橋口大金星! 全日本トップクラスに得意技で一本勝ち/講道館杯全日本体重別選手権

2016.11.13
橋口大金星! 全日本トップクラスに得意技で一本勝ち/講道館杯全日本体重別選手権
 準優勝の快挙を成し遂げた。12月のグランドスラム・東京の選考会も兼ねている講道館杯全日本体重別選手権で橋口祐葵主将(政経4=延岡学園)は強敵である阿部(日体大)、高市賢悟(旭化成)に圧巻の一本勝ち。迎えた決勝では同じ道場出身の磯田(国士館)に敗れ、惜しくも準優勝に終わったが、実力者ぞろいの今大会で爪痕を残した。この結果、橋口は来年4月に福岡で行われる全日本選抜体重別選手権への出場が決まった。

 下剋上で準優勝を果たした。橋口は1回戦、2回戦を順調に勝利し、迎えた準々決勝ではおととしの講道館杯で史上最年少優勝を果たした阿部と対戦。「向こうは自分の柔道をわかってるし、自分も向こうの柔道をわかっている」(橋口)とお互いに手の内を知り尽くしている。そんな相手に「対策っていうよりも自分の柔道」(橋口)と橋口らしい柔道を全面に出した。
 試合が始まるとお互いに技を掛け合う展開が続く。それでも、相手が掛けてくる技を冷静にいなし、チャンスを待った。開始3分が経過したころ、絶好機が訪れる。一瞬のスキを見せた阿部の両袖をうまく捕まえる。そのまま間髪入れず、体を反転させ、得意技の袖釣込み腰で担ぎ投げた。一本の判定にうれしい橋口は両手でガッツポーズ。「自分でも勝てるっていう自信になった」(橋口)と格上相手に収めた勝利を噛み締めた。

 満足の色はない。決勝で敗れ、惜しくも準優勝に終わった橋口は、阿部や世界代表の高市を一本勝ちで破るも「やっぱり、悔しいが1番。優勝以外は意味がない」(橋口)ときっぱり。2020年の東京五輪を見据える男に妥協はない。リオ五輪では尊敬する海老沼匡選手(平24商卒・現パーク24)、大野将平選手(旭化成)が活躍している中、テレビの前で「ファン」として応援するしかなかった。だから「2020の東京五輪は自分が出る」(橋口)と次こそは出場する側に回って見せる。4年後に日の丸を背負う橋口の姿に期待だ。

[古賀章太郎]

試合後のコメント
猿渡琢海監督(平11営卒)

