出させてもらって、すごく緊張してたんですけど、やっぱり4年生の存在が大きかったです。春リーグの最初とかは緊張して足とか全然動かず声もだせなくて、本当にかたまってたんですけど、吉野さんとか隣でディフェンスして声かけてくださって。ベンチの先輩も『緊張しなくて良いよ』とか『1年生なんだから思い切りやれよ』とか言ってくれてやっぱり春優勝できたのも4年生の力が大きかったです。結果は2位はだったんですけど、秋は自分でも満足いく結果を出せたので良かったです。インカレは決勝までこれたことが本当にうれしくて、1年生で全試合出させてもらって、得点もできたし、春からは考えられないくらい成長できたと思います。先輩方に支えられて大きく成長できた一年でした。めっちゃ幸せです。1年生で決勝までこれて、特別賞までもらえて、幸せすぎます。もう文句なしです。本当にうれしいです。(吉野の存在)今日はケガとかしてて、めっちゃ痛めてた中でやってくれて。昨日なんかはマンツー付かれた状態で得点してくれて、本当に樹さん無しじゃできないというか。昨日は優太さんがすごく点決めてて、苦しい場面でも決めてくれて、本当にありがたかったです。糸さんもディフェンスとかすごく、けん制とか上手くて、一枚目なので外から声かけてもらったりとかしてくれて、佐藤さんとかはベンチですごい声だしてくれて、ハーフタイムとかも声かけてくださって本当にうれしいです。瀧さんも、一番最初円陣組むじゃないですか、その時に毎回『爆盛りでいこうぜ』って言うんですけど、それで本当に頑張れたっていうこともあって、4年生は本当に最高ですね」