インカレ初Vまであと1勝! 延長戦の末、中大を下す/全日本学生選手権

2016.11.23
 延長まで続いた死闘を制し、初優勝に王手をかけた。中大を相手に臨んだ準決勝は途中出場のGK・前原大輝(商1=横浜創学館)の好セーブと木村優太(農4=藤代紫水)のサイド攻撃が光るも両者決着がつかず延長戦にもつれ込む。迎えた延長前半、先にリードを許すも吉野樹主将(政経4=千葉県私立市川)が3連続得点で32―31と逆転。その1点をチーム全員で守り切った。決勝は国士大と12時半から行われる。
 執念の守りだった。延長後半3分。シュートを打たせずに相手を止めることが理想だったが、中大にサイドからシュートを打たれてしまう。だが、前原が顔面を直撃しながらもゴールネットは絶対に揺らさなかった。「打たせてしまったところをしっかり止めてくれた」と吉野も1年生GKを賞賛。前半途中出場するとノーマークシュートをセーブしてから攻撃のリズムをつくり最後までチームを救った。「ディフェンスが頑張ってくれていたので後は最後止めるだけ。ディフェンスが良かったです」と前原は謙虚に語るも、この試合では間違いなくMVP級の活躍を見せた。

 4年生も意地を見せた。前半の終盤から出場した木村はあまり得点に結び付かなかった左サイドから得点を量産しチームに貢献。今年は就職活動もありリーグ戦ではメインとしての出場機会には恵まれなかったが「自分が頑張ってインカレまでには試合も出て頑張ろうと、日々から就活終わってからも毎日やってきた」と、決して気持ちを切らさなかった結果がこの大事な試合でついてきた。今年目指していた「どこからでも得点が奪えるチーム」を体現させた。
 大学一のチーム力を見せつける。「4年生を決勝にいかせなきゃという気持ちが強かった」(宮崎大樹・営2=法政二)など、4年生と最後まで戦うことを目標にチームは一つになっている。相手は第1シードの筑波大や東海地区1位の大同大を破った国士大。「もう優勝しか見えていないので、今までやってきたことを全て出し切って、全員で戦います」と吉野。悲願の初優勝をつかみ最後の学生大会を締める。

[吉田周平]

試合後のコメント
松本勇監督

「中央もここまで来たチームだからそんながーんとはいかないけれど、4点、5点のリードであのままだったら良かったんだけど、ノーマーク外したミスとオフェンスのミスで一気に追い付かれちゃった。いろいろ経験はしているんだけれど、これだけプレッシャーがかかってくるとそういうものは出てくるのでもうみんなそういう経験は少ないからしょうがないんだけど。練習なんかで言っているように多少は設定練習はしている部分もあって練習でやってきたことが展開できている部分もあるので。立ち上がりは悪かったな。キーパーが悪いというよりディフェンスが悪かったんだけど、代えてよかった。延長は別にして28点ならば悪くはなかった。後は決め切れるかというところ。(序盤1―5と突き放されたところ)どうかなとは思ったけど、あのまま6点目取られると取るけど、まだ始まって早かったから。力はそのくらい付いているし変にタイム取るのもあれで。まあ取るということも考えていた。やっぱり緊張があるんだよ。木村良かったよ。木村はよう入れた。7㍍も取ったし、木村が大活躍だったよ。国士大とはリーグのイメージもあるけれど、おそらくとんでもない話だからボンボン点が取れるようなチームではないんだから。ここのところ速攻がなかなか出にくいのでもっとそのイメージをやらないといけないと思う」