「水野は1回戦で高校生で出だしは慎重に戦いにいって序盤と中盤で有効2つのポイントで試合を優位に進めていった中で、水野自身の柔道もしっかりできていたと思うし戦略も作れたのである意味安心して見れていたけど、ラストで投げられるということは集中力が足りない。本人の油断以外になにもない。油断が自分を負けにしてしまう。あの戦い方、今日の結果をもう二度としないように、彼自身厳しく反省して来年は軽量級のリーダーとしてリーダーシップを発揮してほしい。後輩に背中を見せられるような上級生になってほしい。自覚を持ってもらってやってもらいたい。橋口はどうしてもスロースターターでエンジンのかかりが遅い選手なので1回戦、2回戦は心配しながら見ていたけど、今日は本当に攻撃的でいい柔道をしていて自分の持ってる武器を全部使いながら戦えてた。それで一つのヤマ場だった阿部一二三選手に対して迎え撃って真向勝負でいい戦い方をした。その中で一瞬のスキをついた。橋口が最も得意とする袖釣込腰で相手から一本取ることができたということは、この四年間橋口が我慢をしながら変化をし、そして進化をした結果であると思う。橋口の意地をみた試合だったし、あの戦い方を今後も続けていけば、グランドスラムにもし選ばれても優勝できると思うし。橋口が阿部に勝ったという驚きはなく、勝つと思っていたし、前回負けた試合は体重別選手権だけど柔道の中身的には遜色ない。そこから攻め、組み手、技を早くして戦えたと思う。学生の大会ではタイトル取れなかったのでこの決勝戦では優勝して欲しかったけれど、まだケンカ四つに対する不得意な部分を相手に突かれてしまった。相手も研究してることだし、そこで自分の弱点をカバーできていなかったかなと。この結果から弱点を改善してさらに強化していけばもっといい結果が伴ってくる。ここが東京五輪に向けてのスタートなので、一つずつしっかり戦って五輪目指してほしい。この一年間主将を務めて、自分で自分を追い込みながら下を引っ張ろうとするたくましい姿を見せてくれたし、後輩たちに目配りを利かせながらチームをまとめるリーダーシップだったり、今までは他人事のように見ていた部分、技術的なことも後輩に教えたり、人間的に一回り二回り成長した。この大会は決勝で負けたけど、準決勝まで完璧に近い橋口の柔道をしてくれたのでよかった。体重別団体が終わってから3年生にキャプテンも譲っても、自分が明大柔道部の中ではリーダーという意識は持っていったと思うし、存在感はすごくある状態で尼崎からこの講道館杯まで練習していた。またその橋口が講道館杯に向けて準備している姿を後輩たちがみて、しっかりやらなきゃという意識を持たせてた。ヤマが阿部一二三だという共通認識はあったから対阿部に対する戦略、組手から技に関しては研究しながら微調整含めて対策はしてきた。対策してきたことが橋口のレベルアップにつながったと思うし、高市も世界選手権活躍してるしそういった相手にも自分の得意技で一本勝ちすることができたのでやってきたことは実ってた。橋口自身は自分から『どうすればいいですか』と聞いてくるタイプではない。今までも一回もないかな。恥ずかしいのか知らないけど、調子が悪い時は、道場の中で練習をしていて俺が見ていて調子が悪いなと思っている時は必ず俺が座ってる前の一番目立つところで練習をしてる。調子がいい時は俺の死角で集中してやってる。調整練習の時も調子悪いと口にしてる時は俺の目の前で練習していたので、こいつアドバイスもらいたいんだなと。そういうタイプ。四年間を見てきて性格もわかっているし、橋口からのアプローチなくてもしっかり教えてあげたいなというのはあった。グランドスラムも多分選ばれると思うので、また標準合わせて、外国と日本の一流選手と戦って優勝目指してほしい」