加藤良典コーチ
「1点差でも勝てたことに安心しました。優勝することが目標だったので延長までいったんですけど、1点差で勝てて良かったです。(この接戦は予想していたか)正直なところかつ自信はあったんですけど、最後追い付かれたのが吉野がマンツー付かれた時にミスが出たり、そういうのがあったので、ちょっとゲームプラン的には。(中大対策は)左サイドの杉岡選手がサイドシュートの確率だったり、キープレイヤーだったのでそこを徹底的に潰して。あとは真ん中から打たれないように。逆まで持っていて勝負しようと、足を動かしてディフェンスをしようという話はしていました。前半の立ち上がりが全然足が動いてなかったので速攻にも出せなかったですし、速攻出せなかったので前半ああいった形でセットだけの点になってしまったので。自分たちのペースに持ち込めなかったというのはありますね。(4年生の起用は)ゲームの流れを見ていて、ディフェンスだったりオフェンスでちょっと点が止まったりしていたので4年生、左サイドの木村選手が入ってゲーム動き始めたので。最初から4年生を出すとかではなくゲームの流れで。今年の4年生は就活で部活に出られない期間がどうしても出てきてしまうんですけど、就活やりながら少しでも時間があれば体育館来て練習やったり。まったく練習に出ないとかそういうのがなかったので、今年の4年生に関してはしっかり練習にも出ていたので。(前原の活躍は)正直あそこまで取るとは思わなかったので。前日までは飛知和龍哉(営3=法政二)がすごく止めていたので。今日ちょっと当たらなかった分、代わりに前原が入ってしっかり自分の仕事をやってくれたのでそれは大きいですね、今日の勝利に。(延長前は)1点差でもいいから得点を取りにいかなきゃいけないので、しっかりディフェンスで足を動かして、速攻まで出すということを指示しました。(決勝の国士大戦の対策は)同じ関東ですし、今まで何回もやってきているのでお互いどの選手がキープレイヤーかも分かっているので、特に対策とかは。今までやってきたディフェンスから速攻をしっかりやるということですね。(国士大は)みんな本当に得点力がある人ばかりなのでどの選手を重点的に守るとかではなくて、もうしっかり足を動かして一人一人守るという形ですね。(ここまでの飛躍の要因は)吉野のリーダーシップですね。それが一番ですね。選手もついてきますし、プレーでももちろん引っ張りますし、人間的にも素晴らしい人間なので。しっかり下がついてくるっていうのがチームがまとまっている一番の要因だと思いますね。リーダーシップもありますし、やっぱプレーで引っ張れるというのもありますし、精神的に試合で吉野がいると周りも安心するというのがあると思いますね。(決勝に向けて)4年生は大学チャンピオンを決める最後の試合なので、4年間悔いのないようにやってもらいたいのと、あとその下の1年生から3年生までは来年も続くわけなので上級生のためにも戦ってもらいたいですし、自分たちのためにも。来年、再来年と勝ち続けないといけないので。下級生はそういった気持ちをもってやってもらいたいですね」

吉野
「すごくうれしい、最高です。延長戦までいって、僕らも精神的につらかったと思うんですけど、みんなで闘志もう1回出すというか、気持ち出して挑めたのですごく良い試合だったなと思います。(がむしゃらに挑んでいた)やっぱり1人でも弱気になってしまうとチームはうまくいかないので、そこでみんなが動いていたので、とにかく良かったです。今は何も考えられないんですけど。(前原)あいつは今日のMVP。本当は最後打たせるなっていうことだったんですけど、打たせちゃったとこしっかり止めて。練習以上の出来栄えというか、一番頑張ってくれたなって思います。あいつは練習中へらへらしたりとかいろいろあったんですけど、最後こうやって結果出してくれたので良かったんじゃないかなと思います。(木村)4年生の意地っていうところが見られたんじゃないですかね。糸も最後のチャージだったりとか、そういう4年生の意地っていうのは大事だと思いました。(出だし5点を入れられた)工藤(龍毅・政経3=桃山学院)とか、常に落ち着け落ち着けとか、一個一個いこうっていう話をずっとしていて、そうすることで精神的にもみんな落ち着けて、ディフェンスも段々動いて守れるようになったと思って、そこらへんはあまり心配とかはせず追い掛ける気持ちでやっていました。(やはりコミュニケーション)そうですね。やっぱり1人で戦っているとどうしても不安になってしまうんですけど、隣同士話して徐々に修正していけばチームはどんどん良くなっていくと思うので、しゃべってやりました。(残り30秒で同点にされた時)しかも相手ボールでタイムアウトっていう場面で、正直やばい、ああやばいって思いましたけど、頑張ってディフェンスして延長戦に持ち込めたのは良かったと思います。(ついに)決勝戦。もう優勝しか見えていないので、今までやってきたことを全て出し切って、全員で戦います」

木村
「流れが悪い時に自分が角度のないところからシュートに飛び込んで、決められたことに対してもうれしいですし、何よりもチームがやってきたことを出せて勝利したことがとてもうれしいです。(自身の調子は)めちゃめちゃ調子が良かったです。いつもは(ディフェンスを)ずらしてもらって、そこである程度の角度から打ってたんですけど、今日はディフェンスがいても角度なくても、4年生ですし倒れこんでも決めていこうと思って。飛び込んで決めていきました。(今年から就活のある4年生は試合出場回数が減ったが)それはやっぱしょうがないと思います。練習頑張っているやつを出した方が良いと思いますし、就活だからって4年生を出すよりは、練習頑張っている2年生や3年生を出した方がやっぱ下も納得しますし、自分たちも納得すると思うのでそれはそれで良いと思います。(試合に出られない悔しさは)それはもちろんあります。けど、自分が頑張ってインカレまでには試合も出て頑張ろうと、日々から、就活終わってからも毎日やってきたので。やってやろうという気持ちですかね。(就活後の衰えは)ちょくちょく走ってはいたので体力面ではそんなに落ちてはなかったと思います。練習試合も結構やっていたので、そこでみんなが出る場面が多くて、そこで自信をつけていって、試合に出て活躍できるように。(決勝に向けて)今までやってきたことを精一杯出せば国士舘にも勝てると思うので、チーム一丸となって優勝したいと思います」