橋口
「(悔しい2位ですが)決勝の相手の磯田選手は小学校の時の同じ道場の選手だったので、後輩には負けられないなと思ったけど、やっぱり強かった。芦塚柔道場っていう同じ道場。延岡市。1つ下。昔からの知り合い。悔しいですね。(勝ち上がりがすごい良くかったが)はっきり言って自分の方がチャレンジャーなので、ここで勝たないと試合にも出れないし、上も目指せないと思うので、今日は意地でも勝ってやろうと思って臨んだ。それだけに悔しい。決勝も勝つ気でやっていたので。(阿部の対策は)向こうは自分の柔道をわかってるし、自分も向こうの柔道をわかっているつもりなので、まあスキはどっかにあると思っていたので、ワンチャンスをものにできたと思った。自分の得意技は袖釣り込腰なんですけど、入れてしまえば持っていける自信もあるし、それだけにきれいに入れたので、持っていけました。(もともと担ぎ系が得意なのか)そうですね。袖釣り以外には背負い投げ。(逆は)最近練習を始めたばかりで試合で使えるレベルではない。袖釣り込み腰には1番自信があって、絶対的に持ったらいけるっていう自信がある。小学校の頃からそれを覚えてずっとやっていたから誰よりも得意な自信はある。技のキレが一番の持ち味。決勝はそれができずに終わってしまったので、対策されて、自分も研究が足りなかったのかなと反省している。(どの辺研究されていると)小学校からずっと試合とかでもやってたし、得意の袖釣り込腰も絶対入らせてくれないような組手をしてくるのもわかっていたし、その中で自分の苦手な足技だったりを向こうは使って来て、それにはまってしまった。今日は完全に負けました。(グランドスラム出場は)いや、ないと思う。正直、日本人より外国人の方が勝つ自信がある。自分の持ち味がすごく出せるまだ、研究もされてないですし、持ち味がすごく出せて、勝てるっていう自信がある。出れれば優勝目指して頑張りたい。(世界ジュニアで勝って大学であまり結果が残せなかった原因は)気持ちの面が問題。ケガではない。競ったときに気持ちが諦めてしまう癖とか投げやりになる癖が出てて、いいところで負けてしまう。世界ジュニアは大学1の時。(不完全燃焼の学生時代だったか)そうですね。全日本学生も優勝したかったんですけど、結局優勝できずに、この大会を残すことになってしまった。(卒業後は)パーク24に内定をもらっている。(戦っていて、どういう流れが自分の流れか)自分が持ったときに、相手は逃げてくるんで、いかに指導を取ったりとか、どれだけリードを取れるかで戦い方が変わってくる。先に指導を取れば、相手も組手をせざるを得なくなるので、そのときに、自分の得意技とか決まるっていうのがパターン。嫌な形は組手をごちゃごちゃやられて、自分が持てずにかけ逃げの形でもどんどん入ってくるタイプが一番苦手。(課題は)そういうタイプは技術で上回るしかないと思っているので、組手をもっと研究して、逆に相手が嫌がるようなことをしたいと研究をしている。(柔道を始めたのは)兄貴が柔道をやってて、それで6歳の時に始めた。(尊敬している選手)海老沼匡選手や大野将平選手に憧れている。ずっと尊敬する先輩。オリンピックも見ていた。将平先輩が優勝した時は自分のことのように嬉しかった。完全にリオはファンとしてみるしかなかった。2020の東京五輪は自分が出るつもり。今回負けたけど、これからまた全部勝っていけるように。ライバルは多い。正直、強化選手は全員ライバル。(今大会の感想)負けたので悔しい。(阿部や高市に勝利したことで得たことは)決勝で負けてしまったのは課題だけど、やっぱり自分でも勝てるっていう自信になった。(阿部との試合)正直、ごちゃごちゃやってGSになるっていうことにはならないと思ってた。打ち合いになった中で、それを制すことができたので良かった。(阿部選手は)知っている相手ということで自分の戦い方をするしかないなと思った。(高市選手は)あの人もめちゃめちゃやっているので、対策っていうよりも自分の柔道。割って入っちゃえば、投げれるんじゃないかっていう。(今年1年結果が出ない中で今回の準優勝)ここまで来たら優勝したかった。やっぱり、悔しいが1番。優勝以外は意味ないので。(全日本学生体重別選手権で初戦敗退)あれで、結構吹っ切れた。勝たなきゃいけないとかではなくて、勝つしかないと思った。吹っ切れたおかげで、尼崎でも天理大戦でも東海大戦でも勝てた。その勝利のおかげで今回は自信を持って試合に臨めたので良かった。(グランドスラム・東京に出場の可能性が見えたが)出場したら優勝する。(出場できない場合は、今大会で明大生としての大会は最後になるが)きつかったけど、すごい楽しくて、団体戦とかもみんなで楽しく戦えたのですごい良かった4年間だった。(苦労したこと)勝てない時はいろいろ悩むし、苦労もしたけど、4年生になってキャプテンやらせてもらって、辛いこともあったけど、すごい良い経験ができた。(学年が上がるにつれて、成績が残せなくなっていったが)気持ちが弱くて、あきらめとかついちゃってたので、もっと負けず嫌いになっていかないといけないなっていう風に最近ずっと思ってた。今負けたくないと思うようになった。(そう思うようになったきっかけ)やっぱり、全日本学生体重別の初戦敗退ですね。あれが結構堪えた。(1試合目に胸に手を当てていたが)あれは昔からのルーティーンじゃないけど、自分が1番強いんだと言い聞かせて、畳に登ってるので、あれは試合やる度にやっちゃう癖みたいなもの。(阿部との試合は昨年のリベンジマッチみたいな意味合いはあったのか)いや、まあ、リベンジマッチというより、明らかに向こうの方が強くて、成績的に見れば上だったので、リベンジというよりはチャレンジ。(明日行われる重量級の選手に向けてのメッセージ)雄勢(小川)と田中はもう絶対上位にいけると思っているので、あの2人はしっかり戦ってもらって、他の選手は自分の柔道をして、やり残したことと悔いが残らなければいいと思う。しっかり戦ってほしい。(これからの目標)グランドスラムに選ばれれば、その目標にとりあえず絞っていきますし、今回優勝してグランドスラム・東京も優勝して、福岡(全日本選抜体重別選手権)も優勝して、来年には世界選手権に出るっていう目標立ててたけど、今回一本目で失敗してしまったので、出場することができれば、グランドスラム・東京でやり返したいと思う」