宮崎
「今日はがむしゃらにやって取りあえず勝たなきゃというイメージが強かったので、4年生を決勝にいかせなきゃという気持ちが強かったのでほとんど覚えていないです。でも何で1点差で勝てたのかというと最後はチーム力の力ではないかと。中央が悪いというわけじゃないんですけどやっぱりどこでも点が取れるチームが最後はやっぱり強いんだと感じましたね。どこが大きい場面というのはなかったんですけど、一人一人がしっかり前を狙って最後まで1点を狙うというところとディフェンスを最後まで粘ってキーパーが取れたというのが一番大きかった、1点差で粘り勝てたなというのが今日の試合の勝因ですかね。最初取って取られてのシーソーゲームをしていてちょっと僕らが出たなと思ったら、もう流れがずっとずるずる最悪の展開になって。結局流れなんですよね。そこで一回区切れるのか、今日最後の最後に延長の最後にできて1点差で勝てたというのが良かったなという、そこで切り替えられたのが明日につながるのかなって思います。最後の最後に粘り負けするというのが一番嫌でそれはもう次の代にもつながらないですし、負けるということが一番駄目かなと思っていたので、やっぱり今まで負けても次があるという気持ちでやっていてトーナメント慣れしてないというのもあったし、今までとんとん拍子にやってきていたということもあったので、今日延長で1点差で勝てたということは明日につながる大きな一歩かなとは強く思いましたね。僕らは2年生で次があるという言い方はあれですけど、樹さん筆頭に4年生を一番長い学生チームっていうのに見せてあげたいしインカレ初優勝っていう肩書もあるけど、そこはやっぱり気にするけど試合には持ってこないで明日の試合しっかり楽しんで勝てるように最後勝ちの涙をしっかり流せるように今日の試合粘り勝てたことだし明日もああいう泥くさい試合したいなっていうのはありますね」

前原
「今まで本当に迷惑かけてきて、変な形で終わらせたくないなって思っていて。本当に迷惑しかかけてこなかったので、結果出せたことがすごく嬉しくて。誰の顔見るよりも前に泣き出しちゃいました。(今日のヒーロー)ディフェンスが頑張ってくれていたので、あとは最後止めるだけだって。ディフェンスが良かったです本当に。(また歴史的な)そうですね、もう決勝ですね。歴史つくろうぜって今日の朝ミーティングで話して、でもあの立ち上がりでもうどうなるかって。もうやばいんじゃないかと。アップの時からみんな硬くて、ずっとふあんだったんですけど、止められて流れ変わってくれたので本当にとにかく良かったです。(どういう気持ちで止めたか)覚えてないです。がむしゃらで。素直に嬉しいのと、4年生とまだハンドボールできるっていうのが本当にうれしくて。それを考えるだけ、普段泣かないんですけどね。もう最高です。明日あるんですけど。(オフェンスの選手たちは)最後のほうは樹さんがマークつかれて打てなくなって、なんとかディフェンスから速攻という話をしていて、でもやっぱりかみ合わなくなって。その中でもディフェンス本当に頑張ってくれて失点も少なくしてもらえて。(吉野選手の存在)樹さんのチームなので。樹さんがいなかったら大学入って駄目だったかなぁって。樹さんに助けられた部分がいっぱいあって、コートの中でも引っ張ってくれて指示出してくれたのも本当にためになるし、本当に良かった。(大接戦)今年一ですね。やっぱり準決勝なんですけど、1年間の集大成っていうのができたかなと思います。春秋が悪かったので、そこらへんをどう修正するかで樹さんとマンツーしてもらったり。1ヶ月半とかずっと練習してきて、その成果が出せたと思います。(残り30秒で同点にされた時)お願いだからディフェンス頑張ってくれって願っていて、最後まで粘ってくれたので、本当に助かりました。(延長でもスーパーセーブが)延長になったらもう1回ギア上げろって自分に言い聞かせて、飛知和さんもずっと落ち着け落ち着けって言ってくれたので、良い結果が出せたんだと思います。(飛知和さんに学ぶことも)飛知和さんは気持ちの面でも、技術面でもサポートしてくれるので本当に助かっています。取りあえず今日はもう、明日切り替えて勝つだけなので。明日勝たなきゃなので、またインタビューお願いします」